キーエンス <6861> をご存知だろうか。同社はFA用の各種センサや測定機器などの開発から販売までを手がける企業だ。FAとは「ファクトリーオートメーション」の略称で、工場の生産工程の自動化を図るシステムのこと。一般の消費者には馴染みが薄いかも知れないが、就活生や株式市場では結構知名度の高い企業でもある。

ちなみに、キーエンスの生涯給与は7億円を超える。株価もリーマンショック後の安値から12倍以上となり、1単元買うのに700万円以上もする典型的な「値がさ株」である。今回はそんなキーエンスについて詳しく見てみよう。

キーエンスは「年収ランキング」の常連

キーエンス,株価
(画像=Thinkstock/GettyImages)

東洋経済新報社は『会社四季報』のデータを基に上場企業の年収ランキングを公表している。キーエンスはそのランキングでトップクラスの常連だ。

今月発表されたばかりの直近のランキングを見ると、1位のGCA <2174> が2139万円、2位のM&Aキャピタルパートナーズ <6080> が1905万円、そして3位がキーエンスで1861万円となっている。ちなみに、1位と2位はともにM&Aを手掛ける企業である。毎年発表される同ランキングでは金融、テレビ局、商社などの非製造業が目立つのであるが、そうした中にあって製造業のキーエンスは常に上位にランクインしている。

「生涯給与ランキング」でもキーエンスは7億5631万円で3位にランクインしている。就職活動の際に同社に興味を持ち、調べたことがある人も少なくないことだろう。

株価は「過去最高値」を更新

キーエンスは年収だけでなく、株価も高い。先週24日には7万2400円と過去最高値を更新した。長期的に見てもリーマンショック後の安値5648円(2008年)から12倍を超えている。

キーエンス株の売買単位は100株単位なので、1単元買うのに700万円以上必要となる。典型的な「値がさ株」といえるが、その背景には好業績・高採算を抜きに語ることはできない。実際、キーエンス株の「外国人持株比率」は49%に達しており、海外からも評価を得ている企業なのだ。

驚異的な「営業利益率」の背景は?

ちなみに、キーエンスの「営業利益率」は53%だ。株式市場に長年携わり、数多くの上場企業を分析している筆者から見ても「製造業で営業利益50%超え」は驚異的である。たとえば、トヨタはカンバン方式を採用しコストカットを徹底しているが、それでも前期末の営業利益率は約7%だ。トヨタが過去最高益を記録した2016年3月期の営業利益率でさえ約10%である。筆者の経験で言わせて頂くなら、製造業に関しては営業利益率が10%もあれば十分に高収益であり、その意味においてキーエンスの50%超えは突出している。

なぜ、キーエンスの営業利益率はこれほどまでに高いのだろうか。まず、注目されるのはキーエンスは「ファブレス企業」という点だ。ファブレスとは工場を所有せずに製造業としての活動を行うビジネスモデルである。任天堂 <7974> や米アップルも同様のビジネスモデルであるが、キーエンスの高収益の要因の一つがこのビジネスモデルにあることは確かであろう。

さらにもう一つ、見逃せないのが「BtoBの直販体制」である。これにより、卸売などにかかる販売経費を軽減できることも高収益をもたらす要因と考えられる。

世界的なニーズの高まり、付加価値の提供

冒頭で述べた通り、キーエンスはFA用の各種センサ等を手がける企業だ。世界的に景気が回復基調にあり、「工場の自動化」のニーズが高まる中で電機や自動車、半導体、液晶、食品、製薬、素材など様々な分野でFA用センサの需要が拡大する傾向にある。競合メーカーが世界的にも少なく、同社ならではの付加価値を提供できる点も、高収益を後押ししていると筆者は見ている。

ところで、キーエンスは業績予想を発表しないうえ、決算期の変更が多い企業でもある。昨年10月30日発表の2018年3月期中間決算(3〜9月)を前年同期と比較した売上は26.2%増の2504億円、営業利益は33.6%増の1383億円だった。アナリストコンセンサスの今期営業利益予想は約2700億円で、通期では過去最高を更新することも期待されている。どうやら、今年もキーエンスの給料は増えそうな情勢だ。(ZUU online 編集部)