会社には、いろいろな社風や文化があったりします。例えば、「風通しがいい会社」は英語で何というでしょうか。また、日本独自の表現である「持ちつ持たれつ」や「あうんの呼吸」なども、当然ながら英語の表現があります。そういったことを、定型的な言い回しで表現してみましょう。「お、英語ができるな!」という風に思われるかもしれませんよ。

(本記事は、デイビッド・セイン氏の著書 「おつかれさま」を英語で言えますか? KADOKAWA(2017年5月13日)の中から一部を抜粋・編集しています)

(画像=Webサイトより)
(画像=Webサイトより)

(1)…への思い入れ
strong feelings about/for…

特定のことや人に対して、特別深い感情を表すのが「思い入れ」。
「…に対する強い気持ち」と訳し、strong feelings about/for…と
言えば、対象物への愛着、熱い思いが表せます。作品への思い入れは、This is my baby.(これは思い入れたっぷりの作品なんだ)。

(2)持ちつ持たれつ
give-and-take

これは日本人にとってもなじみのある表現だと思いますが、giveand- takeが近い英語でしょう。ただ、日本語の「持ちつ持たれつ」が「協力」というポジティブなニュアンスを持つのに対し、英語は、 The relationship between the government and the citizens is give-and-take.(政府と国民の関係はギブアンドテイクだ)のように、どちらかと言うと「妥協」という意味合いが強い表現になります。

「世の中は持ちつ持たれつ」は、 It’s helping each other that makes the world go round.(お互いが助け合えば世の中はうまく回る)などとすれば、協力し合っているニュアンスが出ます。

(3)あうんの呼吸
on the same wavelength

梵字(ぼんじ)の文字のはじめと終わりの文字「阿」と「吽」。万事のはじめから終わりを意味し、「阿吽(あうん)の呼吸」はすべてにおいて呼吸が合う、通じ合った関係を表します。「波長」「考え方/感じ方」の wavelength を使い、on the same wavelengthでばっちり伝わります。仕事上で呼吸が合うことを work in sync と言うことも。

(4)…におんぶにだっこだ
completely rely on…

おんぶされている上にだっこまで! 至れり尽くせりです。これは「…の助けなしではどうしようもない」の would be helpless without…が近いニュアンスに。また、完全に頼り切っている様子を表すのに、「徹底的に」の completely を使い、completely rely on…なら、他人の好意に甘えて頼り切っている様子が出ます。

(5)なしくずし
little by little

「なしくずし」を物事が駄目になっていくことだと誤解している日本人が多いようですが、「借金を少しずつ返していく」が転じて、「物ごとを少しずつ進めていく」という建設的なイメージで使うのが本来の使い方だそうです。英語で「少しずつ」はlittle by little と言います。徐々にことが運ばれるという意味で、ポジティブにもネガティブにも対応できます。

建設的なイメージで使う「彼は親の借金を、少しずつだったが完済した」は、He paid off his parent’s debt little by little. です。

(6)針のむしろ
mental torture

「むしろ」とは草で編まれた敷物のことです。それが針でできていて、その上に座らされるなんて! 英語での似た表現は bed of nails(爪でできたベッド)ですが、あまりネイティブは使いません。通常、耐え難い精神的苦しみは、生き地獄を意味する torture を使って、 mental tortureと言えば、ひどい苦しみが伝わります。

(7)泣き寝入りする
sit down and take it

理不尽なことが起きてくやしいことがあっても、結局どうすることもできないこと。英語では「…と折り合いをつける」の deal with…という言い方が。ただこれだと、くやしい気持ちがいまひとつなので、sit down and take itでどう?直訳は「座って受け入れる」です。涙をのんで我慢している様子がばっちり浮かびませんか?

(8)飛ぶ鳥を落とす勢い
skyrocketing

飛んでいる鳥でさえ、勢いにおされて落ちてしまうほど、ものごとが盛んな様子。これはskyrocketing がとても近い英語です。空に向かうロケットの留まるところを知らない勢いにたとえて使います。 skyrocketing growth(うなぎ上りの成長)、skyrocketing prices (価格の急騰)などとよく使われる単語です。

(デイビッド・セイン著『「おつかれさま」を英語で言えますか?』KADOKAWA(2017年5月13日))
(デイビッド・セイン著『「おつかれさま」を英語で言えますか?』KADOKAWA(2017年5月13日))

(9)背に腹は代えられない
have one’s back against the wall

目の前の苦痛から逃れるためには、ほかのことを犠牲にしてもしかたない、つまり「絶体絶命」状態に使う言葉です。「窮地に追い込まれる」という意味のhave one’s back against the wallという表現がいいでしょう。背中は壁で行き止まり、「背水の陣」といったところ。There’s no way.も「やるしかない」というニュアンスで使えます。

(10)風通しがいい…
with good communication

日本人の友人から「換気する」を使った I’m looking for a better ventilated company. と言われたことがありますが、これでは「じゃ今の会社は酸素がないの?」と思っちゃいます。「コミュニケーションが取れている会社」で company with good communicationでよい職場の雰囲気が。

【NOT BAD! 】
I want to switch to a company with good communication. 風通しのいい会社に転職したい。

デイビッド・セイン
1959年、アメリカ・ユタ州生まれ。ユタ州立大学卒業後、カリフォルニア州アズサパシフィック大学で社会学修士号取得。これまで累計350万部以上の著作を刊行してきた英語本のベストセラー著者。英語学校A to Z校長。証券会社勤務の後、来日。日米会話学院などを経て、英会話学校経営、翻訳、英語書籍・教材制作などを行なうクリエーター集団「エートゥーゼット」の代表を務める。日本における26年以上の豊富な英語教授経験を生かし、日本人にあった日本人のための英語マスター術を多数開発

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