重要イベント目白押し 中でも米中合意の有無が最大の焦点

今週は相場材料という点で今年最後で最大のスペシャル・ウィークとなる。FOMCにECB理事会、英総選挙、週末13日の金曜日にはメジャーSQに日銀短観だ。

中でも最大の焦点は米中貿易交渉で「1次合意」がなされるか否か。追加関税第4段の発動期限は15日。その前に合意するなら今週のどこかしかない。仮に金曜日までに合意がなされない場合、金曜日の東京市場は「とりあえずヘッジしておこう」という機運が強まり売りがかさむのは想像に難くない。しかし、それはハワード・マークス氏の言うところの「1次的思考」だ。金曜の東京の引け後、米国の取引時間中に合意の報が出れば、米国市場が大幅高となるかもしれない。直前の14日土曜日に合意すれば週明けの東京市場は大幅高になる。

結局、デリバティブの売りヘッジも大きく損失を被るリスクがある。合意はなくとも米国側が関税適用の先送りをするかもしれない。いずれにせよ、やみくもに売るのは得策ではない。利益がのっているポジションの一部手仕舞い程度にとどめるのが無難だろう。

冒頭で重要イベント目白押しと述べたが、実は相場を大きく動かすようなものはあまりない。先週金曜日の雇用統計の大幅な上振れをみれば、今週のFOMCの利下げ見送りは確定的だ。それでも米国株が崩れないのは、FEDの利下げ頼みの状況を脱しているからだろう。ラガルド新体制のECB理事会も現状維持。英の総選挙は与党が逃げ切れそうだが、野党労働党がどこまで肉薄するかが興味深い。メジャーSQが13日の金曜日に重なる時は、上昇することが多い(ご参照→新潮流「13日の金曜日」)。

日銀短観も景況感DIが悪化するのは織り込み済みだ。消費増税に台風、米中対立の不透明感と企業の景況感がいいわけがない。この状況下の短観はあまり材料にはならないだろう。

週明けは先週末の米国の雇用統計と昨日発表された中国の米国からの輸入が急回復というニュースを受けて高く始まりそうだ。そのまま米中合意の報を待ちながら一進一退の展開だろう。ドタ勘だが、週後半に米中合意に至り、13日金曜日のSQは大幅高、そんな感じがする。

日経平均のレンジは2万3000円~2万4000円を想定する。

広木隆 広木 隆(ひろき・たかし)マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問。外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。長期かつ幅広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に強み。2010年より現職。著書『9割の負け組から脱出する投資の思考法』『ストラテジストにさよならを』『勝てるROE投資術

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