JDI、産業革新機構が金融支援、有機EL会社を買収

今回は、ジャパンディスプレイ(JDI)、日本通信、川崎重工業の3銘柄を取り上げたい。

JDIは日立、東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業が統合し発足したパネルメーカー。13日に筆頭株主である官製ファンドの産業革新機構から戦略投資の原資として750億円の金融支援を受け、有機EL開発のJOLEDを子会社化すると報じられた。この情報を手掛かりに同社の株は人気を集め、買いが膨らんだ。

ただ、21日にJDIが産業革新機構からの資金調達とJOLED子会社化を正式に発表すると、翌22日は利益確定売りに押される展開となった。

政府によるJDI支援は、国内メーカーの技術の海外流出を防ごうとする「日の丸」色が強いとの指摘もある。スマートフォン向けパネルでシェアを保ちながら業績が振るわないJDIの姿は、かつて電機大手のメモリー半導体事業を集約し世界有数のシェアを持ちながら倒産したエルピーダメモリを想起させるとの見方もある。

パネルや有機ELは今後、アジア勢との競合が厳しくなると予想される。それだけに、JDIは地に足のつけた堅実な成長シナリオを投資家に示すことができるか注目される。

日本通信、総務省のソフトバンクに対する協議再開命令の観測を材料視

日本通信は仮想移動体通信事業者(MVNO)。「格安スマホ」に必要なSIMカードを提供している。

総務省がソフトバンクに対し、日本通信との回線接続に向けた協議再開の命令を出す方針と報じられたことが買い手掛かりとなった。日本通信はソフトバンク端末用のSIMカード投入を計画していたが、ソフトバンクに接続を拒否されたとして同省に申し立てをしていた。

12日に日本通信株に目先筋から信用取引も含めた買いが入り、一時は200円台まで上昇した。しかし、13日以降は新たな手掛かり材料がなく、ジリ安に転じた。

川重、下水処理施設向け送風機でロシア市場参入へ

川崎重工業は造船、鉄道車両、ガスタービンなどを手掛ける総合重機大手である。

16日、ロシアのプーチン大統領訪日に合わせて、川崎重工業が下水処理施設向け送風機でロシア市場に参入すると報じられ、同社の株に買いが集まった。

12~16日の週を振り返ると、川重株は上記のニュースが伝えられた16日以外は終始軟調に推移していた。翌週19日以降も株価は再び軟調に推移している。川重は来年3月まで事業化調査を行う予定であり、続報が待たれるところである。(ZUU online 編集部)

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