制限時間を決めて「集中する時間」を予約しよう
多忙なビジネスパーソンが資格試験の勉強をする際には、記憶や思考の時間当たりの密度を高くして、効率的にインプットをすることが必要だ。つまり、高い集中力が不可欠なわけだが、集中力を高めるには、いったいどうすればいいのか。集中について探究している井上一鷹氏に、具体的なノウハウを聞いた。
集中しているときに身体に起きる変化とは?
そもそも「集中力」とは、いったいなんでしょうか。集中は心理学や脳神経科学で扱われるテーマですが、実は、明確な定義はなされていません。
そこで私たちは、普通のメガネと同じように装着することで、姿勢、目の動きやその速度、瞬きなどを計測するメガネ型デバイス「JINS MEME」を開発するにあたって、集中を「個人が高いパフォーマンスを出すために一つのタスクに没頭している状態」と定義づけました。
では、この状態のとき、身体にはどのような現象が起きているのでしょうか。
集中しているときの第一の特徴は、瞬きの回数の減少です。これは、緊張感のある集中を意味します。
しかし、さらに深く集中した状態になると、瞬きのタイミングが一定になるという現象が起こります。これは、リラックス時の特徴です。
緊張とリラックスという、相反する状態が併存することで、没頭が瞬発的なものではなくなり、一定時間持続する深い集中になるのです。
この深い集中は、心理学者のミハイ・チクセントミハイが発見した「フロー」と呼ばれる状態です。このとき、視界では集中の対象だけに光が当たり、他の部分は暗いモノクロ、もしくはスローモーションのような曖昧な動きに見えます。これが、高いパフォーマンスを実現する、理想の集中状態です。
こうした体験をよくしているという人は、非常に少数でしょう。しかし、集中している対象以外のものが目に入らず、気がついたらかなり時間が経っていたという経験を、子供の頃にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
子供が何かに夢中になっているときは、紛れもなくフロー状態です。しかし、大人になると、その機会はほぼゼロになってしまうのです。