成功か失敗かをざっくりと「数値化」しておこう

この場合、2つのアイデアがあるとしましょう。

1つ目は、「大幅値下げ」です。

これは過去、80%の確率で成功してきたとします。うまくいくと売上は2倍に。確かに現実的な打ち手ではあるのですが、収益率の低下は避けられません。

また、値下げをしたとしても20%の確率で効果が出ないこともあります。その場合、収益率が落ちる上に効果も出ないということで、損失は非常に大きくなります。

2つ目は、「増売キャンペーン」です。

こちらの成功確率は50%程度で、売上は1・5倍に増えるとします。値下げほどの効果はないかもしれませんが、失敗したときの傷は比較的浅いと言えます。

シナリオ・プランニング,斎藤広達
(画像=THE21オンライン)

不測の事態にも「数字で答える」ことが可能に

大事なのは、正確でなくてもいいので、確率の数字を入れてシナリオを作るということ。それによりシナリオのリアリティがぐっと増し、「心の準備」をしやすくなるからです。

誰かにプレゼントを贈る際は、サプライズのほうが喜ばれるかもしれません。逆にシナリオ・プランニングは「サプライズを減らす」ことがゴールなのです。

ここまで準備しておけば、どんな問いに対しても「数字で答える」ことが可能になるはずです。

「今のところ順調に進んでいますが、さらに増売をかけることも検討していいかと思います。成功率は5割ほどです」

「少し苦戦していますので、早急に対策をします。成功率が8割と高い値下げと、成功率は5割ほどですがコストが低いキャンペーンとを、比較検討したいと思います」

このような話をすれば、経営者や事業責任者も安心して任せることができる上に、「それでもうまくいかなかった場合」への心の準備もできるのではないでしょうか。