NISA(ニーサ/日本版ISA/少額投資非課税制度)とはなにか?
2014年から導入されることが決定されている NISA とは一体なんなのでしょうか。まずこの点から述べていきたいと思います。NISAとは、投資をしやすくするために100万円までであれば投資につぎ込んだお金(投資元本)から生じた利益について税金がかからないという制度のことを言います。
正式名称は、少額投資非課税制度と言いますが、イギリスのISAという制度の日本版ということからNISAという俗称がつけられています。
通常、投資をして利益が生じれば、その利益に課税され税金を支払わなければなりません。2013年9月現在では、投資から生じた利益には10.147%の税金がかかることになっていますので、例えば投資して10万円の利益が出た場合には、おおむね1万円程度の税金を支払わなければなりません。
これが、2014年からはおおむね20%となり、2万円が差し引かれることとなります。投資から生じる利益に関しては税金が高く課されることになっています。
しかし、NISAを利用した場合(具体的にはNISA口座を作り、そこから投資をした場合)には、投資元本が100万円までであれば、そこからいくら利益が生じたとしても税金はかからないということになります。従って、NISA口座を作って100万円以内の元本から生じた利益に関しては、一切確定申告をしなくて良いという取り扱いとなっています。これがNISAという制度の概要です。
NISAの導入によって個人の方の投資家が増え、経済が活発化することが期待されています。
はじめてのNISA①|投資信託の意味とメリット
さて、このような内容を持つNISAが導入されることによって、投資にご興味を持たれる方が増えるかもしれませんね。
では、いざ投資をするとして、どんな商品に投資をすれば良いのでしょうか。投資といえば、株や国債、あるいは不動産でしょうか。
NISAと相性が良いと思われるのが、投資商品として継続的に人気が高い商品が投資信託(略して投信)です。投信とは、少額の財産を集めて集まった財産で運用会社が出資者の代わりに判断をして投資をしてくれるという仕組みです。そして、投信には実に様々なメリットがあります。
例えば、これからNISAなどを用いて株式投資をご自身一人で始められるとすれば、株式投資について一から学ばなければなりません。業界の動向、景気の動き、これから伸びそうな会社あるいは継続して安定している会社などに常日頃から目配せして投資する株式を選ぶ必要があります。
また、あまり良い言い方ではないかもしれませんが、古い言い方であれば「相場師」などと呼ばれるほどの先見性・鋭いカンも必要となるかもしれません。
しかし、個人の方がこのような「投資のプロ」となることはご本業やご自身の大切な時間を利用するという観点から一般的には相当困難であるということができます。ですが、投資信託であれば、このような投資判断は、まさに「投資のプロ」である運用会社(具体的にはその中で働くファンドマネージャー)が行ってくれます。
つまり、投資信託を利用すれば、難しい投資判断は運用会社に任せることが可能となります。
また、投資をする場合には、個人で行なわれる場合には多額の投資資金が必要となることがあります。
例えば、有名な会社の株を買おうと思った場合には1株が数十万円する場合もあります。
このような高額な金融商品を購入することはよほど資金に余裕がなければ難しいとともに、仮に資金には問題がないとしても、株価が下がってしまった場合に莫大な損失となる可能性があります。
しかし、投資信託は、多くの投資家から多額のお金を集めて運用会社の判断で株式を購入したりするものなので、高額な株などでも十分購入することができます。一般に投資信託は1万円程度あれば購入することができます。
これはNISAとの関係では、少額で投資をはじめても利益には税金がかからないというとても「おいしい」話ということができます。
この他にも、投資信託は分散投資であることや預金と比べて紙幣価値の変化に対応できるなどの様々なメリットがあります。そのため、NISAの導入に合わせて投資信託をはじめることを検討されることも1つの財産運用方法として大きくおすすめできる方法の1つです。
はじめてのNISA②|投資信託のデメリット
とはいえ、投資信託にもデメリットはしっかりとあります。これから、NISAの導入に伴い、多くの銀行や証券会社等が投資信託を勧めることが予想されますが、投資信託のデメリットも把握することが安心した投資のためには重要となります。
まず投資信託では、元本が保証されません。あくまでも投資ですので、損失が出ることがあるということは十分にご認識の上、スタートされることが重要です。
また、投資信託は中・長期的な利益を見込む金融商品ですので、株式のように一気に莫大な利益を生むというものではありません(一部商品を除きます)。そのため、投資で大きな利益を上げたいと考える方には不向きな商品です。
さらに、最も注意していただきたい点として、実は長期的・安定的に利益を出すことに成功している投資信託は極めて数が少ないというのが現実です。
例えば、2000年頃、ITバブルと言われ、IT関連の投資信託は、爆発的に売れて高い分配金が支払われました。しかし、一時的なことであり、ライブドア事件などによるバブル崩壊で一気に価値が下落しました。
また、リーマンショックによる投資信託への悪影響は計り知れないものがあると同時に運用会社に任せておけば問題がないということは全くないということが判明してしまいました。
このように10年単位で見た場合に、リスクが少なく安心した投資方法と言われる投資信託であっても、安定的・長期的な利益保証がされるわけではないということは注意が必要です。
それにもかかわらず、「投資信託は安心である」「現在はこの投資信託商品が流行である」などのセールストークには不思議と信用をしやすくなってしまうというのが投資信託の恐ろしい所、ないしは最大のデメリットということができると思います。
投資信託とはいえ、あくまで投資ですので、可能な限り正しい情報を集め自己判断で無理のない範囲で実施することがとても重要であるということができます。
当然、NISAを活用した投資でも同じことが言えると思います。
【NISAの基礎シリーズ】
第2章 NISAの注意点〜はじめてのNISA(ニーサ)/少額投資非課税制度/日本版ISA〜
第3章 投資初心者の方へのアドバイス〜はじめてのNISA(ニーサ)/少額投資非課税制度/日本版ISA〜
第4章 投資経験者の方へのアドバイス〜はじめてのNISA(ニーサ)/少額投資非課税制度/日本版ISA〜初級編
第5章 目的別の資産運用〜はじめてのNISA(ニーサ)/少額投資非課税制度/日本版ISA〜
第6章
NISA取扱金融機関の比較〜はじめてのNISA(ニーサ)/少額投資非課税制度/日本版ISA〜