東京電力,東日本大震災
(写真=360b/Shutterstock.com)

東日本大震災からもう6年になる。日本の観測史上最大の地震で、戦後最大の自然災害だった。地震大国の日本で暮らしていく以上、自然災害は避けることはできないだろう。

金融市場で起こったこと、株式市場で起こったこと、当時大きな影響を受けた東京電力がその後どのようになっているかも振り返っておきたい。

東日本大震災で日経平均は1万円割れ

東北地方太平洋沖地震が発生したのは、2011年3月11日の金曜日14時46分。東京株式市場の大引けまであと14分という時間帯だった。体験したことのないような揺れが東日本を中心に襲い、ただならぬ状況が報道などで伝わりはじめると、株式市場には売りが殺到。1万350円前後で推移していた日経平均は1万254円と前日比180円安まで急落し、安値引けとなった。時間さえあれば、さらに下げたであろう事は明らかだった。

週末のTV報道では、東北地方太平洋沿岸部の津波や福島第1原子力発電所で水素爆発や放射能漏れの事故が明らかになるなど、地震の被害の状況が刻一刻と報道され続けた。日本全体に絶望的な気分が蔓延するのに時間はかからなかった。

週明け後の14日の東京市場は売り気配で始まった。日経平均は、210円安の1万44円で始まり、ほぼ一貫して下げ、634円安の9620円と1万円を割りこんだ。翌15日も原発事故の状況がさらに悪化したことで日経平均は大幅続落、一時1392円安の8227円まで下げ、引け値は1015円安の8605円と9000円を割り込んだ。地震後、安値は3日で20%ほど下げたことになる。地震から4営業日目の16日にはやっと初の反発となり、488円高の9093円まで戻した。

東日本大震災では思わぬ円高に

大地震が報道されると、為替は一瞬円安に振れた。日本を懸念する売りで、82円台後半だったドル円は一時83円前半まで売られた。

電子取引が主流になっている現在では、大きな地震がニュースのヘッドラインに流れるとその国の為替や株式市場を売るというアルゴリズムが存在しているという。当時のトレーダーたちも大地震の初期は「株売り、円売り」で対応したのだ。

ただ、地震の被害が想定をはるかに上回ることが分かり始めると、11日夜のロンドン市場では早くも為替は円高に切り返しはじめた。損害をカバーする資金や復興資金調達のために、保険会社や金融機関は所有している外債を売り、資金を円に環流させる(レパトリ)との見方や、復興資金捻出のために長期の円債を大量に換金するため円金利が上昇するとの見方が広まったためだ。

想像を超えるような大きな災害では、災害を受けた国の為替が買われることがあり得る。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロでも同じような観測でドルが買われた。

東日本大震災後、円は12日に81円台後半まで買われた。その後も円高トレンドは続き、11年の10月の歴史的な円高75円をつけることになる。

9割下げた東京電力の株価

東京電力 <9501> の福島第1原子力発電所のメルトダウンによる放射線物質の放出事故も衝撃だった。

地震前の3月10日の東電株の値段は2153円。11日はまだ東京電力の事故が判明していなかったため2121円と32円安程度だったが、週明けの14日から3日連続ストップ安で場中には寄らず、17日になってようやく全株一致の741円で寄り付いた。わずか4日間で6割以上下げた。寄り付かないので売りたくてもほとんど売れない状況だった。

東京電力は高配当の優良株として、機関投資家だけでなく多くの個人投資家が長期保有している株だった。前年の2010年には29年ぶりの株式の公募増資をして、国内と海外で約2億5000万株を売り出し、約5500億円を調達したばかりだった。公募増資で株主になった個人投資家も多かったことだろう。

福島第1原発の事態は悪化し続け、東京電力の巨額の賠償金の懸念で、3月28日から東電株は再び3日連続のストップ安となり300円をも割り込んだ。結局、地震後の安値をつけるのは12年7月の120円。地震前日からは90%以上の下落だった。2017年3月10日の終値が428円、地震後の安値からは約3.56倍となっているが、震災前の株価には大きく届かない状況だ。

想定をはるかに上回る事故後の株価の動きで教訓的な事を言ってもしかたがないと思うが、チャートや指標などテクニカル面や、見た目の低PERや好配当で買った投資家はほとんどロスカットせざるを得なかった。保有していたのならできるだけすぐにロスカットする、保有していないのならマネーゲームには参加しないといったことが投資行動としてはベストだった。

東京電力の株価は、アベノミクスでの株高の恩恵で2015年には事故後の高値939円を付けている。ただ、2016年12月に経済産業省が福島原発事故の処理費用が2014年時点の当初見込み11兆円から21兆5000億円にまで膨らむ見通しを発表すると、東電株は再び下落トレンドに入り16年3月には安値の343円まで下げることになる。

日経平均は11年7月には地震前のレベルを回復

日経平均は上述のように3月15日の9000円割れが目先の底となり、反発をはじめ、7月初旬には地震前のレベルを回復した。大きな悲劇に対し、国民が一丸となって再建への道を進み始めたことで買いが入り始めた。

大きなショック時に、ショックに直接関係のある株でなく、それ以外のパニックで売られた株を長期の割安株投資として買っておくという投資スタイルはワークしたようだ

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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