(本記事は、菅谷信一氏の著書『最新LINEビジネス活用講座』主婦の友社、2019年2月22日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

SEOはオワコン!? 10年で別世界のように激変した検索対策

最新LINEビジネス活用講座
(画像=ZoFot / Shutterstock.com)

●小手先のSEO対策はもう通用しない

現在のインターネット業界では、小手先のSEOはすでに通用しなくなっています。ちょっと表現は悪いかもしれませんが、SEOは「オワコン」だということです。

小手先のSEOというのは、内容のあまりない原稿にキーワードをちりばめるなどして、検索結果の表示順位を上げようとする方法です。Googleの検索アルゴリズムの精度が上がったため、専門業者などに頼んでも、企業側の意図どおりに検索結果をコントロールできなくなりました。

また、不祥事など自社に都合の悪い情報がネットに出回ったときに、SEOを駆使してその情報を検索結果に表示させないようにすることも、なかなかできなくなっています。

つまり、自社が出したい情報を検索結果に表示させることができないし、自社の都合の悪い情報をごまかして隠すこともできない。したがって企業や店舗の生の姿、真実の姿が筒抜けになってしまっているわけです。

ユーザーは企業にまつわるこまごまとした情報をチェックして、その内容に対してシビアに判断して、SNSを通じて発信します。その一般市民の生の声が、企業や店舗に対する世間の評価を大きく左右することもあります。

ラーメン店だったら、提供したラーメンだけではなくて、厨房の奥まで見られていると考えなければなりません。ラーメンがいくらおいしそうでも厨房を汚いままにしていたら、「厨房が汚くて食欲をなくす」と画像つきでTwitterに投稿されてしまう、そんな時代です。

ビジネスをする側には、損得よりも善悪が強く求められるようになっています。スマホの登場によって生活は便利になりましたが、ビジネス環境は以前よりシビアになったといえるかもしれません。

だからこそ経営者は、襟を正して真摯に商売をしなくてはなりません。

逆に言えば、誠実な経営をしている企業や店舗なら、その考え方や行動を逐一発信していけば、応援してくれるお客さんは必ず現れるということです。

ラーメンのねぎにはどこの産地の何という品種を使っているのか、どのような思いでそのねぎを選んだのか、どう調理して提供しているのか……そういったこだわりをLINE@などを通して発信していくことには大きなメリットがあります。

表に出ない部分にまでこだわっていることが、ユーザーにも評価されるからです。

これからもGoogleはアルゴリズムを改良していき、いずれ検索結果の上位は、真実の情報だけが占めるようになるでしょう。

あるいは食べログやエキテン、Googleマイビジネスなどに掲載された口コミが占めるようになると思います。いっそう善意をもったビジネスであることが求められるということです。

「すぐに検索結果の上位に表示される方法を教えてくれ」といった相談は、私のところにもよくあります。

しかし、説明したように時代の大きな流れを俯ふ瞰かんすれば、小手先のテクニックがいかにむなしいかがおわかりになるでしょう。本書もそうですが、私の講演で話す内容の半分以上は、小手先のテクニックではなく、戦略や経営哲学の話です。

これからのお客さん・市場は、戦略や哲学がない企業にはついてこないからです。

この本もおそらく、「LINE@」という比較的新しいキーワードに惹かれて、手に取っていただいた方も多いでしょう。ただ、LINE@もやはりツールのひとつにすぎません。

ツールをいかに使うかという前に、善悪が問われる環境に変わってきたことを認識し、ツールを活用する意義を改めて確認しておく必要があると考えています。

明確にしておきたい自社のUSP

●「1位づくり」のためにUSPを明確にするLINE@という便利なコミュニケーションツールを使ったとしても、伝えたい情報がお客さんに的確に伝わるとは限りません。

経営者や情報を発信する担当者自身が、自社商品・サービスの強みをきちんと認識していなければ、伝えるべき情報が実態とずれてしまうからです。

そこで重要なポイントとなるのが、自社の強み、マーケティング用語でいうところの「USP(Unique Selling Proposition)」を明確にする作業です。

USPをもう少し丁寧に言えば、「あなただけが持つ独自のお客さんに差し上げることができる販売提案」です。

ネット戦略に限らず、経営における戦略とは「1位づくり」をすることです。そのなかでも、「商品対策」「エリア対策」「客層対策」について、「1位づくり」を目指し、実行していくことこそが経営戦略です。

特定の商品・サービスで1位になる、自社が営業しているエリアで1位になる、ターゲットとしている客層のなかで自社が1位になる、といったように。

また、そこで得られた新規顧客を、以降の継続的なお得意さまに育てるために、顧客リピート対策の1位にも取り組むべきでしょう。

もちろん、今が1位でなくても構いません。この分野で1位を目指すと決めて、そこに向かって全力で取り組むことが重要です。そして1位づくりをするためには、「同業者のなかで同じことを掲げられる人がいない」という唯一無二のユニークな切り口(=USP)を明らかにしなければなりません。

「自社のUSPが何なのかわからない」という方も多いかもしれませんが、心配することはありません。

そのような会社のために私は「魅力発掘シート・7つの質問」を作りました。このシートを使えば必ず強みを発見することができます。「魅力発掘シート」では、次の7つの質問を投げかけます。

〈魅力発掘シート・7つの質問〉
1)時代がどんなに変わっても、あなたが絶対に変えたくない方針、ポリシーは何ですか。
2)既存客はどうして御社(あなたの商品・サービス)を選んだと思いますか。
3)御社はこれまで、どのようにしてお客様を獲得してきましたか。
4)御社がライバル会社に優っているところと、異なっているところを教えてください。
5)御社のお客様は、御社の商品・サービスのどんな点を喜んでいますか。
6)あなたがこの仕事をしていて嬉しかったことは何ですか。
7)御社のお客様の特徴や共通点は何ですか。ひとつの項目につき最低5つ、できれば10個くらいの回答を書き出してみましょう。必ず紙に書き出すのがポイントです。

質問によっては回答が重複するものもあるかもしれませんが、気にせずに、頭に浮かんできたままどんどん書いてみてください。そして、得られた回答に含まれる言葉をよく見つめて、整理して、特に際立つ言葉、キーワードに印をつけてみましょう。

それらの言葉を何度も見つめ直してみると、自社商品・サービスを象徴する言葉が浮かび上がってくるはずです。それがあなたの会社・店舗の強みです。

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菅谷 信一(すがやしんいち)
中小企業・業績改善コンサルタント。株式会社アームズ・エディション代表取締役。一般社団法人日本動画マーケティング協会代表理事。大学卒業後、日立製作所関連会社で人事・教育を担当した後、 障害者のための福祉施設「茨城福祉工場」で社内企業家として続々とヒットビジネスを企画する。2001年に独立開業。YouTube動画とLINE@を活用した集客法を企業に支援し、これまでに総額50億円以上の売上アップの実績を持つ「YouTube・LINE@専門ネットコンサルタント」。

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