※2017年11月配信記事を再編集したものです。
ソニー株10年ぶり高値が示唆するものとは
ソニー <6758> といえば世界的な大企業だ。ゲームや映画、携帯向けのイメージセンサーなどグローバルベースで展開する事業が多数あり、その業績や株価はハイテクだけでなく株式市場を象徴する存在でもある。とりわけバブル絶頂期のソニーといえば、常に新しい商品を市場に提供する最先端の企業だった。
2017年10月31日、そのソニーが発表した2018年3月期上期(4〜9月)の決算は市場予想を大幅に上回るサプライズとなった。翌11月1日のソニー株は11%高の4918円と上昇、同日の日経平均株価も2万2420円と19年ぶりの高値となった。その後もソニー株は9営業日連続で上昇し、株価は5000円台を突破した。
このとき、ソニー株の5000円台は9年ぶりのことだった。その後もソニー株は上昇を続け、18年7月には10年半ぶりの6000円台にのせた。こうしたソニー株の高騰について、市場関係者からは「逆ソニー・ショック」との声も聞かれる。もっとも、投資初心者は「逆ソニー・ショック」と言われても何のことか分からないかもしれない。そこで「ソニー・ショック」の意味とその背景について詳しく解説したい。
「ソニー・ショック」とは何か
バブル期のソニーはハイテクの象徴でもあり、日本株の中でも特別な存在だった。そんなソニーが「低迷期」に突入するのが2000年代である。テレビ、ゲーム、パソコンなどの業績が軒並み失速し、2009年3月期には最終赤字に転落、その後2016年3月期に黒字化するまでの7年間のうち6期で赤字計上を余儀なくされる。
2003年4月25日、ソニーの稼ぎ頭だったゲーム機とパソコンの苦戦によって、2003年1〜3月期の連結営業損益が約140億円の赤字となった。通期の営業利益も従来予想を1000億円下回る約1854億円となり、同時に2004年度通期の業績計画も大幅減益となる見通しが示された。株式市場の動揺は大きく、ソニーの株価は2日連続でストップ安となり、その影響は日経平均株価にも及んだ。そして、同4月28日に日経平均株価はバブル崩壊後の安値7603円を付けることになる。大企業とはいえ、たった1社の決算が全体相場(日経平均株価)にまで影響を与えた出来事は、市場関係者の間で「ソニー・ショック」と呼ばれるようになった。
その後もソニーの決算発表は大幅な下方修正となることが多く、日経平均株価の下げを加速させる場面も度々見られた。その度に株式市場では「ソニー・ショック」と呼ばれるようになる。文字通り過去に繰り返された「ソニー・ショック」がトラウマとなっている株式市場関係者は少なくないはずだ。