(本記事は、岩田昭男氏の著書『キャッシュレスで得する!お金の新常識』=青春出版社、2018年7月15日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

自分に合った「クレカ+電子マネー+ポイントカード」組み合わせ例

スマホ決済が登場してきたことで、クレジットカードや電子マネーの選び方も大きく変わり始めました。

非接触ICを使ったスマホ決済(フェリカを搭載したスマホを端末にかざして決済を行う方式)なら従来のクレジットカード中心の選び方でもよいですが、QRコード方式はクレジットカードを持っていなくても簡単に決済ができます。

そのため誰でも持てる決済ツールとして根づく可能性があります。

だからといって、これまでのカード選びのノウハウがまったく不要になったのかというとそうではありません。

「スマホ決済以前」のクレジットカードライフでは、メインとサブで2枚選んで使うのが一番お得といわれてきました。自分のライフスタイルに合ったメインカードを使ってポイントを貯め、サブカードはメインでこぼれるところで使うというものです。

しかし、「スマホ決済以後」は、クレジットカード(クレカ)+電子マネー+ポイントカード(アプリ)の3点セットで選ぶのがよいでしょう。この3枚の相乗効果を最大限得られるようにするのがコツです。

そう考えると、リアルなカード決済からスマホ決済に変わってもカード選びの基本は変 わらず、その核心は、いかに相乗効果を得るかということです。

ここでひとつ強調しておきたいことがあります。

スマホ決済時代に入ったからといって、クレジットカード、電子マネー、ポイントカードなどをすべてスマホに入れなければならない、という先入観を持ってしまっている人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。

クレジットカードが登録できないスマホもあるから、そんなときはリアルなカードのかたちで持ちます。

チャージで電子マネーと紐づけるようにするか、それがダメでもスマホのアプリと連携して使うという手もあります。

たとえば、Suicaを入れたスマホなら、乗換案内アプリと一緒に使って、運賃の安いルートを選ぶとか、スマホの位置情報システムを利用して、クーポンの使える店を探すといったことです。

以上のことを頭に入れた上で、これからのカードの選び方を具体的に考えていきましょう。

電車利用、通信、買い物の3つのいずれのシーンを重視するかによって、カードの選び方も変わってきます。ここではそれぞれのシーンごとに3つの組み合わせ例を紹介します。

電車利用重視派には

キャッシュレスで得する
(画像=Oliver Hoffmann / Shutterstock.com)

「JRECARD」+「Suica」+「エポスカード」→アップルペイ

電車移動を中心に考える人にオススメなのが、交通系カードです。電車移動でポイントを貯めて、電子マネーに換えて、それをまた移動や買い物に使えるからです。

なかでも、電車移動のサラリーマンにオススメはSuica対応のアップルペイです。アップルペイはアップルがご指名のSuica仕様だから持たないと損してしまう。それぐらいのメリットがあります。東日本エリア以外の人でも、Suicaは相互利用で電車に乗れるし、コンビニなら全国で使えるから、それほどエリアに制約されることもありません。

それをベースに3点セットを決めていきます。まずSuicaにチャージできるクレジットカードを選びます。チャージでポイントが3倍つくカードならベスト。

オートチャージ機能もつけたいところ。こうなると候補は絞られます。

チャージでポイント3倍なのはビューカード系だけだが、オートチャージ機能は全部つ くわけではなく、ビューカードとJRECARG、大人の休日倶楽部カードなどに限られます。

私は迷わずJRECARDをオススメします。

JR東日本のターミナル駅で買い物すると、業界ナンバーワンの高還元で、3.5%のポイントが貯まるのです。このカードをアップルペイに入れて、電子マネーはSuicaにするのです。

サブのクレジットカードも入るから 割引特典のあるエポスカードを入れてもいいでしょう。

通信重視派には

「auWALLET(ウォレット)ゴールドカード」+「auWALLETカード」+「じぶん銀行アプリ」

通信、つまりスマホ利用を中心に考える人にオススメなのが、通信系カードです。高還元率であることに加えて、ポイントを携帯料金に使えるからです。

なかでもau利用者にはオススメのセットがあります。クレジットカードはauウォレットゴールドカード、電子マネー(プリペイド)はauウォレットカード、アプリはじぶん銀行のアプリの3点セットです。特筆すべきは、ゴールドカードのスペックの凄さです。毎月の通話料金を払うと10%のポイントをもらえ、さらに基本ポイントの1%が追加されて計11%の高い還元率となります。しかもライバルのドコモもゴールドカードで10%と高還元なのですが、それより高いので、キャリア関連では最高レベルの高還元カードです。

さらにauウォレットとのコラボも楽しめます。クレジットカードとauウォレットカードで使った合計金額はじぶん銀行アプリで確認できますし、アプリ自体もさまざまなサービスがあって三位一体で使うとそのよさがはっきりわかります。

買い物重視派には

「楽天Edy」+「nanaco」+「楽天カード」+「セブンカードプラス」

買い物を重視する人にオススメは、流通系カードを中心にした組み合わせです。

その企業グループの経済圏の中で使えば高還元が期待できるからですが、ここでは楽天経済圏とセブン経済圏で貯めて得するプランを立てます。

アンドロイドのグーグルペイでは、nanaco、楽天Edyが使えます。

nanacoにはセブンカードプラスを紐づけて、オートチャージでお金を補填するようにし、楽天Edyには楽天カードで同じようにしておきます。

ほかにポイントカードは、Tポイント、楽天スーパーポイント、マツキヨポイント、ドトールポイントなどを入れることができます。いろいろな店でポイントを貯めている人にとってはポイントと電子マネーを一括管理できるので非常に便利です。

チャージはクレジットカードからできますが、グーグルペイではまだクレジットカードがスマホには入らないので、別途カードのかたちで持つことになります。

キャッシュレスで得する
岩田昭男(いわた あきお)
消費生活ジャーナリスト。NPO法人「消費生活とカード教育を考える会」理事長。 1952年。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院修士課程修了。月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。クレジットカードについては30年にわたり取材を続けている第一人者で、「岩田昭男の上級カード道場」で情報発信を続けるほか、All About(オールアバウト)の「クレジットカード」のガイドを務めるなど、幅広く活躍中。おもな著書に『Suicaが世界を制覇する』(朝日新書)など多数。 ※画像をクリックするとAmazonに飛びます