インデックスとは日経平均株価やTOPIX、S&P500などの指数のことで、市場の平均値のようなもの。資金と時間の制約がある個人投資家にとって、このインデックスに連動した動きを目指すインデックス投資は、効率的で人気のある投資法の一つだ。ETFを通してアメリカを代表するインデックスのS&P500を丸ごと買う方法を紹介する。

ETFとは

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(画像=PIXTA)

ETF(Exchange-Traded Fund)は上場している投資信託で、個別株と同じような感覚で市場での売買が可能だ。ETFにはさまざまな種類があり、世界各国の代表的なインデックスに連動したものから、原油や金などのコモディティに投資するものまである。

個人投資家がたとえば日本の株式市場の指標である日経225の銘柄を全て集めて買おうとすると225銘柄を一つ一つ1人で買わなければならず、それぞれの銘柄を最低単元で買うとしても大きなお金が必要になってしまうし、かなりの手間がかかる。

しかし日経225に連動したETFなら最低単元の1口(約2万円)を買うだけで日経225の全ての銘柄を所有することと同じ効果が得られると期待できる。

インデックス投資とはインデックスと同じ動きを目指す投資のこと

インデックス投資とはインデックスと同じ動きを目指す投資のこと。日経平均株価指数やNYダウ工業株価指数などをベンチマーク(参考指標)にして、それらと同じ動きを目指すのだ。

●インデックス投資のメリット 分散投資が安価にできる

インデックス投資のメリットは少ない資金を元手に、個人では難しい大規模な分散投資を低コストで容易に実現できるところ。たとえば日本に上場されていてS&P500をベンチマークとする「SPDR S&P500 ETF」 <1557> なら2018年11月現在でも1口3万円前後で購入することができる。個人でS&P500の分散投資をしようとすると500銘柄を個人で購入しなければならず手間や資金的にも難しいだろう。

しかしインデックスそのものを丸ごと1口で買うことができれば低コストでの分散投資が簡単にできる。特に広く浅く投資したい場合、インデックス投資が一番簡単だ。インデックスファンドは多くのアクティブファンドに統計的に勝てるという説もあり根強いファンも多い。

何より難しい銘柄選択をしなくても済むことも、情報を得る時間と労力をかけられない個人投資家にとって大きなメリットである。

●インデックス投資のデメリット 集中投資より期待リターンが低め

インデックス投資にはデメリットもある。たとえば集中投資に比べ大きなリターンを得る可能性があまりない点だ。

インデックス投資は簡単に言えば市場の平均値に投資をする方法だ。そのため、大きく負けない投資法である反面、大きくもうける可能性を捨ててしまうこともある。

たとえばEコマース大手のアマゾン株は2010年の株価は100米ドル台だったが2018年の11月末の時点で1,500米ドルを越えている。2010年にアマゾン株に多くの資金を投資していれば、その元手の10倍以上という巨額のリターンを得ることが可能だった。個別銘柄の集中投資は長期保有の間にコンプライアンス違反で上場廃止になったり、事業がうまくいかず倒産したりケースもある一方、大きなリターンを得られる可能性もある。

一方でS&P500に連動するETFの一つSPYは2010年は120米ドル付近を推移していて、2018年11月末の時点で株価は260米ドル台と、3倍に届かないリターンだった。これは結果論だが集中投資で成功した場合に比べると、少し物足りないと感じる投資家もいるだろう。

アメリカのインデックスS&P500とは

S&P500は、S &Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出しているアメリカの代表的な株価指数の一つ。ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出される時価総額加重平均型株価指数である。

工業株400種、運輸株20種、公共株40種、金融株40種の各指数で構成されており採用銘柄は実に40業種に及ぶ。ニューヨーク市場の時価総額の約75%をカバーしており、市場全体の動きを表す指標としても広く利用されている。

●S &P500の魅力とは

アメリカ株の中でも幅広い500銘柄に分散できるところにS&P500の魅力がある。先述したように、ニューヨーク市場の時価総額の約75%をカバーし、幅広い業種から構成されているため、偏りなくバランスよくアメリカ市場に分散投資をする場合、S&P500を丸ごと買ってしまえばいいということになる。

●S &P500のNYダウ平均との違い

アメリカ市場の代表的な株価指数の一つにダウ平均(ダウ工業株30種)がある。アップルやナイキ、ゴールドマンサックスなど米国経済を代表する30銘柄で構成されている。ウォール・ストリートジャーナルを発行しているダウ・ジョーンズ社が独自に選定した指数である。

S&P500は「時価総額」を指数化しているのに対してNYダウ平均は「株価の平均値」という違いがある。そのためS&P500は時価総額が大きい大型株の株価に大きく左右されNYダウ平均は株価の高い株の値動きに大きく左右されるという違いがある。

また、NYダウ平均よりもS&P500のほうが、単純に構成する銘柄数と業種が多いため、アメリカ市場に広く分散投資をしたい場合に適している。

海外(アメリカ)ETFと国内ETFの違い

海外に上場されているETFを海外ETF、日本に上場されているETFを国内ETFと呼ぶことがある。同じS&P500をベンチマークとしている商品でも、海外(特にアメリカ)で上場されているETFと日本国内のETFとでは、違いがでてくる。

●アメリカのETFのほうが流動性が高い

流動性とは簡単に言えば多くの売り手と買い手がいることで、売りたい時に売れ、買いたい時に買えるかどうかということ。換金のしやすさとも言える。アメリカはETFを売買する投資家が多いため売りたい時に売れ、買いたい時に買いやすい。

