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(画像=2TAPS代表取締役の河内亮氏)

3号店目のコマルに詰められた成功方程式

「飲食オーナーにとって、3店舗目の出店は鬼門です。実直に店づくりをしてもつまらないと取られ、遊び過ぎても突拍子がないと思われてしまう。一号店と二号店を踏まえた上で、ちょうどいい店をつくるのが難しいのです。3店舗目を前にして、私たちもどのような提案をしようかと苦慮しました」

そう話すのは2TAPS代表取締役の河内亮氏だ。同氏は2014年12月に『三茶呑場 マルコ』、17年9月に『ニューマルコ』をオープンさせ、立て続けにヒット店舗を送り出した経営者として知られている。三軒茶屋で飲食と言えば、茶沢通りやデルタ地帯などが有名だ。しかし同氏は駅から少し外れた太子堂2丁目エリアに出店し、新しいマーケットを作り出す。両店とも坪月商が50万円を超え、連日満席が続き、入店を断るケースも少なくない。そこで3号店目として、18年11月にオープンさせたのが『コマル』だ。冒頭のようにどのような提案をするか迷ったが、物件を見て答えをひらめく。立ち飲みでいこう、と。

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(画像=三軒茶屋駅から徒歩6分ほどの場所の府ガラス扉のファサードと看板が目印)

「実は当初、この物件は倉庫として使う予定でした。しかし、家賃の安さと正方形の内観を見て、飲食店でいこうと方向転換したんです。立ち飲みにしたのは、男性客を取り込みたいと考えていたからです。『マルコ』も『ニューマルコ』も女性の割合が60%から70%とかなり高いですから。三軒茶屋で支持され続けるためにも、客層のバランスを取りたいと考えていたのです。そこで私なりの大衆的な立ち飲みの提案をして、新しい層にアプローチすることにしました」

『コマル』はただの立ち飲み店ではない。客単価は3500円から4000円で、平均滞在時間も1時間と通常の立ち飲み店に比べて長い。内装は福岡の人気店、『めしや コヤマパーキング』からインスピレーションを得て、円形にした。この造りが同店の魅力をさらに引き立てている。

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(画像=円形のつくりのため、スタッフと客はもちろん客同士の交流も盛んに行なわれている)

もともと同社は客に「すいません、注文いいですか?」と言わせない文化を持つ。スタッフが先回りして気配りをし、心地よい時間を過ごしてもらえるように取り組んでいるのだ。同店は10坪なので、目に見える範囲内に客が入る。しかもカウンターの幅は80センチ。手が届く範囲内に客の手元があるため、キャッシュオンスタイルがスムーズに成り立ち、きめ細やかなサービスもできるというわけだ。月商はオープンから半年足らずで470万円に到達。当初の狙い通り、男性客の割合は60%と他2店に比べて高い。