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第2次安倍政権が発足後、不動産銘柄やJ-REITも価格を大きく上げてきました。株式配当利回りより比較的高い利回りであるJ-REITはNISA口座で運用する投資商品の有力候補でもあります。
NISA・少額投資非課税制度という言葉は、最近、テレビや新聞などで、見聞きする機会があるかと思います。NISAは、新たに時限的に実施される投資優遇税制制度です。イギリスのISAを手本としており、日本版ISAとも呼ばれています。今回はこのJ-REITに的を絞りたいと思います。


NISA(ニーサ/日本版ISA)ではREITは株式と併せて持ちたい

不動産銘柄、例えば三井不動産や三菱地所、住友不動産などとJ-REITとの大きな違いは収益源です。

三井不動産などの大手ディベロッパーは都市開発、マンション開発、不動産賃貸、賃貸管理など不動産に係るあらゆることをビジネスとしています。特に都市開発、マンション開発はやり方によっては大きく収益を稼ぐことができる事業です。

一方で、J-REITは不動産賃貸のみを収益源としています。つまり、ストック型のビジネスモデルなのです。基本的に売却をして稼ぐということを目的としていないため、収入は安定していますが、大きく収益を伸ばすということも期待できません。分配金が大きく増えることはあまり期待できず、投資口価格の急上昇の可能性もあまり見込めません。

ただ、安定した収入を得ることができるという特徴を活かして、不動産銘柄に限らず、株式を攻めの投資と据え、J-REITを守りの投資として、資産運用を行うというのも1つの投資戦略です。NISA口座の非課税枠を確実に利用したいと考えているのであれば、分配金を目当てにJ-REITをNISA口座で保有してみてもよいでしょう。今回はJ-REITの中で注目をしたい3銘柄について取り上げました。


NISA(ニーサ/日本版ISA)で見る産業ファンド投資法人

産業ファンド投資法人(証券コード3249)は2007年10月に東京証券取引所に上場されました。物流施設や研究施設、インフラ施設など29物件の産業用不動産に投資するREITです。主な保有物件にはIIF羽田空港メインテナンスセンター、IIF神戸地域冷暖房センター、IIF東雲ロジスティックスセンターなどがあります。主な賃借人は日本航空、佐川急便、日本ユニシス、JCB、大阪ガスです。契約賃貸借期間が10年以上のものである物件が22件、2年以上10年未満であるものが9件、2年未満であるものが1件となっています。

総資産額は175,196百万円、稼働率は99.9%、資産運用会社は三菱商事・ユービエスリアルティです。2013年11月1日における投資口価格は1口あたり901,000円、予想分配金利回りは3.54%、NAV倍率は1.68倍です。
産業ファンド投資法人で注目するべきは分配金の推移です。2012年12月期より10,102円、10,919円、12,377円、13,176円、14,387円、15,643円と増配を続けてきており、2013年12月期においても15,958円と増配を予定しています。

増資をして希薄化を招くREITもある中で、産業ファンド投資法人はむしろ増配につなげており、一定の評価ができると言えます。
(文中の数字、保有物件のうち特に注釈がないものについては2013年6月期時点のものです。)


NISA(ニーサ/日本版ISA)で見るグローバルワン投資法人

グローバルワン投資法人(証券コード8958)は2003年10月に東京証券取引所に上場されました。
「近・新・大」をキーワードに駅に近いなど立地の優れた物件、築年数の浅い物件、大型の物件という3要素を満たしたオフィスビル9物件に投資しています。

主な物件にTK南青山ビル、大手町ファーストスクエア、明治安田生命さいたま新都心ビルが挙げられ、主な賃借人は森ビル、ワールド、日本生命となっています。総資産額は156,901百万円、稼働率は88.7%(2013年9月時点)、資産運用会社はグローバル・アライアンス・リアルティです。資産運用会社は聞きなれない名前ですが、株主に明治安田生命、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、近畿日本鉄道、森ビルが名前を連ねています。

2013年11月1日における投資口価格は1口当たり577,000円、NAV倍率は0.68倍となっています。分配金と推移をみると2013年3月期14,483円、同年9月期13,100円、2014年3月期10,100円と減配傾向にあります。これは、主要テナントだったネットワンシステムが2013年8月末日、9月末日で解約になることが大きく影響しています。

大きなオフィスビルを複数持ち、大口契約をしていることが裏目に出た格好となっています。また上場から10年が経過し、当時は築年数の浅かった物件も、今では古くなってしまい、運用方針と合わなくなっているものも出てきています。これらの物件をどうしていくのかといった点も注視したいところです。

(文中の数字、保有物件のうち特に注釈がないものについては2013年3月期時点のものです。)


NISA(ニーサ/日本版ISA)で見るイオンリート投資法人

2013年11月22日にイオンリートが上場されます。公募投資口数は90万口、1口あたり10万円程度を予定していますので、900億円前後の資金を株式市場から調達する予定であることになります。REITの中でも大型の上場ということができます。

上場承認時点の当初資産は国内16物件、海外1物件の計17物件であり、総額1,589億円程度になります。組み入れる物件には越谷にあるレイクタウンをはじめ、イオンモール盛岡やイオンモール熊本などがあり、全国に分散投資できる商業施設特化型のREITと言えます。

今まではイオングループが抱えていた商業施設を売却する場合、日本リテールファンドやフロンティア投資法人など他のREITに譲渡していました。今後はイオングループ内で機動的に物件の譲渡ができるようになります。なお、イオンリートで注目したい点はJ-REITで初めて海外の物件(イオン・タマン・ユニバーシティ・ショッピング・センター)が組み込まれているということです。

ASEAN・中国など経済発展が見込める海外物件を投資比率15%以下の範囲内で投資する方針であるので、今後も新たに海外物件の組み入れがありそうです。気になる点は物件の譲渡元、テナント、管理会社、運用会社がすべてイオングループであるということです。この点、上場後の運用において注意が必要です。


NISA(ニーサ/日本版ISA)でのREITは10年物国債利回りとの差を見ながら投資を考えよう

今回、注目したいREITを取り上げてみましたが、アベノミクスの影響でイオンリートを除く2銘柄を始め株式市場に上場されているREITの投資口価格はかなり高い水準になっています。ここから一段の投資をしてもよいのか不安になる投資家もいるかと思います。

REITへ投資をする際に、しばしば目安として言われているのは、「REITの平均分配金利回りと10年物国債利回りの差が3%以上」ある場合には買っていても良いということです。2013年11月1日時点での10年物国債利回りは0.60%、REITの平均分配金利回りは3.71%。その差は3.11%です。ギリギリ買える範囲内と言えますが、簡単に3%を切る可能性もあります。

また、個別銘柄で見れば、産業ファンド投資法人のように10年物国債利回りとの分配金利回りの差が3%を切っているものもあります。但し、オフィス賃料は底打ちの兆しもあり、分配金の増配も期待できる局面です。ギリギリ3%以上の差がある今のうちに購入しておき、3%を割ってキャピタルゲインが出ているようだったら、いったん売却してキャピタルゲインを確定しておくというのも投資戦略の1つです。

但し、NISA口座は、保有銘柄を一度売却したことによって余った枠をもう1度使うことはできないということは覚えておきましょう。