中国ローカルでとどまる微信(ウィー・チャット)
中国でSNSといえば、騰訊(テンセント)が運営する微信(ウィー・チャット)である。2018年第一四半期における月間アクティブユーザー数は、10億4000万という国民的ネットインフラだ。
その微信は、なぜ中国ローカルにとどまり、世界に拡大できないのだろうか。「網易科技訊」「IT之家」など多く科学技術メディアがこの問題を取り上げた。世界的視点で見た微信の現状と今後について、考察してみよう。
世界のSNS市場の現状は
WeAreSocial(マーケティング)とHootsuite(ソーシャルメディア管理)は、共同で世界のSNSレポートを発表した。それによると、ワッツアップ(WhatsApp)は、128の国と地域で主導的な地位を地位を占めていた。フェイスブックは72カ国・地域だ。それ以下はぐっと落ちて、バイバーが10カ国、ライン(LINE)Eと微信は3カ国に過ぎない。
フェイスブックは2014年、ワッツアップを190億ドルで買収している。ただしデータ保護など運営の独立性は保っている。両者は路線をめぐり衝突することもあるという。しかしユーザー数はフェイスブックは20億、ワッツアップは10数億とみられ、フェイスブック1社で30数億人を抱えているのは間違いない。
微信は10億に達したとはいえ、その80%以上は中国人ユーザーに限られている。国外におけるダウンロード数は、1億~1億5000万と見積もられ、大半は中国人とのコミュニケーション用途である。つまり世界レベルではほとんど浸透していない。これは楽天系バイバーやラインも同様だ。巨人フェイスブックと世界で戦うのは容易ではない。
一方圧倒的シェアを持つ中国国内電話番号は、グレートファイアーウォールに守られている点に、留意しておく必要がある。フェイスブック、Gメールを始めとする外国産コミュニケーションツールはブロックされている。