2016年も残すところあと半月。2016年もまた、様々なイベントが起こった。中でも経済イベントを中心に今年1年の出来事を時系列で振り返り、2017年につなげよう。

1月 世界全面株安 上海取引場では取引停止状態に

2016年初取引が行われた1月4日。中国製造業の景気指数が3か月ぶりの低水準という結果を受けて上海総合指数は全営業比7%安を記録した。この時2016年取引より導入した「サーキット・ブレーカー(7%下落で取引を自動停止させる制度)」が2016年の初取引早々に発動してしまった。

ちなみに、同月7日にも中国株安による2度目のサーキット・ブレーカーが発動している。本来ならば株価の急落やパニック売り防止のための制度なのだが、かえってサーキット・ブレーカーが原因で中国経済の不安をあおり、世界中の株式市場にも影響を与えてしまう結果になってしまった。これを受けて中国証券監督管理委員会は翌日8日からこの制度の一時停止を決定した。

そして東京株式市場において、史上初となる初取引から6営業日連続の値下がりと、戦後最長の記録である。12日の終値は1万8000円を割り込んでしまい、この株安傾向は世界的に連鎖してしまった。

また月末29日には、日銀が新たな金融緩和策として「マイナス金利」の導入を決定した。これを受けて一時市場では長期金利が過去最低の0.05%を記録するなどといった混乱が見られた。

2月 Googleが時価総額でAppleを抜き世界第1位に

2月1日、Googleは好決算を受け株価が上昇し、時価総額は5680億ドルとなった。この時ライバル会社のAppleは5350億ドルで、2010年にマイクロソフトから時価総額世界第1位の座を奪って以来、初めての首位交代となった。その敗因として、昨今の主要稼ぎ頭である「iPhone」の売れ行き鈍化による株価低迷が挙げられる。

また2月11日には1ドル110円台にまで円高が進行した。1月末の日銀のマイナス金利採用により、1ドル120円台を記録していたが、それからわずか10日程で10円近くの値下がりを記録した。この背景には、欧州経済の不安や米国経済の回復期待が遠のいたことによる先行き不安から円買いが進んだことが挙げられる。

これを受けて翌日12日には、日経平均は1万5000円を割り込んでしまう。これは1年4か月ぶりの水準で、年始からの株価下落率は21.4%と、ITバブル崩壊時に並ぶ記録である。

3月 プレステVR発表

3月10日、欧州中央銀行(ECB)が追加緩和策を発表した。しかしその内容が、市場が期待していた内容とは程遠いものだったため、追加緩和期待で盛り上がっていたユーロ株や米国株は失望売りという結果に。

また3月16日、SONY <6758> は新型ゲーム機「プレイステーションVR」を発表した。VR(バーチャル・リアリティ)機で、単独またはPS4と連携して利用する。発売は10月で、価格は4万4980円(税抜)だ。

かねてより報じられていた東芝再編。白物家電事業を中国大手・美的集団(会社)に売却した。金額は数百億円で、テレビを除く家電全般の販売権を移譲した。しかし「TOSHIBA」ブランドはそのまま継続されることになっている。また医療事業はキヤノンに売却し、今後は3年の年月をかけて8000億円の大規模投資を主力のメモリー事業に注力する方針だ。

3月22日、政府主催の経済分析会合が行われた。ここではアベノミクスを提言したポール・クルーグマン氏が「デフレ脱却を果たす前に増税すべきでない」と、消費税増税の延期を主張した。彼は長らく日本政府に政策提言を行っており、その影響力は強い。

4月 原油価格に上昇兆し

長らく下落基調であった主要原油指標(WTI)が遂に下げ止まり、1バレル40ドル台を回復した。この背景には、原油の主要産油国であるロシアとサウジアラビアが生産量調整で合意するという見解が好感されたためである。低迷していた日経平均も前日比453円高を記録し、円買いマネーの流出から1ドル108円から109円台まで回復するなど、プラス方向へ作用した。

4月14日午後9時26分ごろ、九州地方初となる震度7の地震を観測した。今回の地震に関して、気象庁は布田川・日奈久断層による一般的なメカニズムの地震であると発表しており、予てより活発に火山活動をしていた阿蘇山などの因果関係はないとしている。また16日深夜~明け方にかけて本震とみられるM7クラスの地震が連発で起こった。震源地・熊本では、津波の被害は無かったが建物の倒壊が激しかった。

5月 G7財務省・中央銀行総裁会議実らず

5月21日仙台にて開催されたG7財務省・中央銀行総裁会議。主として日米がG7協調での財政出動政策を訴えたものの、曖昧な合意に終わった。財政出動には各国の間で温度差があり、特に財政再建を目指しているドイツ、フランスの反対により合意が得られなかった。

5月10日、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)によって、パナマ文書「完全版」が公開された。これはパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の約40年分の内部資料にあたる。全世界総計21万社が関与していることが判明し、その中で日本関連は400件該当した。一例を挙げると、ソフトバンク、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、個人では楽天・三木谷社長、UCC・上島豪太社長などが記載されていた。

また同日、米国オバマ大統領が月内27日に広島・平和記念公園を訪問することを日米両政府が公式発表した。とは言え、「謝罪」ではなく「核廃絶」の立場からセレモニーが行われる予定となっている。

今年大いに盛り上がった謎の「水素水ブーム」。メディアや著名人がその健康効果を謳う一方で、国民センターは「効果なし」と断言している。そんな中、5月26日から開催された伊勢志摩サミットにて公認飲料として伊藤園の水素水が提供された。

6月 安倍首相、増税再延期を正式表明

安倍首相は6月1日、2019年10月まで増税再延期することを正式に表明した。デフレ脱却が最重要課題として、この再延期の判断を「これまでの約束(公約)とは異なる新しい判断」と表現した。

6月10日、LINE <3938> が7月15日に日米同時上場へ踏み切ることを明らかにした。日本での調達金額は6000億円前後とされており、これは2016年国内最大規模となる。この時点での株主上位50人の内、日本出身者はわずか12人。他はすべて韓国人・特に韓国NAVER出身者が占めた。

また6月14日には、イギリスのEU離脱懸念から日経平均が1カ月ぶりに1万6000円を割った。欧米株安と連動する形で下げ、EU離脱による経済混乱を踏まえての値動きとなった。