要旨

中国経済,景気指標総点検
(画像=PIXTA)
  1. 中国では経済成長の勢いが再び鈍化してきた。19年第2四半期(4-6月期)の成長率は実質で前年比6.2%増と前四半期の同6.4%増を0.2ポイント下回った。中国経済は18年に債務圧縮(デレバレッジ)と米中貿易摩擦の影響で成長の勢いが鈍化し始めたが、ここもと再び減速した主因は米中対立による景気下押し圧力である。他方、消費者物価はアフリカ豚コレラの影響で上昇してきたが、今年度の抑制目標「3%前後」を下回っている。
  2. 景気10指標を点検すると、需要面では、輸出は底ばい状態にあり、消費は弱含み、投資の減速には歯止めが掛からない。供給面をみると、製造業はPMIが4ヵ月連続で50%割れとなるなど低迷しており、非製造業は商務活動指数が50%を上回っているものの、その勢いには陰りが見られる。また、8月の電力消費量は前年比3.6%増と低水準、貨物輸送量は同6%前後の伸びで底ばい、工業生産者出荷価格と通貨供給量(M2)も3ヵ月連続で下向き“×”となっている。
  3. 「景気インデックス」(工業生産、サービス業生産、製造業PMIの3つを合成加工したもので、月次の景気指標の動きを成長率に換算するとどの程度かを表示)の推移をみると、18年3月の6.81%をピークに減速し始めた。その後19年3月には一時6.57%まで回復したものの長続きせず、7月と8月は6%を小幅に下回るところまで減速してきた。中国国家統計局は10月18日(金)に国内総生産(GDP)を発表する予定だが、9月に景気が上向かないようだと、19年7-9月期の成長率は5%台に減速する恐れがある(下図)。
中国経済,景気指標総点検
(画像=ニッセイ基礎研究所)