(本記事は、安東隆司氏の著書『元メガバンク・外資系プライベートバンカーが教える お金を増やすなら この1本から始めなさい』ダイヤモンド社の中から一部を抜粋・編集しています)
ETFは株式だけでなく、債券や投資しにくいものも買える
●ETFは「まとめ買い」できる
ETFは、多くの種類があり、指数に連動しています。そしてそれを1銘柄買うと、その指数をまとめ買いしたのと同じ効果が得られます。しかも、比較的少額でも投資することが可能です。
例えば日経225の指数のETFを購入すると、日本を代表する企業225社を盛り合わせてかごに入れて買うのと同様で、「225銘柄の“バスケット”買い」をカンタンに実現することができるのです。
債券の説明でBBB格以上が「投資適格」と呼ばれ、債務不履行に陥る可能性が低いと考えられるという話をしました。
安定的な債券運用をしたいと考える投資家には「投資適格」の債券に限って投資をするというルールを決める場合もあります。
この場合、どこの社債が投資適格なのかを調べることすら、どこから手をつけてよいのか途方に暮れてしまう場合もあるでしょう。また、かつて投資適格だった、というイメージを持っていたとしても、現在は投資適格の格付よりも下がっているかもしれません。
ところが、「投資適格」の社債のインデックスを用いれば、これらのハードルは全てクリア。面倒な調査はインデックスを作っているメーカー(プロバイダー)が全てやってくれているのです。言い換えれば、「投資適格社債」インデックスに連動するETF銘柄を1つ選ぶだけで、投資適格社債のまとめ買いをすることができるのです。
●債券投資のコストは、実はETFを使った方が安い
あるETFプロバイダーの試算によれば、投資適格社債を組み合わせた“バスケット”を市場で取引した売買のスプレッド(=売る値段と買う値段の差)は25bps(=0.25%、bps=ベーシスポイント)ですが、ETFの売買スプレッドはわずか1bps(=0.01%)でした。仮に5000万円の場合でいうと、24bps=0.24%の差は12万円にもなります。
プロの運用者や富裕層の運用では、もっと大きな金額の運用の場合も考えられるので、コストの差は大きく響いてきます。
コストに敏感なプロや富裕層はETFを活用しているのです。
●業種のまとめ買い、セクター投資もETFで可能に
「情報技術」と聞いてもピンと来なくても、「IT(アイティー)系」と聞けばイメージしやすいかもしれません。
30年前には設立さえしていなかった会社が、日本を代表する歴史ある自動車メーカーの株式の時価総額を上回る規模に成長しています。
仮にこれからも「IT系」が伸びる、と考えるならば「IT系」のまとめ買いができたら便利だなと感じませんか。
このような、業種もまとめ買いもETFならばできるのです。
世界産業分類(GICS)では、産業を11に分類しています。
(1)エネルギー、(2)素材、(3)資本財・サービス、(4)一般消費財・サービス、(5)生活必需品、(6)ヘルスケア、(7)金融、(8)情報技術、(9)コミュニケーション・サービス、(10)公共事業、(11)不動産
このように業種をグループ分けし、そのグループに投資する「セクター」投資という方法もカンタンにできるのです。
例えば、今後を以下のように予想したとします。
すでに投資してきた「不動産」セクターは十分に上昇しバブル傾向だろう
→不動産セクターのETFを売却し、利益を確保する
景気が悪い時期でも、必要なモノは買うだろう
→生活必需品セクターのETFを買う
このような対応も、必要に応じて機動的に行うことができます。
●取引市場を代表する銘柄の「まとめ買い」
アメリカの株式相場ニュースでよく聞くものにナスダック(NASDAQ)というものがあります。これは証券取引所の名前です。
このナスダック市場は新しい技術や新しいサービスを生み出すベンチャー企業が上場していることで有名です。
その成長力に期待する投資家が多いのです。ナスダック100指数はナスダック市場のうち、有力な100社の株式で構成されています。
この指数に連動するETFへの投資で、ナスダック市場の中でも有力な銘柄に分散投資、「まとめ買い」をすることができるのです。
●時価総額のサイズでの分類を「まとめ買い」
上場している株式と言っても、会社によって時価総額は大きく違います。大型株、中型株、小型株といった分類の仕方もあります。
景気が拡大する局面では、中・小型株の価格の上昇が、大型株よりも良いという場合もあるかもしれません。
その場合には「中・小型株」のETFに投資するという選択もできます。
このような様々な切り口でグループ化をしたインデックスは、多種多様なものがあります。いろいろなインデックスにETFを使って投資することが可能になっています。
国内ETFは海外ETFと、どんな違いがあるの?
●国内にいながら海外ETFへ投資ができる
繰り返しになりますが、ETFは上場している投資信託です。
では、アメリカに上場しているETFを日本にいながらにして買うことができるのでしょうか?
実はとてもカンタンに、日本にいてもアメリカに上場している海外ETFに投資をすることができます。
ただし、そのためには海外ETFを取り扱っている証券会社・信託銀行などに海外株式の口座を開く必要があります。
でも、その前に国内ETFのメリットについて考えてみましょう。
・日本の取引所が開いている時間に、リアルタイムで取引ができる ・日本円で取引ができる、申告時の計算がラク
といった点が挙げられます。
逆にデメリットとしては、
・取引があまりされていないものがある ・コスト(信託報酬など)が海外ETFに比べると高いものがある
などがあります。
●日本のETFで売買代金の大きいトップ10は?
ここでは東京証券取引所や大阪取引所(デリバティブ市場)などを運営する日本取引所グループが発表しているデータから、日本のETFで売買代金の大きいトップ10のデータから、まず結論をお話ししたいと思います。
短期取引のツールとして用いられるものが取引上位で、長期投資に向かない(聞き慣れない言葉も多いと思いますが)レバレッジ型、ダブル型、インバース型などが売買代金の86%を占めていました。これらはリスクが高く長期投資にはあまり向かない商品です。
退職金をこのような商品に投資して、一攫千金を狙うつもりが、大損で高い授業料を払うことがないように、くれぐれも注意してください。
世界のETF市場では、インデックス型のベーシックなETFに資金が集まっています。長期の資産運用で、ある程度のまとまった金額ならば、国内ETFではなく、海外ETFを買うことも検討してください。
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