ソニー <6758> といえば世界的な大企業だ。ゲームや映画、携帯向けのイメージセンサーなどグローバルベースで展開する事業が多数あり、その業績や株価はハイテクだけでなく株式市場を象徴する存在でもある。とりわけバブル絶頂期のソニーといえば、常に新しい商品を市場に提供する最先端の企業だった。

10月31日、そのソニーが発表した2018年3月期上期(4〜9月)の決算は市場予想を大幅に上回るサプライズとなった。翌11月1日のソニー株は11%高の4918円と上昇、同日の日経平均株価も2万2420円と19年ぶりの高値となった。その後もソニー株は9営業日連続で上昇し、先週8日には年初来高値となる5485円を付けている。

ソニー株の5000円台は9年ぶりのことだ。筆者の周りでは「逆ソニー・ショック」との声も聞かれたほどである。もっとも、投資初心者には「逆ソニー・ショック」と言われても何のことか分かりにくいかも知れない。そこで今回は「ソニー・ショック」の意味とその背景について詳しく解説したい。

「ソニー・ショック」とはどんなショックか?

ソニー,株価
(写真=Thinkstock/Getty Images)

先に述べた通り、バブル期のソニーはハイテクの象徴でもあり、日本株の中でも特別な存在だった。そんなソニーが「低迷期」に突入するのが2000年代である。テレビ、ゲーム、パソコンなどの業績が軒並み失速し、2009年3月期には最終赤字に転落、その後2016年3月期に黒字化するまでの7年間のうち6期で赤字計上を余儀なくされる。

ちなみに、株式市場で「ソニー・ショック」との言葉が初めて使われたのは低迷期の初期、2003年だったと筆者は記憶している。

2003年4月25日、ソニーの稼ぎ頭だったゲーム機とパソコンが苦戦し、2003年1〜3月期の連結営業損益が約140億円の赤字となった。通期の営業利益も従来予想を1000億円下回る約1854億円となり、同時に2004年度通期の業績計画も大幅減益となる見通しが示されたのである。株式市場の動揺は大きく、ソニーの株価は2日連続でストップ安となり、その影響は日経平均株価にも及んだ。そして、同4月28日に日経平均株価はバブル崩壊後の安値7603円を付けることになる。大企業とはいえ、たった1社の決算が全体相場(日経平均株価)にまで影響を与えた出来事は、市場関係者の間で「ソニー・ショック」と呼ばれるようになった。

その後もソニーの決算発表は大幅な下方修正となることが多く、日経平均株価の下げを加速させる場面も度々見られた。その度に株式市場では「ソニー・ショック」と呼ばれるようになる。文字通り過去に繰り返された「ソニー・ショック」がトラウマとなっているのは筆者だけではないはずだ。

ソニー・ショックから「逆ソニー・ショック」へ大転換?

そんなソニーが2018年3月期上期の決算を発表したのは先月31日のことだ。それによると、営業利益は3618億円(前年同期比3.5倍)となり、通期の営業利益予想を5000億円から6300億円と26%上方修正した。実績・予想ともに市場のコンセンサスを越えるポジティブ・サプライズで、翌日のソニー株は11.4%高と急上昇した。時期を同じくして日経平均株価も上昇したことから筆者の周りでは「逆ソニー・ショック」との声も聞かれる。

今回の決算内容を見ると、半導体分野のモバイル機器向けイメージセンサー、ゲームのPS4、音楽制作などが好調のほか、為替の円安も好決算に寄与している。上期の米ドルに対する平均円レートは111円10銭、同じく対ユーロは126円30銭。対米ドルは前年同期比5.2%、対ユーロは6.4%の円安で為替変動による営業利益の押し上げ効果は231億円だった。もっとも全体の営業利益は2599億円改善しており、あくまで円安効果はその一部だった。ソニーの通期新予想によると、過去最高益を更新する見通しだ。

「ソニー・ショック」がソニーの低迷時代と日経平均株価の下げを示唆していたとするのなら、今回の「逆ソニー・ショック」はソニーが利益面だけでなく、テクノロジー企業の最先端を走る企業として完全復活し、日経平均株価を牽引する未来を示唆しているのだろうか。今後の展開を注意深く見守りたい。

平田和生 (ひらたかずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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