「座禅」と聞くと、お寺の僧侶たちが静かにじっと座っているイメージがあるのではないだろうか。しかし、座禅は僧侶だけではなく、世界を動かす富裕層や成功者たちの思考を整え、数々のプロジェクトを成功裏に導いてきた。一見すると遠い関係性にあるように見えるが、なぜは世界の富裕層や成功者たちは座禅にハマるのだろうか。

富裕層,座禅
(画像=Kite_rin/Shutterstock.com)

こんな一流の人たちも座禅をしていた

座禅を一大ブームに押し上げた最大の功労者といえば故・スティーブ・ジョブズ氏だろう。彼は「初心忘るべからず」という禅語の実践者だったことで知られている。彼が生み出した数々の美しいプロダクトに込められた熱い想いは、終始ブレることはなかった。これも座禅を通じて体得したものかもしれない。

また、安倍晋三氏も座禅を実践しているという。安倍首相は、東京にある全生庵で座禅を組み、姿勢と呼吸法で心を整えているそうだ。一国の首相にかかるプレッシャーは大変なもので、強い精神力がないと押し潰されてしまうのだろう。

彼らの他にも、世界を動かす一流の政治家や経営者が、座禅を通して、心を整えることを実践している。

アップルを蘇らせた座禅の考え方

アップルCEOのティム・クック氏は、ジョブズ氏から学んだもののなかでも、とりわけ重要なのは「集中力」だという。また「人生はいつ終わるか分からない。余計な事をしている暇はない」と今を生きる重要性について述べている。

ジョブズ氏が体現した「集中力」と「今を生きる力」というのは、厳しいビジネス環境で経営者が生き残るために、とても重要な考え方だ。一時期、ジョブズ氏不在のアップルは倒産寸前の危機に陥った。

ジョブズ氏はアップルに戻るやいなや「ビジネスを集中させろ」と製品のラインナップの7〜8割をカットした。iPodを皮切りにiPhone、iPadなどイノベーティブな商品を次々に生み出し、アップルを時価総額ランキング世界一の企業に押し上げた。

また、ジョブズ氏は常に「今」を生きていた。それは有名なスタンフォード大学の演説にも現れており、「他人の時間を生きている暇はない。常識や他人の意見にとらわれず、自身の信念や直感を信じなさい」と述べている。彼は自分の信じた道を突き進み、その結果、何度も世界の風景を一変させるプロダクトを生み出し続けてきたのだ。

座禅で教わる経営者に必要な考え方

安倍首相も座禅をしている全生庵で、筆者も座禅の修行に励んだことがある。座禅を始めて痛感させられたことは、これまでいかに自分が「今に集中出来ていなかった」かということだ。

座禅では呼吸を数え、それを1つ、2つと数えるのだが、最初の頃は油断すると頭の中で他のことを考えてしまい、途中で数が分からなくなってしまうことがしばしばあった。今朝の出来事や、明日の予定などを考えてしまう時点で、今を生きることが出来ていない何よりの証拠である。これは多くの人に当てはまる話だろう。仕事をしながら将来の心配をしたり、会議中に早く帰りたいなどと思ったりしているのは、まさに目の前の事に集中できていないからなのである。

身体の垢はお風呂で落とせるが、心の垢は何もしないと溜まっていく一方だ。特に経営者は様々な情報が入ってきて、常に大きな決断を迫られる立場にある。いつしか垢は身体について剥がれなくなり、他の考えに囚われるあまりに、決断を正しく下すことが出来なくなってしまう。

座禅を実践することで、心の垢を落とす事が出来る。呼吸を整え、しっかりと数える。「今に集中すること」を訓練することができるわけだ。座禅を行い、心の垢を落とすことで、心を整え、正しい決断を下せるようになる。あなたも座禅の修行に挑戦してみてはいかがだろうか。(黒坂岳央、高級フルーツギフトショップ「水菓子肥後庵」代表)