(本記事は、菅谷信一氏の著書『最新LINEビジネス活用講座』主婦の友社、2019年2月22日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

金持ちSNSと貧乏SNS。人生逆転のための正しいネット露出拡大

最新LINEビジネス活用講座
(画像=GaudiLab / Shutterstock.com)

●金持ちSNSと貧乏SNSがある

ネット20年の歴史は、ソーシャルメディアやSNSに振り回されてきた歴史ともいえます。2ちゃんねるなどの電子掲示板に始まり、アメーバブログやLivedoor Blogなどのブログサービス、mixiやFacebookといったSNS、YouTubeやニコニコ動画などの画像や動画の共有サイト、そしてTwitter、Instagramなど。

雨後のたけのこのように現れては消えるSNS。これらに企業として何の戦略もなく取り組んでいては、全くお金を生まないどころか、大事な時間と費用を失ってしまうことにもなりかねません。

金持ちSNSの使い方と、貧乏になるSNSの使い方があることを知っておく必要があります。

最近話題になったSNS関連のニュースでは、「Google+(グーグルプラス)」が2019年8月に個人向けサービスを終了するというものがあります。

Google+は2011年に開始されたSNSで、FacebookやTwitterの対抗サービスとされていました。「あのGoogleがいよいよSNSに乗り出した」ということで話題になり、それなりに利用者を集めましたが、インフラとして普及するまでに至らず、サービス終了の決定がなされたということです。

このように、次のメインストリームになると有力視されているサービスであっても突然、終了が発表されることはあります。

それなのに、相変わらずGoogle+で精力的に情報発信をしていたらどうでしょうか。お金を生まない努力をしていることになってしまいます。

企業・店舗の経営者は、Googleが展開するサービスに乗っかったとしても、突然終了の憂き目に遭うということを把握しておく必要があるでしょう。

そして、正しい目的をもって、適切なSNSを選択し、目的によってそれらを使い分けることが大切になってきます。

「Instagramが流行っているからInstagramアカウントを開設しよう」「若者の間でTikTokが人気らしいから、すぐにウチも始めよう」という、流行に流されやすい女子高生のようなSNS活用では、目的を見失ってしまいますし、戦略がないので求めているような効果も得られません。

客層戦略に合ったSNS活用どのSNSを活用するかを選ぶ際に大切なポイントを説明します。

(2)の記事で出てきたランチェスター経営戦略(※ここに(2) の記事のURLを入れて下さい)では、「商品対策」から始まって「時間対策」まで8大要因が定義されていると解説しました。

なかでも重要なのが3つ、「1.商品対策」「2.エリア対策」「3.客層対策」です。そしてSNSの活用においては、「3.客層対策」に合致しているかどうかがツールの使用を判断するポイントになります。

たとえば最近では、Instagramが注目され、ユーザー数を増やしています。このInstagramのメインユーザー層は34歳以下の女性です。したがって、40代以上の女性や、年齢に関係なく男性をターゲットにしているビジネスの場合、Instagramを使ってもターゲットに情報を届けることができません。

また、Facebookは日本上陸からだいぶ年月がたち、幅広い層が使うソーシャルメディアとして定着した感がありますが、こちらもユーザー層に偏りがあります。

男女比では男性が多く、かつ30代以上のビジネスマンが好んで使っているソーシャルメディアなのです。したがって女性や若年層は、登録していても使っていないか、そもそも登録もしていない。

だから20代、30代の女性にリーチしようと思ったら、Facebookは全く適切ではありません。このようにソーシャルメディアはそれぞれ客層に偏りがあります。

したがって、まずは自分の業界や自社・自店の客層をきちんと分析し、そこに合わせてソーシャルメディアを選ぶことが大切になります。

●Google検索に反映されるかどうかで選ぶ

「自社の客層に合っているかどうか」に加え、もうひとつ、注意するポイントがあります。それは、「そのSNSがGoogleの検索に引っかかるかどうか」です。

日本における検索エンジンのシェアはGoogleが圧倒的です。

何らかの情報を得ようと思ったら、「まずはGoogleで検索する(=ググる)」という行動パターンが現代では当たり前になっています。したがって自社・自店の情報を発信するなら、Googleの検索結果に引っかからなくては意味がないのです。

その意味ではFacebookは失格です。なぜならFacebookはクローズドなメディアなので、そこに掲載された情報は基本的にGoogleの検索結果に表示されないからです。

Facebookはお客さんや友人・知人とのコミュニケーションには有効ですが、ネット上で見ず知らずの人にサービスを知ってもらったり、お店に来てもらったりする目的としては使えません。

Facebookにも、ターゲットを絞り込んでそのタイムラインに広告を表示させるサービスはありますが、その広告にしても、Facebookを見ている人にしか表示させられないわけですから、やはりリーチできる層は限られてしまいます。

Googleの検索結果に反映されないという意味では、Instagramも同様です。

Instagramも、有名人などがファンとの交流を図るには適していますが、企業や店舗が集客や顧客維持を図るためのツールとしては有効ではありません。

ただ一方で、FacebookやInstagramはリピート率を高めるツールとしては有効です。一度お客さんになっていただいた方に友だち登録してもらい、こちらから定期的に情報提供したり、個別にコミュニケーションを取ったりすることで、お客さんとの信頼関係を高めれば、リピート率向上に一定の効果が期待できます。

Facebook、Instagram、LINEも、あくまでもツールにすぎません。どれかひとつを使えばどんな課題でも解決できるというものはないのです。

経営のどの場面にどんな課題があるのか、そこをきちんと明確にして、戦略的にツールを選び、活用していかないと、全く効果が発揮されない「貧乏SNS」の使い方になってしまいます。

これからもどんどん新しいソーシャルメディア、SNSは出てくると思います。そのたびに右往左往していたのでは、時間とお金のムダです。

「新しいSNSだから使う」のではなく、「自社・自店の客層に合っているかどうか」「検索に引っかかるかどうか」でソーシャルメディアを選び、活用するか否かを判断してください。

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菅谷 信一(すがやしんいち)
中小企業・業績改善コンサルタント。株式会社アームズ・エディション代表取締役。一般社団法人日本動画マーケティング協会代表理事。大学卒業後、日立製作所関連会社で人事・教育を担当した後、 障害者のための福祉施設「茨城福祉工場」で社内企業家として続々とヒットビジネスを企画する。2001年に独立開業。YouTube動画とLINE@を活用した集客法を企業に支援し、これまでに総額50億円以上の売上アップの実績を持つ「YouTube・LINE@専門ネットコンサルタント」。

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