(本記事は、安東隆司氏の著書『元メガバンク・外資系プライベートバンカーが教える お金を増やすなら この1本から始めなさい』ダイヤモンド社の中から一部を抜粋・編集しています)

「バランス型ファンド」も種類によっては確実に損をする!

元メガバンク・外資系プライベートバンカーが教える お金を増やすなら この1本から始めなさい
(画像=Webサイトより※クリックするとAmazonに飛びます)

●「毎年確実に損してしまう」場合とは?

株式や債券など複数の投資対象(資産クラス)に投資する「バランス型ファンド」と呼ばれる投資信託があります。よくあるパターンでは、「日本株式」、「日本債券」、「外国株式」、「外国債券」の4つの資産クラスに投資するパターンなどです。

しかし、アナタはこの事実を知っているでしょうか?投資信託の中身をよくよく確認しないと、「日本債券」の割合が多いバランス型で、ファンドの信託報酬が高い場合には、「毎年確実に損をしてしまう」ということを……。

まず、バランス型ファンドについて、

・リスクはあまりとりたくない人向けとされている
・分散投資で複数の資産クラスへの投資が有効だと言われた(書いてあった)
・わからないなら、「バランス型がおすすめ」と言われた(書いてあった)
・ランキングで良く選ばれているのがバランス型だった
・勤務先の確定拠出年金のセミナーで最初に取り上げられていた

結局のところ、どの商品を選んでいいのかわからないなど、消極的にバランス型を選択しているケースがとても多く見受けられます

しかし、利回りの低い日本の債券の割合が多く、信託報酬が高いと、運用益よりもコストが上回り、毎年資金が目減りしていくことを知っている人は少ないのではないでしょうか。

●日本の債券に投資すればするほど、損をする?

日本の国債はもう長年、低金利の水準に据え置かれています。執筆時点では、日本の国債の金利はマイナスです。マイナス金利ということは、「お金を預けていても、利子をもらえずに逆に利息(手数料)を支払う」ということです。現状、日本国債の10年以内期日は全てマイナス金利という状況なのです。

「でも国債は国の債券だから金利が低いだけで、会社の債券(社債)の金利はもっと高いでしょ?」

と考える投資家もいるかもしれません。しかし、そうでもないのです。

2018年12月末時点での、日本の高格付社債の利回りは、わずか0.3%しかありません(データ 日本高格付社債NOMURA-BPI事業債指数)。つまり、日本で、格付の高い債券に投資した場合、得られるリターンは0.3%程度と考えられます。

国債の金利が低い場合に、その国の社債でかなり高い金利が付いているケースは、リスクの高い社債と考えられます。リスクの高い社債とは、その社債を発行している会社の経営に不安があり、その資金が戻ってこない可能性が高いといえます。

●その、バランス型ファンドの信託報酬(コスト)は?

では、実際にある大手メガバンクがラインナップに載せている、バランス型ファンドの事例を取り上げます。

投資初心者の人が、「できるだけ安定的に」とか、「リスクは抑え目に」といったことを伝えれば、「それならば、比較的リスクの少ない、安定型ですね!」と、「安定型のバランスファンド」をすすめられることになるでしょう。

ある投資信託の中身をよく見ると、日本国内の債券に資金の約半分49%を投資する形となっていました。前述した事例にならい、執筆時点の日本の債券で得られるリターンを仮に0.3%だとします。

そしてそのバランス型ファンドの信託報酬の水準を仮に1.78%とすると、日本債券に投資した部分は、マイナス1.48%、毎年損をしていくのです。

0.3%(リターン)−1.78%(信託報酬)=マイナス1.48%(お客様の損)

もちろん、残りの51%の部分であるその他の株式等でリターンを取り戻せれば、全体の運用もマイナスにはなりません。しかし、このバランス型ファンドの実績では、過去1年のリターンがマイナス2.7%超でした。

バランス型ファンドを選ぶ時には、投資対象からのリターンと、それに費やすコストがどうなっているかを考える必要があるのです。リターンの方が、コストを下回る形を長く続ければ、運用の損の部分を自動的に生み出す方法に投資をしてしまっているのです。

(ただし、状況は今後変わる可能性もあります。長期的に見て景気回復とともに金利上昇の局面になれば、債券のリターンも正常なプラスになるでしょう)

元メガバンク・外資系プライベートバンカーが教える お金を増やすなら この1本から始めなさい
安東隆司(あんどう・りゅうじ)
RIA JAPAN おカネ学株式会社 代表取締役。CFP、日経CNBCなどTVコメンテーター、海外ETF専門家、立教セカンドステージ大学講師。三菱UFJ銀行で17年、三菱UFJメリルリンチPB証券(出向)、ソシエテ・ジェネラル信託銀行勤務という、メガバンク、外資系証券・信託銀行で約26年の勤務を経験。その後半はプライベートバンカーを務め金融商品の運用について熟知。販売手数料(コミッション)を目的にしない、世界的潮流である「預かり資産管理」(フィーベース)のビジネス(RIA)を行う、独立系・投資助言業(内閣総理大臣登録)を2015年立ち上げる。著書に『個人型確定拠出年金iDeCoプロの運用教えてあげる!』(秀和システム)など。

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