厳しい7-9月決算

日本株銘柄フォーカス
(画像=cosma/Shutterstock.com)

企業の7-9月決算が出揃いました。消費税増税前の駆け込み需要があるなどやや特殊要因がありますが、全体としては増収減益の厳しい決算と言える内容です。3月決算を採用しており昨年と今年の7-9月期の売上高および営業利益を比較可能な2,258銘柄について集計したところ、表の通り全体で1.5%の増収、13.6%の減益でした。

7-9月決算
(画像=昨年と今年の7-9月期の売上高および営業利益を比較可能な2,258銘柄についてマネックス証券が集計)

業種別の全体的な傾向としてはやはり米中貿易摩擦による世界的な景気低迷の影響を受けやすい「鉄鋼」「石油石炭製品」「機械」「非鉄金属」などの景気敏感セクターが不調で、どちらかと言えば内需ディフェンシブセクターが堅調です。ただ冒頭でも記したとおり特に「小売業」や「サービス業」などは消費税増税前の駆け込み需要が入っているため、割り引いて考える必要があります。

本日の銘柄フォーカスではこのように全体として厳しい決算の中でも好調な決算内容が光った銘柄をご紹介します。

全体期に厳しい決算の中でも好調さが光った銘柄は?

それでは特に業績が好調だった銘柄をご紹介します。具体的なスクリーニング条件は以下のとおりです。

●スクリーニング条件

・10月から11月15日までに7-9月期の決算発表を行った3月決算銘柄
・直近7-9月期の業績までの5四半期の業績が前年同期と比較可能
・直近7-9月期まで5四半期連続で営業利益が黒字
・直近7-9月期まで5四半期連続で前年同期比で増収営業増益を達成
・直近7-9月期まで5四半期連続で営業利益率が前年同期から上昇
・予想PER25倍以下と割高感がない

上記の条件でスクリーニングしたところ表に示したとおり、ニチイ学館(9792)、TOKAIホールディングス(3167)、日本ロジテム(9060)、JBCCホールディングス(9889)、朝日ネット(3834)、日総工産(6569)、日本信号(6741)、G-7ホールディングス(7508)、クエスト(2332)、日本ハウズイング(4781)、旭情報サービス(9799)、サクサホールディングス(6675)、ジェーシー・コムサ(2876)、日東富士製粉(2003)、エー・アンド・デイ(7745)、中央自動車工業(8117)、文化シヤッター(5930)、JFEシステムズ(4832)、共英製鋼(5440)、小松ウオール工業(7949)、NEW ART HOLDING(7638)、日本パレットプール(4690)、アールビバン(7523)、フルサト工業(8087)、トーエネック(1946)、丸全昭和運輸(9068)、英和(9857)、テクノ菱和(1965)、京都機械工具(5966)、ダイワボウホールディングス(3107)、アイエーグループ(7509)、平賀(7863)、SECカーボン(5304)の33銘柄が抽出されました。

スクリーニング
(画像=QUICKデータよりマネックス証券作成)

最後に筆者が特に注目している5銘柄について事業概要や業績の推移をご紹介します。

●ニチイ学館(9792)

■企業概要

医療事務受託・介護分野の最大手。医療関連(病院・診療所・調剤薬局の医事業務受託、器材の販売)、介護(在宅系・居住系介護サービス、有料老人ホーム)、ヘルスケア(家事代行)、教育(英会話)事業を展開。医事業務の受託は全国約9千件の契約医療機関でサービスを提供。介護・ヘルスケア事業では1400ヵ所以上の拠点で約15万人にサービス提供。その他、保育事業(施設数200超)、セラピー事業、中国事業(介護人材・サービス)を営む。スイミングスクールのジェイエスエス<6074>は持分法適用会社。2007年コムスンから介護事業・老人ホーム等を継承。2009年ダスキンと資本業務提携。2011年英会話事業のGABAを完全子会社化。2012年日本マイクロソフトと医業IT支援で業務提携。2013年セコムと業務提携。2015年中国の中民養老企画院と戦略的提携。2019年「COCO塾ジュニア」教室を閉鎖。

