0029ce765376eed22c9c65f01e900d88

以前の記事で、私はNISAでインデックスファンドによる運用をお勧めしました。この記事では、インデックスではなく、アクティブな投信をNISAで利用するということをテーマにします。NISA、少額投資非課税制度という言葉は、最近、テレビや新聞などで、見聞きする機会があるかと思います。NISAは、新たに時限的に実施される投資優遇税制制度です。イギリスのISAを手本としており、日本版ISAとも呼ばれています。

インデックスファンドについては、(金銭のみならず様々な)コストが非常に安いことからお勧めしました。しかし、市場よりも高い収益を望んでいる人は少なくないと思います。そこで、アクティブな投信を利用するうえで、どのようなことに注意しなければならないかということをNISAに関連して当記事のなかでご紹介したいと思います。

NISA(ニーサ/日本版ISA)でも忘れないで、リスク・リターン原則

金融商品の取引に参加するときには、絶対的といってもよい原則があります。それは、長期的には、多くのアクティブなファンドも市場リターンに収束する、ということです。一時的に、市場を上回るリターンを上げることができても、「常に」上回り続けることはとても難しいということです。しかし、そのなかでもブレが生じるところから、市場を超過するリターンを得ることができる場合があります。この「ブレ」。市場よりも高い振れ幅を選ぶということが、普通の投資信託を選ぶことの意味です。市場よりもリスクを積極的に取りに行くから、高いリターンが得られる、ということです。つまり、リスク・リターンについての大原則に基づくと、あなたはあえてリスクを取りに行くからこそ市場よりも高いリターンが得られる(かもしれない)のだ、ということです。

求められるのは、投資に対する積極性

「あえて」インデックスではない商品に対して投資をするということは、リスクに対して前向きな姿勢を取るということです。つまり、損をした、得をした、ということを日常的に経験しながらでもびくびくしないような姿勢が少なからず求められます。このとき、重要になってくるのは、まずは余裕資金です。「貧すれば鈍す」という表現があるように、人間は余裕がなくなると本当に愚かな行動をとってしまいます。ですから、十分な金融資産のない若い人は、まず預貯金を充実させることから始めるべきですし、十分に金融資産を持っていたとしても、手元に十分な現金(同等物)を置いておくべきです。

次に、リスク性のある商品に割り当てた投資に関しては、多少、価値が上がったり下がったりしても絶望的な気分になってしまわないようなポジティブさが要求されます。そこには、アクティブな投信信託を購入することの本質的な意味が関わってきます。

アクティブな投資信託は、市場に対して、積極的にリスクを取りに行っているからこそ、市場を超過するリターンが得られる(かもしれない)と先に言いました。そして、インデックス商品に比べると、アクティブなファンドは、人の手が介在している分、手数料が高くなります。つまり、やったからには、市場リターンをかなり大きく上回らなければ、成功とはいえない、ということです。
それは、インデックスのファンドに比べて、かなり大きくリスクを取らなければいけない、ということを宿命的に意味します。不安定であることをポジティブにとらえられないのであれば、アクティブなファンドには手を出すべきではないでしょう。

NISA(ニーサ/日本版ISA)との相性

NISAは、一年間に100万円です。たとえ、前年に50万円しか使わなかったとしても100万円で変わらず、前年の100万円のうち、50万円を売ったとしてもその枠を再利用することはできません。つまり、NISAの制度を最大限利用しようと思えば、5年間その投資資金を入れ続けておく、ということになります。短期的な売買には向きません。そう考えると、アクティブな投信を購入するのだとしたら、NISAでも「5年後の未来はどうなっているだろう?」と予想しながら買うことになります。もちろん、5年間置き続けなければいけないわけではありませんが、基本的には、中長期的な視点を持つ必要があります。

NISA(ニーサ/日本版ISA)でも不安定さを楽しむ

このように考えていくと、アクティブな投信を買う場合には、「中長期的な未来(夢)を買う」「目先の小さな値動きには一喜一憂しない」「むしろ、市場の不安定さを楽しむ姿勢を持っている」というような志向が適していることが分かります。

残念ながら、この世の中には、自分だけが儲かる機会はありません。いえ、あるかもしれませんが、そう都合よく転がってはいません。
高いリターンは高いリスクを取るからこそ獲得することができます。それは、夢を買うこととほとんど同義です。投資をして、運用成績を見て、楽しいという気持ちが起こったり、わくわくする人は、高いリスクを取ってでも、積極的な投資をするべきです。なぜかというと、安定を犠牲にすることで、人生に潤いを与えることができるからです。

得をすることと損をすることは驚くほどよく似ています。世の中の人よりも手堅くいきたい、と思う人は、金融機関の宣伝に踊らされず、預貯金で運用しましょう。まあ、世間一般なみの不安定さなら受け入れてもよいかな、と思うのならば、インデックス投資をしましょう。それ以上の冒険心があるならば、中長期的な展望を持ってアクティブなファンドに手を出してみるのもよいでしょう。

photo credit: Great Beyond via photopin cc