しかし日本のETFは売り手買い手がアメリカほど多くはないため価格が乖離することも多く、割高で買うことになったり、割安で売ることになったりすることもある。流動性の高さはアメリカのETFのメリットの一つである。

●アメリカのETFは現地でも分配金の税金を徴収される

アメリカで上場されているETFは日本だけでなく、アメリカからも分配金の10%が税金で徴収される。そのため少しでも払った税金を取り戻したい場合、確定申告で「外国税額控除」を使うことにより二重課税となっている税金を取り戻す手間が発生する。

●アメリカのETFは米ドル建て

アメリカに上場されているETFを買う場合、米ドルで買うことになる。そのため日本円で買う場合、為替手数料と為替リスクを負うことになる。

アメリカ経済に簡単に投資するならS&P500に連動したETF

アメリカ経済に簡単に広く分散投資するならS&P500を丸ごと買うのが簡単だ。S&P500をベンチマークにしたETFは実は複数ある。S&P500に連動した代表的なETFは以下の通りだ。代表的なそれぞれの資産運用会社がS&P500に連動したETFを販売・上場しているが、どれを選んでも大差はあまりない。

●IVV(i シェアーズ・コアS&P500ETF) ブラックロックが販売

IVVとは「i シェアーズ・コアS&P500ETF」。世界最大規模の資産運用会社ブラックロック社が販売するS&P500をベンチマークとする代表的な海外ETFだ。アメリカ市場に上場されており、アメリカ株と同じ感覚で売買できる。また、ETFも普通の投資信託と同じく保有していると信託報酬という手数料が発生するが、IVVの信託報酬は年0.04%。これは他のS&P500をベンチマークとするETFの中でも安価な部類に入る。

●VOO(バンガードS&P500ETF) 低コスト運用会社バンガードの商品

VOOは「バンガードS&P500ETF」。低コストのインデックスファンドの運用会社として世界的に知られるバンガード社が運用するS&P500をベンチマークにするETF。アメリカ市場に上場されており他の海外ETFと同じくアメリカ株と同じ感覚で取引することができる。信託報酬はIVVと同じく年0.04%と安価である。

●SPY(SPDR S&P500ETF) 時価総額が大きめ

SPYは「SPDR S&P500ETF」。ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)というアメリカのボストンの資産運用会社が運用するS&P500をベンチマークにするETF。信託報酬は0.0945%と、IVVやVOOに比べると若干高め。その代わりにSPYはIVVとVOOよりも早く上場した経緯があり時価総額が大きく流動性が高いメリットがある。

●1557(SPDR S&P500ETF) 円建てで投資できるが流動性低め

1557は東京証券取引所に上場されているS&P500の動きに連動しているETF。アメリカのSPYが日本円で購入できる。経費率(信託手数料)は0.0945%。アメリカのSPYと同じETFだが、東京証券取引所はアメリカ市場よりもETFの売買の出来高が小さい。円建てで取引できる代わりに流動性が低いことがデメリットだ。

●1547(上場インデックスファンド米国株式) 日興アセットが運用

1547は日興アセットマネジメントが運用する円換算したS&P500に連動しているETF。日本で上場されており円建てで購入できる。経費率(信託手数料)は0.162%。日本円で気軽にS&P500に投資をすることができる。ただしアメリカのETFに比べるとやはり流動性は低めだ。

S&P500のETFは国内外に上場されているもの共に日本の大手オンライン証券会社から買うことができる。

ETFと投資信託の違い

S&P500を通してETFを購入する方法を紹介した。しかしETFのように上場されていないS&P500に連動させた投資信託も存在する。たとえばi シェアーズ米国株式インデックス・ファンドやi Free S&P500インデックス、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)がある。ETFとこれらの投資信託の違いを紹介する。

●ETFのほうが投資信託より信託手数料が安い

S&P500に連動したETFの信託手数料は0.04%~0.09%程度であった。しかし投資信託の場合、eMAXIS Slim米国株式の信託手数料が0.1728%、i Free S&P500インデックスが0.243%、i シェアーズ米国株式インデックスファンドで0.405%と、ETFよりも信託報酬が大きい。手数料の点からみれば、長期で保有する際にはETFのほうが有利ということになるだろう。

●ETFのほうが最低買付金額が高い

ETFは市場価格で買うことになり、2万円程度かかるが、投資信託は1口100円~1,000円単位で買える。少額の積立投資をする場合は最低買付価格が安い投資信託のほうがETFよりも向いている。

●ETFはタイミングを見計らって好きな時に売買ができる

ETFは市場が開いている時なら好きなタイミングで売買できる。一方で投資信託は1日1度決められた基準価格で購入しなければならない。売買タイミングを自分で決めたい投資家にはETFのほうがメリットがある。

ETFでS&P500を買えば広くアメリカ市場に分散投資できる

S&P500の動きをベンチマークにしたETFは国内外で上場されている。

日本に上場されているS&P500ETFは円建てで購入できるが流動性が低い。アメリカに上場されているETFは流動性が高く取引しやすい反面、ドルで購入する手間がかかるなどの違いがある。

しかし国内外のS&P500に連動したETFは日本の大手証券会社から購入することができる。投資信託でもS&P500を買うことはでき、最低買付金額も安いが信託手数料の高さが長期投資では不利に働いてしまう。ETFと投資信託にはそれぞれ、メリットデメリットがあるが気軽にアメリカ市場に広く浅く投資をする際に、ETFを通してS&P500を買うことは選択肢の一つとしておすすめしたい。(ZUU online編集部)