まずは、全力でやってみる。
「自分の特徴を何に生かせばいいかわからない」
「必死に考えてみたけれど、どう生かせばいいか、答えが見つからない」
そんなときにおすすめの方法は、ちょっとでも「いいかも」と思ったことや、たまたま目の前に差し出されたことを、「まずは、やってみる」ことです。
友人に「この仕事、手伝って」といわれたら、嫌いな仕事でないのならば、やってみることです。親に「この仕事が向いているのでは?」といわれたら、やってみるこです。
いろいろやっていくうちに、「この仕事は自分に合っている」「この仕事は好き」というものがわかってきます。
やりながら、ふるいにかけていくのです。頭の中で考えているだけでは、何も変わりません。やってみると、考えていた仕事とはまるで違った、などということは、世の中にいくらでもあります。
最近の僕の座右の銘、つまり、自分の生きていく上でのモットーは、
「やってみなきゃ、分からねーだろ」
これに尽きます。
いつも全力でやる
やる上で、大切なのは「いつも全力でやる」こと、つまり全力で生きることです。
全力で生きることの大切さを教えてくださったのは、『私の哲学』シリーズに登場し、インタビューに答えていただいたスポーツドクターの辻秀一先生です。
辻先生は、応用スポーツ心理学を土台に、人の心と脳の仕組みに基づいてパフォーマンスアップを導く、独自の「辻メソッド」を提唱し、多くの人を元気にしています。
特にフロー理論を大切にしています。フローとは「揺るがず、とらわれない状態」で、この心の状態のときに力が最大に引き出されるそうです。フローの状態をもっと簡単にいえば、「ごきげんな状態」とおっしゃっていました。
辻先生がおっしゃっていたことで、特に印象に残っているのは、次のお話です。
人生の一瞬一瞬を大切に生きる。それがアーティストであり、プロフェッショナルです。
1日24時間、8万6千400秒。毎回全力で生きることの重要性がわかると、みんなもっと素敵になって輝く。
ただ生きていて、文句ばかり言っているのはもったいない。過去のことを後悔するよりも、まずは今に生きることを考えることから始めましょう。
思考が自分を作りますから、いつも一生懸命に取り組もうと考えることから始めたら、少しずつ心の状態が変わっていきます。自分の人生を自分で作る。自分の心を自分で作る。誰でもそんな脳の使い方ができるのです。
過去にとらわれないで、一瞬一瞬を大切に全力で一生懸命努力する。
僕も、いつも思っています。
後でお話ししますが、自分がアレルギーで死と直面したことで、一瞬一瞬の大切さがわかるようになりましたし、一瞬一瞬を大切に生きることで、人生が変わってきました。
「平生」をないがしろにしない
「一瞬一瞬を大切に生きる」を言葉を変えて表現すると、「平生を大切に生きる」ともいえます。
「平生」と書いて、「へいぜい」と読みます。意味は、『大辞林 第三版』の解説によると、「ふだん。つねひごろ。平素。平常。副詞的にも用いる。 『 ─の心がけが大切だ』という意味を持つ。」です。「凡事徹底(ぼんじてってい)」とも言い換えられると思います。
僕は、『私の哲学』で取材させていただいた一行山弘願院専修寺住職の甘利直義(あまりなおよし)先生からこの「平生」という言葉を教えられて以来、生活の中で重んじています。
魅力的な人間になるために、どんな力が必要か。
「コミュニケーション力」とか、「人間力」とか、いろいろな力が挙げられます。では、こうした力は、どこで鍛えるのか? それは「平生」です。
普段の何気ない生活の中で少しずつ鍛えていくしかありません。だから、一瞬一瞬を鍛錬の時間として、大切に生きる必要があります。
普段、社内の会議には必ずといって遅刻する人が、「私はお客様を訪問する際には遅刻はしません」と言っても信じられません。普段、いつ会ってもだらしない格好をしている人が、「僕は仕事をするときは、きちんとした格好をしていますよ」と言っても疑いたくなります。暗い顔をしている人が、「いつもは僕、明るいですよ」と言っても、首をかしげたくなります。
平生、つまり普段から変わりない態度でいることで、人からの信頼は得られるのです。
平生を大切に全力で生きていれば、チャンスが舞い込む回数も増えるでしょう。
たとえば、ラーメンを食べるときにも全力で食べるとします。「あー、このラーメンうまい!」と。すると、もしかしたら、横に座っている人が、「おまえ、ラーメンをすごいうまそうに食べるな。気に入った。今度、ラーメンのCMに出ないか」と言ってくるかもしれません。その「全力の姿勢」は誰かが見ているものです。
株式会社インターリテラシー 代表取締役ファウンダー・CEO
株式会社ジールアソシエイツ エグゼクティブプロデューサー
1979年東京都生まれ、ニューヨーク育ち。2002年慶應義塾大学総合政策学部卒業。2004年慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA取得)。
1999年大学1年次に教育コンサルティング会社を立ち上げる。2007年コミュニケーション問題の解決をはかる株式会社インターリテラシーを設立。2014年クオンタムリープ株式会社執行役社長として活動。『行動する勇気』(フォレスト出版)、『運を動かせ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『脱米論』(財)公共政策調査会主催、読売新聞社後援「21世紀においてあるべきわが国のかたちをいかに考えるか」優秀賞受賞。『守破離』 日本貿易会主催「ジャパンブランドの可能性」第2回日本貿易会賞優秀賞受賞。ベンチャー経営歴20年。3男1女、4人の子どもの父親。東京マラソン、那覇マラソン、ホノルルマラソン完走。伊豆大島観光特派員。英検1級。Oxford Teacher Training Program 修了。
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