はじめに
安倍晋三政権による経済政策「アベノミクス」は2018年12月で7年目に入る。この間、日本経済は景気拡大を続け、東京株式市場の株価は下落局面を何度か迎えながら、順調に上昇を続けてきた。しかし、戦後最長の景気拡大が視野に入る中、そろそろ、日本経済も息切れするのではないか、との見方もある。
このアベノミクス6年の間、株価が史上最高値を記録する企業や久々の高値水準に達する企業も数多く生まれた。そうした企業の業績を支えているものは何だろうか。そして、これからも好調な業績を保つことはできるのだろうか。
ここ数年で株価が高値を更新した企業を取り上げ、成長の秘密に迫りたい。
※2018年1月配信記事を再編集したものです。
知る人ぞ知るキーエンスってどんな会社?
キーエンス <6861> をご存知だろうか。同社はFA用の各種センサーや測定機器などの開発から販売までを手がける企業だ。FAとは「ファクトリーオートメーション」の略称で、工場の生産工程の自動化を図るシステムのこと。一般の消費者には馴染みが薄いかも知れないが、就活生や株式市場では結構知名度の高い企業でもある。
ちなみに、キーエンスの生涯給与は7億円を超える。株価もリーマンショック後の安値から12倍以上となり、1単元買うのに700万円以上もする典型的な「値がさ株」である。
そんなキーエンスについて詳しく見てみよう。
キーエンスは「年収ランキング」の常連
東洋経済新報社は『会社四季報』のデータを基に上場企業の年収ランキングを公表している。キーエンスはそのランキングでトップクラスの常連だ。
2018年1月に発表されたランキングを見ると、1位のGCA <2174> が2139万円、2位のM&Aキャピタルパートナーズ <6080> が1905万円、そして3位がキーエンスで1861万円となっている。ちなみに、1位と2位はともにM&Aを手掛ける企業である。毎年発表される同ランキングでは金融、テレビ局、商社などの非製造業が目立つのだが、そうした中にあって製造業のキーエンスは常に上位にランクインしている。
「生涯給与ランキング」でもキーエンスは7億5631万円で3位にランクインしている。就職活動の際に同社に興味を持ち、調べたことがある人も少なくないだろう。