どうやってセブンカフェは人気になったのか
セブンは30年も前から、入れたてコーヒーの販売を手がけており、コーヒーについては失敗の歴史でした。現在のマシンは4世代目であり、多くの試行錯誤を繰り返してきました。デカンタ型の容器にコーヒーを作り置きしておくタイプやカートリッジ式のマシンは、酸化による風味の劣化に悩まされたと言います。5度目の挑戦ではドリップ式を採用。日本のだし文化に注目し軟水が多い日本ではエスプレッソ式の発想を捨て、ドリップ式に踏み切ったといいます。
こうしたセブンカフェはセブンならではのマーチャンダイジング(MD)により誕生しました。MDはセブンがプロジェクトリーダーとなり、原料・製造・資材・機材などを提供するメーカーと共同で商品を開発する仕組みです。マシンメーカーは富士電機、コーヒー豆の調達は三井物産と丸紅、コーヒー豆焙煎はAGFとUCC上島珈琲、氷は小久保製氷冷蔵といったように業界のトッププレーヤーが力を合わせています。また力を合わせただけではなく、セブンがこれまで収集していたユーザーからの膨大名顧客データをマーケティングデータとして商品を誕生させることに成功したのです。
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セブンイレブンをはじめとしたコンビニ各社はPOSシステムを導入しており、消費者が購入を行う際に、店員が消費者の年齢を推定し、精算の前にPOSで性別。年齢別キーボードでその消費者情報を入力する仕組みになっています。一つ一つのデータは至極単純なデータなのですが、このデータには商品名・購入された時間帯・購入場所・性別・年齢などのデータが複合的に組み合わさることで、日本全国の母集団になると消費者動向が推定できるような膨大なデータとなるのです。
セブンカフェを成功に導いたのはこのビッグデータが大きな要因であることは疑いの無い事実ですし、今後コンビニ各社もこうしたデータを活用しさらに効率的に商品開発を行うだろうと予想されます。こうしたビッグデータを活用したマーチャンダイジングに関連する企業は投資先として銘柄選択をする際に検討してもよいかもしれません。
今後のコンビニ業界の動向
コンビニ各社もセブンに続けとばかりに、魅力的なカフェメニューをラインナップさせています。ファミマはミルクコーヒー味のかき氷にエスプレッソ抽出のコーヒーを注ぐ「カフェフラッペ」、ミニストップはSサイズのアイスコーヒーにソフトクリームをのせた「コーヒーフロート」、サークルKサンクスは「大和園 ジャスミン茶」など、基本メニューのコーヒーに特化するセブンイレブンに対抗して工夫を凝らした商品を投入しています。
コンビニコーヒー戦争も2年目に突入しましたが、このコーヒーマーケットはセブンカフェの登場で大きく市場が開拓されたといえるでしょう。ビッグデータを活用したマーチャンダイジング型の商品開発によって次はどの商品市場が開拓されていくのか、今後もコンビニ業界から目が離せません。
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