北の達人コーポレーション <2930> をご存知だろうか。2017年の株式市場で「値上がり率トップ」の企業だ。同社はオリジナルの健康食品・化粧品を販売する会社で、高成長・高収益を絵に描いたようなビジネスモデルを展開している。そうした高成長・高収益を背景に、北の達人コーポレーション株の年間パフォーマンスは「10倍超え(テンバガー)」を達成しているのだ。

今回は北の達人コーポレーション(以下、北の達人)がテンバガーを達成した背景について詳しく見てみよう。

2017年を代表する「テンバガー銘柄」

北の達人,株価
(画像=Thinkstock/GettyImages)

2017年12月29日の大納会で、北の達人は取引時間中に上場来高値となる1521円を付け、1455円で引けた。年間パフォーマンスはなんと「10.9倍」である。

ちなみに、2017年に年初来安値からその後の高値までの上昇率で「一時的に」テンバガーとなった銘柄にはサイバーステップ <3810> 、ペッパーフードサービス <3053> 、リミックスポイント <3825> などがあったが、年間で完全にテンバガーを達成したのは北の達人だけだった。

北の達人には株価が「人気化する要素」が集約していたと筆者は考えている。詳しく解説しよう。

札幌アンビシャスから東証1部まで

北の達人は、北海道の札幌市に本社を置く企業だ。2000年に北海道特産品のネット通販サイトを開設し、2002年に創業した。2006年には自社開発の健康食品「カイテキオリゴ」サイトを開設、主力事業を健康・美容分野に集中しはじめたのもこの時期だ。そして、その健康・美容分野の成長を背景に、2012年5月には札幌アンビシャス市場にIPOを果たす。

札幌アンビシャスとは、将来的に札幌本則市場の上場を目指す「北海道と何らかのつながりのある」中小企業を育成するマーケットである。

2013年3月、北の達人は札幌本則市場に昇進、2014年11月には東証2部、2015年11月には東証1部に指定替えと順調にステップアップしている。

なお、2012年5月に札幌アンビシャス市場のIPOで付けた初値は106円(※分割調整後)だった。もし、初値で買っていれば14倍になっている計算である。同社は2013年2月に1株を4株に、続いて2014年1月、2015年6月、2017年4月、2017年11月にそれぞれ1株を2株に分割するなど「株主還元策」も積極的に推進してきた。上場時に100株保有していれば6400株まで持株が増えていることになる。こうした「株主還元策」も北の達人の投資人気を高める要因の一つと考えられる。

売上は5年で3.8倍、今期2度の上方修正

健康・美容分野では前記の「カイテキオリゴ」のほか、ここ数年に投入した自社オリジナルの新商品も絶好調で、売上の伸びを後押ししている。

たとえば、2018年2月期の売上予想は昨年4月の時点で11.3%増の30億円を見込んでいたが、7月には47.2%増の39.6億円に上方修正、さらに10月には95.9%増の52.8億円に再び上方修正している。52.8億円といえば過去5年間で3.8倍、年平均で30.8%の高成長だ。

会社予想では、広告宣伝費の増加と組織強化の経費増から、本業の利益を示す営業利益の今期予想を期初時点の43.4%増(7億7000万円)に据え置いている。もっとも、一連の株価上昇に見られるように市場参加者の上方修正への期待は高いようだ。

高収益の秘訣は「○○を追わない」こと

先に述べた通り、北の達人の「成長の原動力」は自社開発の健康食品・化粧品であり、「北の快適工房」ブランドで現在25商品を展開している。つまり、単なるeコマースとは一線を画するSPA(製造小売)形態であることが特徴といえる。

もう一つ、特筆すべきはニッチ市場の少数アイテムに特化し、「流行を追わず」リピーターを増やすことで売上を堅実に増やす経営戦略である。便秘、アトピー、ニキビなど競合が少ない10〜20億円市場でトップシェアを築いてきたことも、高収益の一因と考えられる。

たとえば主力の「カイテキオリゴ」は家庭用オリゴ糖食品として売上トップシェアを誇る。北海道産のてん菜から天然抽出したオリゴ糖で、体内の善玉菌であるビフィズス菌により体の中からキレイをサポートするのをウリにした商品だ。

売上急増を牽引するヒット商品「アイキララ」は、目の下のクマにハリと弾力をもたらす化粧品とされている。医学誌での掲載などが評判を呼び、2015年11月の発売直後は予約が殺到して2カ月待ちとなるほどの評判だったという。

巷で健康食品といえば酵素、水素水、レスベラトロール、コエンザイム等を耳にすることも多いが、北の達人はそういった「流行り」を追わないのも特徴だ。むしろ、地味ながら品質で勝負できるオリゴ糖、梅肉エキス、竹酢液、ホエイなどに注力している。そういった分野で着実にトップ商品の地歩を築くことでリピーターを増やし、結果として同社の業績アップをもたらしている側面もあるのだ。

ここ数年はインバウンドの指名買いも増えており、上記に示した商品以外にも保湿ケア商品の「みんなの肌潤糖」シリーズや洗顔料「二十年ほいっぷ」の人気も高まっているという。

来期は「売上100億円」も視野に?

北の達人は中期経営計画として、売上高100億円、営業利益30億円を目標に掲げている。筆者は現在の好調が持続するのであれば、来期には手が届くのではないかと考えている。インバウンド需要も引き続き好調なことから海外での拡販も期待できそうだ。

ROE(自己資本利益率)は前期24.8%、今期予想は30%に乗る見込みである。「高成長・高収益・高ROE」で東証1部に昇格した経緯もあり、外国人投資家や投資信託の運用会社の保有比率も増えているとの観測もある。

予想配当性向も30%と高く、上場来5期連続の実質増配が予想されている。ちなみに、前期末の株主優待は定価3065円相当の「カイテキオリゴ」だった。

北の達人の予想PER(株価収益率)は100倍を超えているものの、機関投資家にも個人投資家にも人気化する環境は整っていたわけであり、そうした環境が「テンバガー」達成をもたらしたのだろう。

平田和生(ひらたかずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。