■業績推移

ニチイ学館
(画像=マネックス証券)

●TOKAIホールディングス(3167)

■企業概要

生活インフラサービス会社。静岡県を基盤にエネルギー(家庭・業務用LPガス、都市ガス)、ICTサービス(情報通信サービス、CATV)、生活サービス(アクア、住宅、ブライダル)など多角的な事業を展開。LPガス、インターネット、CATV、データセンター、アクア(宅配水)、住宅設備、セキュリティ、保険、ブライダル、介護、総合リフォーム等、生活に密着したさまざまな商品サービスを幅広く提供。営業エリアは静岡県および関東一円から日本全国へ積極的な面的拡大を推進。CATV事業者として売上高は全国2位(100万件超)、宅配水(アクア)は静岡県トップ。インターネット接続サービス「TOKAIネットワーククラブ」は静岡県トップシェア。LPガス事業では岡山・岐阜・東京・群馬にエリア拡大。2011年LPガスのザ・トーカイ、CATVのビック東海が株式移転により設立。2015年電力事業へ参入に伴い東京電力と業務提携、2016年東京電力パワーグリッドと検針業務の自動化で共同実証試験を開始。2017年CATVの東京ベイネットワークを子会社化。

■業績推移

TOKAIホールディングス
(画像=マネックス証券)

●G-7ホールディングス(7508)

■企業概要

カー用品店・スーパー等を運営、神戸本社。「オートバックス」と「業務スーパー」を中核にオートバックス・車関連事業(車関連用品・部品・車両販売)、業務スーパー・こだわり食品事業を営む。グループ店舗数394(2019年3月)。主力の自動車用品販売店「オートバックス」(車関連85店舗)、業務用食材を小売販売する「業務スーパー」(137店舗)を全国展開、それぞれ国内最大のフランチャイジー。農家直販の農産物直売所「めぐみの郷」の出店拡大、不動産賃貸の「G-7モール」に注力。2012年マレーシアにオートバックス店進出。2014年グループ店舗が複数集合拠点を「G-7モール」に統一。2016年バイク王&カンパニー<3377>と資本業務提携。

■業績推移

G-7ホールディングス
(画像=マネックス証券)

●日本ハウズイング(4781)

■企業概要

独立系のマンション・ビル管理会社。管理業務(分譲マンション、ビル)、営繕工事(修繕工事)、営繕業務(清掃、設備管理・保全)、不動産管理業務(建物管理・賃貸管理代行、サブリース)を営む。総合管理受託戸数は業界トップクラス(管理受託戸数50万戸)。社宅再生、学童保育事業へ取組みを推進。リログループ<8876>の持分法適用会社。2016年機械器具設置工事の建築業許可を取得。2017年学童事業(キミライト事業)を開始。

■業績推移

日本ハウズイング
(画像=マネックス証券)

●丸全昭和運輸(9068)

■企業概要

物流サービス会社、横浜本社。物流事業(貨物自動車・港湾・鉄道利用運送、倉庫業・通関業、3PLサービス、グローバル物流)と、構内作業・機械荷役(移送・組立・充填・倉庫保管、入出荷、機工)を営む。主力は化学品・鉄鋼・建機・機械などの産業材の物流サービス。3PL情報システム「MLPシステム」はプロセスの一元的管理、貨物情報のリアルタイム公開など業務効率化やコスト削減に貢献。2015年日本電産の物流子会社を買収・連結子会社化。2019年港湾運送の国際埠頭を子会社化。主要荷主はキャタピラーグループ、昭和電工、富士フイルム、JFE。

■業績推移

丸全昭和運輸
(画像=マネックス証券)

本レポートが皆様のご参考になれば幸いです。

益嶋 裕
マネックス証券 マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザー

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