(本記事は、安東隆司氏の著書『元メガバンク・外資系プライベートバンカーが教える お金を増やすなら この1本から始めなさい』ダイヤモンド社の中から一部を抜粋・編集しています)

勝手にお金が貯まってしまう「財産所得」とは?

財産所得
(画像=Ghing/Shutterstock.com)

●日本人は「財産所得」の割合がまだまだ少ない

自分が会社勤めや個人事業主となって、汗水を垂らして稼いできたお金は、「勤労所得」というものに分類されます。自分が労働をして稼いできた分です。

それに対して、「財産所得」というものがあります。

これは、お金や株券や債券、土地など、保有する資産を運用することから生じる所得です。利子所得・配当所得・賃貸料(不動産)所得などがあります。

自分が働かなくても、これらが勝手に稼いでお金を運んできてくれたら、こんなに嬉しいことはないですよね。

世界には、こうした財産を使ってお金を儲けている人、すなわち投資をうまく使っている人が大勢いるのです。

もしこれらの財産が稼いでくる部分が、自分の全所得の4分の1もあるとしたら、どう思いますか?

例えば、自分で働いた所得が768万円あるとして、それ以外に256万円のプラスアルファがあったら、どうでしょうか?とっても嬉しいですよね!

アメリカの家計調査では、まさにこのような結果が出ているのです。

アメリカでの勤労所得と、財産所得の割合はなんと、3対1です。

例えば、勤労所得が768万円だとすると、財産所得が256万円という金額になります。2つを合計すると、所得は1024万円になります。

ちなみにアメリカでの財産所得が何に投資してもたらされたのかというと、株式・出資金、投資信託、債券といった内容です。

一方、日本の場合はどうでしょうか?日本の勤労所得と、財産所得の割合は8対1です。例えば、勤労所得が先ほどと同じように768万円だとすると、比率が8対1なので財産所得は約96万円になります。

アメリカでは、資産の約50%を投資に回している

●アメリカ人はリスク資産に5割以上を投資

アメリカでは、75歳で資産は5800万円に増えています。そして、株などの「財産」が稼いでくれる部分が、所得の4分の1にもなっているのでしたね。

このように勝手にお金が貯まっちゃう方法を、私たちも見習いたいですよね。

実際に、日本でもお金持ちの人々はこのような方法を取り入れています(金融資産で100万ドル、1億円以上を持っている方々を、特に「富裕層」といいます)。

なぜ、アメリカでは資産が大幅に増加しているのでしょうか?

それは「リスクを取って投資をしている」からです。家計資産の中のリスク資産というのは、「株式・出資金」「投資信託」「債券」などです。

アメリカのリスク資産への投資割合は、53.2%です。

アメリカの家計に占める、株や投資信託などのカテゴリーの割合は次のようになっています。「株式・出資金」33.2%、「投資信託」12.1%、「債券」7.9%、これらの合計は53.2%になります。

ところが、日本でのリスク資産への投資の割合は16.1%です。

日本の家計に占める、それぞれのカテゴリーの割合は、「株式・出資金」9.5%、「投資信託」4.8%、「債券」1.8%で、合計16.1%です。

アメリカのリスク資産への投資割合の3分の1以下の水準です。

このリスク資産への投資の割合の差が、アメリカと日本の家計の運用の成果、リターンの差につながっているのです。

ところで、日本では現預金に置いてある割合が、53.1%です。

アメリカでのリスク資産への投資が53.2%でした。同じ割合の53%が日本では、現預金に置かれていたのです。低金利の日本の現状では預金に置いていても、利息で資産が増加する部分は微々たるもの。大きな資産増加は望めません。

虎穴に入らずんば虎子を得ず。リスクを取った投資をしなければ、それに見合ったリターンを得ることはできないのです。アメリカでは、53%をリスク資産に投入し、高いリターンを得ています。その結果、投資した財産が稼いでくれる部分、「財産所得」が大きくなっているということなのです。

高いリターンを得るためには、高いリスクを取らなければなりません。

しかし日本の投資家の場合は、それ以外にもうひとつの重要なポイントがあります。

それは、「投資にかかるコストが日本ではとても高い」ということです。

投資にかかるコストが高いと、投資家のリターンは、その分下がるといえます。同じ投資対象ならば、投資コストの差がリターンの差に直結します。

アメリカでは、実はコストの安いETF(上場投資信託)を幅広く投資に用いています。しかし日本ではコストの安いETFが金融機関ですすめられることはまずありません。「販売時の手数料がゼロ」、販売しても「信託報酬の一部がキックバックされない(リベートなし)ために」、販売する金融機関にとって、メリットがないからです。

これからお話しするアメリカでの投資の実態は、アナタの取引している日本の金融機関から語られることはまずありません。

なぜなら、多くの金融機関の担当者は「販売者」(自社が取り扱う商品の売り子)にすぎないからです。ですから、自分たちに都合のいい金融商品しか売ろうとはしないのです。

でも、情報が集まるお金持ち、富裕層やプロの投資家は、もうETFを使って資産運用しているのです。この機会に、ぜひ資産を増やすための正しい運用知識を知っていただきたいと思います。販売側ではない中立のアドバイザーだからこそ語れる「真実の運用の扉」を、これから開いて参りましょう。

元メガバンク・外資系プライベートバンカーが教える お金を増やすなら この1本から始めなさい
安東隆司(あんどう・りゅうじ)
RIA JAPAN おカネ学株式会社 代表取締役。CFP、日経CNBCなどTVコメンテーター、海外ETF専門家、立教セカンドステージ大学講師。三菱UFJ銀行で17年、三菱UFJメリルリンチPB証券(出向)、ソシエテ・ジェネラル信託銀行勤務という、メガバンク、外資系証券・信託銀行で約26年の勤務を経験。その後半はプライベートバンカーを務め金融商品の運用について熟知。販売手数料(コミッション)を目的にしない、世界的潮流である「預かり資産管理」(フィーベース)のビジネス(RIA)を行う、独立系・投資助言業(内閣総理大臣登録)を2015年立ち上げる。著書に『個人型確定拠出年金iDeCoプロの運用教えてあげる!』(秀和システム)など。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)