(本記事は、菅谷信一氏の著書『最新LINEビジネス活用講座』主婦の友社、2019年2月22日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
ネット社会到来20年。その歴史的な転換点を理解する
●インターネットの転機は2011年
この20年間の企業によるインターネット活用の歴史を2つに分割すると、2011年6月に一本の線を引くことができます。ネットが世に出てきてから2011年6月までは、企業にとってどんな時期だったか。
それは、ホームページを立ち上げ、そして自社の情報が検索エンジンの上位に表示されることをとにかく意識してきた時期だったといえます。日本で利用される検索エンジンの圧倒的シェアを誇るのがGooleおよびYahoo!ですね。
ちなみにYahoo!は現在ではGooleの検索エンジンを裏で使っているので、実質的にはGoole独占といえます。そのGooleかYahoo!で検索したときに、自社のホームページを上位に表示させることが、経営者やインターネット担当者の大きな課題でした。
上位に表示させることができなければ大問題とばかりに、専門業者にお金をたくさん払ってSEO(検索エンジン最適化)対策を行っていたわけです。大企業には予算があるからそれができますが、中小企業はお金がありません。
そこで情報を充実させたり頻繁に更新したりといろいろ工夫して、独自のSEO対策を実施してきた企業もあるでしょう。
SEO対策が上手な企業は、さまざまなテクニックを駆使して、自分たちが表示させたいページを検索結果の上位に表示させることができました。
いずれにしても、インターネット登場から10年ちょっとの間は、企業が検索エンジンの結果に翻ほん弄ろうされてきた時代ということです。
●自社を1000倍目立たせる方法
そのような状況が2011年以降、大きく変わりました。
Gooleの検索アルゴリズムが変わり、検索エンジンの精度が大幅に上がったのです。その結果、ページ内にキーワードを大量に紛れ込ませたり、自作自演の小手先のSEOテクニックだけで、検索結果の表示順位を意図的に操作することが、ほとんどできないようになりました。ネット社会の成熟が一段階進んだということです。
では現在、検索結果の上位に表示される企業は何をやっているかというと、Gooleが「世の中に役立つ」と認めている情報、高く評価されるような情報を、地道に発信しているのです。
言い換えてみれば、Gooleの思想に合致した情報を提供しているということ。
Gooleの思想に合致した情報提供とはどのようなものかというと、それは「ブログ」と「YouTube」です。
「なんだ、ブログか」「YouTubeはビジネスには使えない」と思った方はいませんか?それは大きな間違いです。
たとえばYouTubeは、2004年に登場したサービスで、Gooleが運営しています。すでに登場してから十数年たっていますから、目新しさはありません。
しかし、依然として、企業をアピールするには最適なツールなのです。
その証拠にGooleで「自動旋盤 中古」と入力してみてください。YouTubeの動画が検索結果のトップに表示されたはずです。
この動画は、私がコンサルティングした自動旋盤専門商社、株式会社鈴喜がアップしたものです。
詳しくは私の著著『YouTube大富豪7つの教え』(ごま書房新社)をご覧いただければと思いますが、とにかく、検索エンジン表示対策にYouTubeが有効であることは間違いないと、おわかりいただけるのではないでしょうか。
ブログにしても同じです。
ユーザーにとって有益な記事を書き、タイトルなども工夫して、かつそれを継続すれば、検索エンジンで上位に表示させることは可能です。YouTubeもブログも登場してから何年もたつため、使い古されたツールに思えますが、実は今もなお現役です。
それらを戦略的に使っているか使っていないかが、ビジネスの成否を大きく分けることになります。私はクライアントに、「自分の会社を1年で1000倍目立たせましょう」と言っています。
商品やサービスに関するキーワードで検索したときに上位に表示されない会社でも、1年かけてコツコツとブログとYouTubeを投稿すれば、1000種類のキーワードで検索上位に表示されるようにすることは可能です。
全く検索上位に表示されなかった企業が、1年たって1000種類のキーワードで表示されるということは、1000倍目立つようになったのと同じことですよね。アナログの時代には、1年で1000枚の看板を立てようとしても、コスト的に現実的ではありませんでした。
インターネットの時代なら、1年で1000枚の看板をGooleという大通りに立てることができます。しかも、ほとんどお金をかけることなく。
●スマホの登場、SNSの台頭
2011年以降のインターネットの世界では、検索エンジンの精度の変化と同時に、もうひとつ、大きな変化が起こります。言うまでもなくスマホの登場です。
スマホユーザーの増加、パソコンユーザーとの逆転については先ほど述べましたが、日本人の65%がスマホで情報を見る時代といわれています。さらに女性に関しては、パソコンよりもスマホで見ている人が多い。
これはホームページに訪れるユーザーのアクセスを解析しても明らかです。ファッションやコスメといった女性向けサイトなら、スマホからのアクセスが96%を超えることも珍しくありません。
したがって、企業が自社のビジネスをスマホに対応させるかどうかは、好き嫌いではなく必須事項なのです。
インターネットなどのIT分野に疎い経営者は、スマホ対応を軽く見る傾向がありますが、データを目の前に見せられたらそんなことは言っていられないはずです。
日本人の65%、女性・若者ならほぼ100%がスマホで情報を得ている。それなのにビジネスをスマホに対応させないということは、お店を営業しているのにシャッターを開けていないのと一緒です。
時代の変化にうまく対応できるかどうかが経営を左右します。
だからすべての会社は「変化対応業」でなければなりません。経営で成功を目指すなら、スマホの台頭という時代変化に合わせた情報発信をしていかなければならないのです。