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気が利く人、利かない人
気が利く人になりましょう。
人との出会いがあっても、気が利く人と利かない人では、その後の進展が違います。
誰しも気が利く人に好意を持ちます。好意を持つから、いい情報も入ってきます。
目先の信号が黄色に変わるのを見て、慌ててアクセルを踏むドライバーもいますが、その次の信号が赤であれば、信号一つ分、先に進んでも、五十歩百歩です。
物事の先が読める人は、人間関係においても、仕事においてもうまくいきます。先のことを考えているので、誰からどのような質問がくるか、準備を自然にしています。
また、自分の前だけではなく、自分の後ろのことも考えることができる人は、これまた気が利くということです。
アメリカの例で恐縮ですが、自分がドアを開けたら、次の人が来ないか後ろを振り向いて、誰かがいたら、開けたドアをそのまま持って待っていてあげるのがマナーです。
日本では、自分のためにドアを開けても次の人のことは考えずに、さっさと中に入っていく人がほとんどですが、わかっている人はちゃんとやっているのです。
コピー機がある場所で、自分の後ろを振り返って、「あっ、コピー1枚ですか。私はたくさんあるので、お先にどうぞ」と言える人は偉い。
スーパーのレジの列で、買い物カゴいっぱいの人が自分の後ろを振り返って、「飲み物1本だけですか。お先にどうぞ」と言うのはとってもスマートです。
前だけではなく、後ろにも気がつく人はステキです。
反対の話も私は体験しています。
某喫茶店には2階にトイレが2つあり、一つは女性専用、もう一つは男女兼用でした。その日、私がトイレに入ろうとしたとき、階段の下で女性と鉢合わせしたので、レディファーストの気持ちで「お先にどうぞ」と言ってしまいました。すると女性は男女兼用のほうに入ってしまい、いつまで経っても出てきません。待ち続けていると、ばっちりとお化粧をして、何事もなかったかのように私の目の前を素通りしていきました。
気が利く利かないは、天性のものではなく、ちょっとした心がけ次第です。
そういうちょっとした違いが、幸運を運んでくれる人を選別しているのかもしれません。
笑顔の効用
「笑う門には福来たる」ということわざがあります。
人を魅力的にみせる一番大切でかつやさしい能力は笑顔だと思います。
ワクワクしながら、笑顔で楽しく仕事ができることこそ幸福です。
私が尊敬するメンターは3人いると申し上げましたが、すべて笑顔がいい。時に厳しいことも言いますが、笑顔と人間力がそれをカバーしていて、言われても「なるほど」と納得してしまいます。そのうち一人のモットーはこうです。
「前向きに、明るく、逃げず、知ったかぶりせず」
笑顔についてアランはこう言っています。 「幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ」
よく小売業や飲食業では、笑顔で接客されていますが、大切なことだと思います。お店の人が笑顔でいれば、顧客も気持ちがいい。お店の人が苦虫を嚙んでいるような顔をしていたら、人が寄りつかなくなります。困ったときに返答ができずに「作り笑い」する人がいますが、普段から笑顔のいいのとは、まったく違います。
幸せも伝播すると言われますが、笑顔も伝播します。
会社でも、いい顔している人、ニコニコしている人は、いい仕事をしています。
米国の大統領であったジョン・F・ケネディはこう言っています。
「中間管理職と真のリーダーシップとの微妙な半歩の違いは、プレッシャーの下で優雅さを保てるかどうかだろう」
会社で、苦虫を嚙みつぶしたような顔をしている中間管理職と、それよりはるかに大きな責任を持つ社長が笑顔で社員に接しているのとどちらが格好いいでしょうか。
職場での笑顔は社員の幸福感を高めます。微笑むと神経ペプチドが分泌され、脳に「幸せを感じて」というメッセージがいくそうです。
ベストセラー『人を動かす』で有名なデール・カーネギーは、こう言っています。
「笑顔は1ドルの元手もいらないが、100万ドルの価値を生み出す」
明るく、笑顔でいることは、ビジネスの基本であると思います。マザー・テレサも「Peace begins with a smile.」(平和は微笑みから始まります)と言っています。
私の友人のトレーナーは「笑いは人生の友であり、笑顔は自分の宝である」と言い、いつもいい笑顔をしているすがすがしい青年です。
また、「笑一笑十年少」という中国の言葉があり、笑顔でいると10年若く見えるという意味だそうです。笑顔で10歳若く見られるなら、結構なことです。笑顔でいましょう。
ちなみに、私が作った「アイウエオ・サシスセソ社員」はこれです。
〈アイウエ明るい人〉
明るく 活き活きと 上を向いて 笑顔で 面白く
〈サシスセさわやかリーダー〉
さわやかで しなやかで すなおで 清潔で 尊敬される
反対の〈カキクケだめリーダー〉もご参考まで。
頑なで 気ままで 暗く ケチで 怖い
前の2つは笑顔を、最後のは仏頂面を想像すると思いますが、いかがでしょうか。
変化を先どりしよう
世の中や企業を取り巻く環境は、みるみるうちに変わっていきます。
たとえば、技術の変化。とても便利だといわれていたポケベルもあっという間に姿を消しました。パソコンは計算機から通信機器とへ変化し、ポケットに入るスマホが大活躍している。どんなメーカーも新技術を取り入れないと、他社に勝てなくなる。
たとえば、流通の変化。少し前まで、食品メーカーは問屋に卸し、小売店から消費者に商品を流通させていましたが、今やテレビやネットの無店舗販売が広がり、食品メーカーから消費者へ直送することが多くなりました。
たとえば、社会構造の変化。少子高齢化によって、生産労働人口(15歳から64 歳)は急激に減少しますが、65歳以上の年齢は2055年まで減少しません。若手向けの製品だけでは、事業が成り立ちにくくなります。また、国内市場が縮小するため、これまでの売上・利益がとれないので、海外進出する必要が出てくるでしょう。
儲かっている企業や業種があれば、必ず競合が進出してくるでしょう。
ですから、会社は変わらなければいけないのです。
若手には少ないでしょうが、仕事に慣れるにつれて保守的になり、変化を求めない人が増えてきます。会社の体質もそうです。ベンチャーは何に対しても積極的ですが、企業も成長期から円熟期に達するとだんだん積極性に欠けてきます。
いまにもつぶれそうな会社はあれやこれややってみますが、軌道に乗っている会社はだんだん新規事業に取り組まなくなってきます。私が見る限り、変わりにくいのは次のような会社です。
○役所の形態に近い組織
○大会社
○歴史の長い会社
○儲かっている会社
○カリスマ頑固社長がいる会社
変わりにくい会社は、変わらなくても食べていけるし、余計なことをして失敗しないほうがいいと思っています。たしかに、世の中がずっと同じ状態であればそうです。
しかし、冒頭にあげたように世の中や企業を取り巻く環境は急速に変化しています。環境の変化に従って自社が変わらなければ、大怪我はしなくてもだんだん競争力が低下してきます。目には見えにくいけれど、「金属疲労」していきます。競争力低下や金属疲労も、立派な失敗なのです。
だから変化を先どりするべきです。
若手に限らず、中堅も、経営者も、身の丈を踏まえた上でのリスクは取り、失敗を恐れず変化すべきです。新製品を作ったり、新しい市場に参入したりすると、成功もあるでしょうが失敗もするものです。変化を恐れず、革新的な議論ができる人になっていただきたいと思います。
チャールズ・ダーウィンはこう言いました。
「(ライオンのように)強い者が生き残るのではない。(チンパンジーのように)賢いものが生き残るのではない。環境変化に対応できる者が生き残る」のだと。