進学や就職、転勤、結婚などのさまざまな理由から、子どもの頃から住み慣れた土地を離れる人は少なくない。また、結婚して子どもが誕生すれば、子どもの成長とともに行事も増える。
遠方に住む家族が多い場合、お盆休みや年末年始の時くらいしか家族一同が集まれる機会はほとんどないだろう。
両親も今は健康かもしれないが、年々高齢になるわけだから体調も心配だ。万一、両親が認知症などにでもなった場合、判断能力が低下して相続時のトラブルに巻き込まれる可能性がある。また、自分の家族は相続でトラブルになるはずがないと思っていても、絶対にトラブルにならないとは言い切れない。
「おカネ」について家族で話し合うことをためらう人は多いだろう。また、年に数回の久しぶりの再会となれば、近況の報告や、昔の思い出話が盛り上がるかもしれない。しかし、両親が健康なうちにこそ、家族全員で話し合っておきたい。
相続税改正で対象者が増加
相続税というと、お金持ちが払うものというイメージを持っている人が多いかもしれない。しかし2015年に行われた相続税の改正で、基礎控除額と法定相続人1人あたりの控除額が減額された。
具体的には、改正前は5,000万円だった基礎控除が3,000万円に、法定相続人の1人当たりの控除額は1,000万円から600万円に減額された。基礎控除額が減額されたことによって、課税対象者は単純に増加する。
国税庁が発表した「平成27年分の相続税の申告状況について」によると、改正で相続税の対象となった人が前年の4.4%から8%に増加したことが明らかになった。とはいえ、一般的な家庭であれば相続税がかかる可能性は低いのが現状で、ある程度の資産がある方が相続税の対象になるだろう。
亡くなって初めて、金融資産が意外と多くあることがわかる場合もある。楽観的に相続税の対象にならないだろうと考えていたら、相続税の改正によって対象になってしまう事態もあり得るのだ。相続の対象となる金融資産などの財産が基礎控除を上回るかどうか、あらかじめ家族で把握しておく必要があるだろう。
相続税を減らすための対策いろいろ
事前に相続の対象となる財産を把握することができれば、相続税が発生する場合や、トラブルになる事態への対策を早いうちから行うことができる。
例えば、遺産分割の方法として遺言を書くことで、誰に何を相続させるのかを決めることができる。トラブルを避けるために、遺言書の作成は専門家にお願いしておきたい。最近では、身の回りのことや伝えないことなどを普段から書いておける「エンディングノート」もある。不測の事態に家族が困らないように、エンディングノートの活用を検討しておいてもよいだろう。
また、相続財産を減らすために、生前贈与を行うこともできる。贈与税の場合には、1人あたり年間110万円までは基礎控除がある。10年、20年という長い期間をかけて下の世代に財産を贈与できれば、相続財産を減らすことが可能になる。さらに、配偶者控除や住宅資金や教育資金、結婚子育て資金の特例を活用することで、数千万円にものぼる金額を非課税で贈与することもできる。
他にも、相続税の控除額を上げるための対策もいろいろ行うことができる。また、相続税が発生した時に備えて、納税資金の準備もある程度は考えておかなければならない。いざという時に、現金を用意できずに苦労する事態はできるだけ避けたい。
さまざまな相続税対策を行うためには、家族みんなの同意が必要になるうえ、みんなで協力して行わなければならない。後味の悪い相続にならないように、家族だからこそ、おカネについてしっかりと話し合っておく必要がある。
家族みんなが納得して、いろいろな相続税対策を協力して行えるように、早い時期から話し合いを重ねておくことが大事になるだろう。(提供:iyomemo)
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