(本記事は、吉田裕子氏の著書『会社では教えてもらえない 人を動かせる人の文章のキホン』すばる舎、2018年3月26日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【関連記事 『会社では教えてもらえない 人を動かせる人の文章のキホン』より】
・(1)現代人の集中力は、なんと8秒「人を動かす文章」3つの要素
・(2)仕事がデキる人の「テンプレ文章」活用術 意識するたったひとつのポイント
・(3)ビジネスで使うと「一気に信頼を失う」文章とは? 使っていないか要確認
・(4)「知的だと思われる文章」の書き方とは? 注意したい2つのこと

会社では教えてもらえない 人を動かせる人の文章のキホン
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

送付状、リマインドメール、企画書......

会社では教えてもらえない 人を動かせる人の文章のキホン
(画像=Rawpixel.com/shutterstock.com)

文章が思うように書けないという人に聞くと、「何を書いたらいいかわからない」「伝えたい内容はピックアップしたけれど、どう文章として構成したらいいかわからない」という声がよく挙がります。

あれこれと悩んだ結果、ひとつの文章を作り上げるのに、想像以上の時間がかかってしまった、ということになりがちです。それでは効率が悪いですね。

文章を速く書くには、テンプレートを作るのがオススメです。たとえば、

・書類やパンフレットの送付状
・次回の打ち合わせ日時のリマインドメール
・会議用資料や議事録などを関係者に送付するメール

のように、自分にとってよく使うシチュエーションの文面は、あらかじめテンプレートを作っておいて、具体的な日付などを入れれば、すぐに完成できるよう準備しておくと良いでしょう。

さらに言えば、企画や報告をまとめたりする際にも、おおまかなテンプレートを作っておくと便利です。

5W1Hがやっぱりまとめやすい

報告に関しても、次のような、5W1Hをもとにしたテンプレートを意識すると、迅速に、わかりやすい文章を書くことができます。

・いつ(イベントや会議のあった日、問題の発生日時など)
・どこで(場所、会議名、情報ソースなど)
・誰が(関係人物など)
・何を(対象物、検討事項など)
・どうした(行為、判断、結末、対処法など)
・なぜ(原因、理由、目的など)
・報告を受けた相手の取るべきアクション(知っておいてくれればいい、いつまでに何を決断してほしい、何を手伝ってほしいなど)

もちろん、毎回すべての項目が埋まるわけではないでしょうが、考えるのがラクになるはずです。

パパッと処理して評価を上げる!

実際に左の報告書テンプレートを使って文章を作ってみましょう。項目に従って、まずは情報を次のように洗い出します。

・いつ→昨夜
・どこで→A市
・誰が→配達員
・何を→配達商品
・どうした→遅配した
・なぜ→欠員が出た上、配達件数が多かったため
・報告を受けた相手の取るべきアクション→システムの変更

後はこのテンプレートに、次のように詳細の情報を加えて書くだけで済みます。

----------
昨夜、A市で、配達員が配達時刻指定の商品を遅配しました(指定時刻よりも最大で110分の遅れ)。

体調不良による欠勤が発生し、普段よりも配達人員が2名少なかったことと、雨により注文件数が多かったことが原因です。

急な欠勤などで対応可能な注文数が減る場合、店長の権限で注文システム上の受付可能数を減らせるよう、システムを改修していただけないでしょうか。 ----------

このように、簡潔で明快な報・連・相が可能になるでしょう。

このとき、忘れてはいけないのが、最後に挙げた「報告相手の取るべきアクション」。これを漏らすと、「で、何?」「結局、何が言いたいわけ?」とあきれられかねません。

パパッとメールを処理したり、わかりやすく企画や報告をまとめたりできる。そういう人は、単に文章力があると言われるだけでなく、仕事ができると評価されることでしょう。皆さんも、テンプレートを活用し、仕事ができる人を目指しましょう!

吉田裕子(よしだ・ゆうこ)
国語講師。塾や予備校を利用せずに東京大学文科III類に現役合格。教養学部超域文化科学科。NHKEテレの「Rの法則」「テストの花道 ニューベンゼミ」に講師として出演。10万部を超えるベストセラーになった『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)の他、『大人の言葉えらびが使える順でかんたんに身につく本』(かんき出版)、『大人の文章術』(枻出版社)、『大人の常識として身に付けておきたい語彙力上達BOOK』(総合法令出版)など多数。産業能率大学総合研究所の人気通信講座『文章力を磨く』『これだけは知っておきたい正しい日本語』のテキストも執筆。