(本記事は、山田稔氏の著書『問題解決の気づきを得るための「とっかかり」のつかみかた』エムディエヌコーポレーション、2018年2月26日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

部下や後輩、同じ企画を進めている仲間が言うことを聞いてくれない

問題解決の気づきを得るための「とっかかり」のつかみかた
(画像=Barone Firenze / Shutterstock.com)

目標を達成するには、仲間との意思疎通がとても大切なことであり、絶対条件です。

自分の言うことを聞いてくれないのだとすれば、自分の意見や指示が目標に適しているのかどうかわからないと思われている恐れがあります。

●意思疎通の重要性

人が一人では生きていけないのと同様に、ビジネスにおいても仲間の存在は必要不可欠なものです。

共同で何かの目的を達成するためには、その仕事に関わる人たちは一つの目的に向かうための意思を明確に共有する必要があります。

もし、自分の言うことを誰にも聞いてもらえなかったらどうでしょうか?

誰にも自分の思いが伝わらないとしたら、それはとても辛いことです。それは仕事においても同じことです。

指示が一つも通らなければすべての連携がチグハグになり結果的に完成したものは誰一人想像しなかったものになっているはずです。

それを回避するには事前にしっかりと仕事の目的・意図を参加する全員が理解していることが大事です。

今回のお話はアメリカのゲーム市場崩壊を目の当たりにし、そうならないように明確なビジョンを打ち立てた任天堂の成功への秘策です。

●アタリショックを目の当たりにした任天堂の秘策

世界的なゲームメーカーである任天堂は、1980年代後半に国民的大ヒットとなる「ファミリーコンピューター」の開発中にアメリカで家庭用ゲーム市場が崩壊していったという現状を知ります。

当時、アメリカで家庭用ゲームの最大手だったアタリ社が発売していたゲーム機「Atari VCS」は任天堂のファミコンと同じように本体に差し込むカートリッジを交換することで、ゲーム機一つで様々な種類のゲームが遊べることが売りのゲーム機でした。

当時、まだこのタイプのゲーム機は珍しく発売と同時に一躍大ヒットしました。

Atari VCS用のサードパーティ製のソフトウェアが数多く発売されましたが、ゲームのストーリーやシステム自体が粗悪なソフトウェアが乱発されてしまいました。

結果的に、ユーザーはゲームに対する興味を失いアタリは急速に業績が悪化。

アタリはゲームを作るために生まれた会社としては世界初というゲーム業界におけるパスファインダーでしたが、最終的には会社は崩壊し分割されました。

任天堂は、カートリッジの交換による多種多様なゲームを売りにするファミコンでは、Atari VCSと同じ轍を踏んでしまいかねないと危機感を抱きました。

そこで、任天堂はある方法を思いついたのです。

それは、自社のハードウェアでソフト開発をする企業は、自社で認めたソフトメーカーのみに許可するという方式でした。

現代では多くのゲームハードウェアのメーカーが取り入れているライセンス方式ですが、この当時では全く新しい試みだったのです。

任天堂のこのライセンス方式の発想は大成功となりました。

ファミコンはその性能の割には価格が安く抑えられており、当時、日本には浸透していなかった低価格コンピューターとしての側面を持ち合わせていたこと、またなにより、ライセンス方式に協力してもらった多くのサードパーティ製のソフトウェアのおかげで、累計販売台数は1900万台を突破するまでに至りました。

●方向性を見失わない

もともと、任天堂が考えていたビジネスモデルはおもしろいゲームソフトをたくさん出すことでユーザーを増やし、結果的にゲームハードの売れ行きに繋げるというものでした。

それにはおもしろいソフトの存在は必要不可欠でした。

任天堂が考案したソフトウェア開発に対するライセンス形式はそれを実現するためには必須のものでした。

任天堂のライセンスを許可された企業もゲーム市場を盛り上げるには必ず必要なシステムであると理解していたでしょう。

任天堂は、ゲーム市場の隆盛、及びその崩壊の回避という明確なビジョンのもとで、ファミコンに参加するソフトウェアメーカーにライセンス形式への協力を請ったのです。

このように、自分の言うことを聞いてもらうには、明確な成功のビジョンが必要なのです。

曖昧な完成図はビジネス上、大きなリスクにもなり得ます。

明確なビジョンを持つということは一つのリスクヘッジにも繋がるのです。また、それを理解してもらってはじめて人を動かすことができるのです。

曖昧な指示ではなく、それが目的を達成するために必要なものだとわかれば、あなたの回りにいる人もきっと力を貸してくれるはずです。

【任天堂の「とっかかり」のつかみかた】
・ファミコンと同じような商品を作っているアメリカのゲーム市場崩壊を把握していた。
・その上でゲームソフトの管理システムを構築。ソフトの質を確保した。

問題解決の気づきを得るための「とっかかり」のつかみかた
山田稔
1971年生まれ。千葉県出身。有限会社ケイズプロダクション代表取締役。一般社団法人日本ソーシャルコミュニティ協会代表理事。高校時代からビジネス誌に取材され、25歳の時に編集プロダクションで起業。以降、20年以上にわたり、年間60冊以上に及ぶビジネス書やパソコン書の編集制作に関わり、なかでもソーシャルメディアを活用したビジネス書を得意とし、自らもソーシャルメディアに精通。 (画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)