不動産投資への代表的な批判として「儲かるなら分譲会社が自社で保有し続ければいいのに、売るのはおかしい」という意見が多くあります。今回は、不動産会社のビジネスモデルについて解説し、不動産会社が優良物件を自社で保有せずに売却する理由を考察します。

不動産会社に対するシンプルな疑問「優良物件をなぜ売るの?」

不動産投資への誤解
(画像=PIXTA)

不動産会社の営業を受けたことがある人や、不動産投資に興味を持ち始めた人の多くがぶつかる疑問があります。それは、「優良物件をなぜ売るのか?」という疑問です。

不動産会社の営業担当者は熱心に収益物件をすすめてくるし、投資向け物件がインターネットにはたくさん掲載されているけれど、なぜ不動産会社はこれらの物件を自社で保有しようとしないのか。考え始めると、ふつふつと疑念が沸くばかりです。

「実は本当の優良物件は不動産業界が独り占めしていて、儲からない物件を外部に売って利益を得ているのでは?」という極端な意見を耳にすることもあるかもしれません。

しかし、これは大きな誤解です。不動産会社が優良物件を自社で保有しない理由は、不動産会社のビジネスモデルにあるのです。

短期的に利益をあげ経費を払う必要がある不動産会社

不動産会社は、営業担当者を雇っている以上、毎月人件費を支払わなければなりません。また、これ以外にも会社経営には広告宣伝費や事務所家賃、備品購入費、通信費などたくさんの経費が掛かります。

不動産会社はこれらの経費をまかなうために、毎月経費以上の利益をあげる必要があります。優良物件を一つ所有しているからといって、会社経営にかかる経費をすべてまかなうことはとてもできません。

必然的に、不動産会社はリスクを背負って複数の物件を仕入れ、売却することで利益を積み上げていくことになります。売却益は会社の経営に必要な経費と社内留保、そして次の物件の購入費用に充てられるので、売却益が立たなければ、優良物件が出た時に購入するチャンスを逃してしまいます。これが、不動産会社が自社で優良物件を保有し続けない理由です。

そもそも、個人であるオーナーと不動産会社では、目的が大きく異なります。 個人オーナーは、土地所有者であれば賃貸用不動産を建てることによって土地にかかる税金を安く抑える、相続を視野に入れるのであれば現金を投資用不動産に組み替えて相続税に係る評価額を抑える、サラリーマンは投資用ローンを活用して将来への資産形成を目的に、など様々な目的が考えられます。

さらに個人オーナーの場合、不動産会社と比較すれば経費はほとんどかからないため、リスクを下げることの方に重点が置かれます。そのため、優良物件を購入して保有し、安定的に家賃収入を得る形が目的を叶える手段として最も効果的なのです。

不動産会社とオーナーが協力し双方の利益を追求する

ここまで、不動産会社が優良物件を自社で所有するのではなく、オーナーに売却する理由を解説しました。

世の中にはさまざまな人間がいて、たくさんの組織があり、その目的は決して一つではありません。だからこそ、お互いにメリットのある形で取引が成立し、経済が回っていくことになります。

不動産会社とオーナーは、異なる目的を持っており、協力し合ってお互いの利益を追求することが可能です。疑心暗鬼に陥ることなく、信頼できる不動産会社や担当者を見極めながら、自分に合った投資の選択をすることが大切です。(提供:マンション経営ラウンジ

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