中国経済,金融業界,ネット銀行
(画像=微衆銀行Webサイトより)

はじめに

いまやIT大国と言われるようになった中国。さまざまな先進的なITサービスが誕生し、世界的にも大きな影響力をもっている。その動向をつかむことは、世界の他の国にとっても重要なことだ。

中国IT業界では、今、何が起きていて、彼らはこれからどこへ進もうとしているのか、中国での報道をもとに探ってみたい。

目次

  1. はじめに
  2. 急成長が続くネット銀行
  3. 微衆銀行の総資産、3年で7倍に
  4. 利ザヤは3倍 不良債権は3分の1
  5. 利便性ですでに勝負あり?

急成長が続くネット銀行

中国では次々に純ネット銀行が誕生している。微衆銀行(テンセント/騰訊系)、網商銀行(アリババ系)、新網銀行(シャオミ/小米系)、百信銀行(バイドゥ/百度系)などである。このうち第一号の微衆銀行を分析し、伝統的大銀行と経営効率を比較した記事が出た。ニュースサイト「今日頭条」が取り上げた。ネット銀行は急成長を続けている。伝統的大銀行のモバイルバンキング進出など、変革の取り組みは間に合うのだろうか。(1元16.65日本円※この記事は2018年7月4日の記事を再編集したものです。)

微衆銀行の総資産、3年で7倍に

微衆銀行の歴史は2015年1月に始まった。このとき李克強首相は深センの本店を訪れ、同行のコンピューターシステムを起動するパフォーマンスを行っている。銀行新時代幕開けだったのだ。 その微衆銀行の2017年報では、営業収入は67億4800万元(1120億円)に達した。2016年の24億4900万元に比べ、275.5%も増加した。純利益は、14.48億元で、これも2016年の4億100万元に比べ、261.1%増である。

2017年、中国の上場銀行の純利益伸び率は、4.7%であった。微衆銀行の261.1%は、平均の約55倍。たった3年でこれだけの成長を遂げたのだ。 ちなみに国有四大銀行は工商銀行2.8%、農業銀行4.9%、建設銀行4.67%、中国銀行4.76%の伸びだった。

微衆銀行の資産規模拡大は、業界を驚かせた。2017年末の総資産規模は817億400万元、2016年は519億9500万元、2015年の段階では96億2100万元に過ぎなかった。3年間で749.2%も増加したのである。

利ザヤは3倍 不良債権は3分の1