ルネサンス美術,メディチ家
(写真=Thinkstock/Getty Images)

目次

  1. 美術と経済との相関性
  2. 十字軍運動とヴェネツィア商人
  3. フィレンツェ「欧州金融センター」の発展
  4. 美術史を知れば「経済史が分かる」

美術と経済との相関性

芸術の分野において、とりわけ「ルネサンス美術」の展覧会は日本でよく開催されていることもあり、関心をお持ちの方は非常に多い。その一方、美術の発展が経済(お金)と密接な関わりがあることはさほど浸透していないようである。そこで中世のイタリアで花開いた「ルネサンス美術」の歴史をひもときながら経済との関わりを紹介する。

十字軍運動とヴェネツィア商人

ルネサンスの起源・定義についての解釈は多様で、これまでも様々な議論がなされてきた。例えば、11世紀末に始まった「十字軍運動」からも、そのきっかけの一つを見つけることができる。

十字軍運動とは、西欧キリスト教徒が東欧や中東地域に向けた軍事遠征のことで約200年にわたって展開された。そんな度重なる十字軍の遠征の恩恵を受けたのがヴェネツィアである。当時のヴェネツィア商人たちは、十字軍を相手に船を貸し、食糧や水を売り、兵士まで派遣する「ビジネス」を行い、時にはビジネスの報酬に征服地の一部を領土として受け取ることもあったという。同時に十字軍によってもたらされた香辛料などが、地中海を渡って運ばれ、貿易の拡大・発展に寄与したことも事実である。

当時のヴェネチアは、約200年にわたる十字軍運動を後ろ盾に経済的にも大きく発展した。強大な経済力を有する商人たちは、政治的にも大きなチカラを持つようになり、やがて国を動かすまでになったのである。ヴェネチアだけではなく、フィレンツェなど当時のイタリアの主だった都市は政治的にも経済的にも「ギルド(※イタリア語で「アルテ」)」という商工業者の大組合が権力を掌握していた。そして、こうした政治経済システムがルネサンスの母体となったのである。

フィレンツェ「欧州金融センター」の発展