7月下旬からスタートした3月決算銘柄の第1四半期決算も8月中旬で終了となりましが、それから2カ月程度が経過したこともあって決算発表終盤で決算を発表した銘柄でもアナリストによる業績や目標株価の見直しが一通り終わったと思われます。そこで今回は8月8日に決算を発表したTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に決算発表後に2社以上が目標株価を引き上げたもの(足元の株価を上回るもののみ対象)をピックアップしてみました。
そのなかでも目標株価の引き上げが目立つのが関西ペイント(4613)で、第1四半期の営業利益が前年同期比で6%を超す増益となったこともあって決算発表後に6社が目標株価を引き上げています。また、第1四半期の営業利益が27%以上の大幅な増益となったバンダイナムコホールディングス(7832)でも4社が目標株価を引き上げたほか、セコム(9735)でも決算発表後に2社が目標株価を引き上げています。
決算メモ
●安川電機(6506)- 上期の大幅な減収減益を受けて通期の見通しを下方修正 -
安川電機が10日に発表した2020年2月期の上期決算は売上高が前年同期比14.7%減の2118億円、営業利益が同59.2%減の125億円となりました。売上高はサーボモーターがスマホ関連需要の低迷や半導体投資の先送りに加え米中貿易摩擦の長期化に伴う影響拡大により苦戦、ロボットも日本は自動車関連を中心に底堅く推移したものの、中国で貿易摩擦の影響を大きく受け低調で二桁の減収となりました。また、営業利益は大幅な減収となるなかで操業度の悪化もあって6割近い減益となっています。
このように上期決算が大幅な減収減益となるなか安川電機ではドル円の下期の想定レートを110円から105円へと円高方向に見直したこともあって通期の業績見通しを下方修正しています。売上高を前期比2%減の4650億円から11.5%減の4200億円に、営業利益を同6.6%減の465億円から49.8%減の250億円に引き下げています。ただ、力強さに欠けるものの受注は6月をボトムに回復傾向にあるようで、今回の下方修正でリスクは相当程度織り込んだと安川電機では説明しています。
金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト
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