(本記事は、世古口俊介氏の監修・編書「しっかり1億円貯める月1万円投資術」あさ出版の中から一部を抜粋・編集しています)

トヨタ,日本企業,売上高
(画像=JuliusKielaitis / Shutterstock.com)

積立運用するなら「ドルコスト平均法」

株式投資を行うのであれば、ドルコスト平均法による積立投資がおすすめです。この方法は毎日や毎月など投資のタイミングをできるだけ分散することで、一時点の価格の上げ下げのリスクを回避する投資方法です。

積み立ての逆は、一度に一時点で投資すること。

株だとしても為替だとしても、毎日動きます。動くときは1日で日経平均などの指数でも数%動いたりするのですが、株の個別銘柄だと10%近く動くこともザラにあります。

その瞬間は何が起こるかわかりません。この値動きによって大きな損失を出す可能性もあり、一時点ですべての資金を投資するのはリスクが大きいです。

ですので、その一時点のタイミングにかけるよりは、「今月100円のときに買って、来月110円のときに買って」ということを定期的に繰り返すほうが、平均取得単価がならされることになり堅実です

しっかり1億円貯める月1万円投資術
(画像=しっかり1億円貯める月1万円投資術)

それが数年、数十年継続すると、もちろん一時的には大きな相場下落もあると思いますが、仮にそういった場面に直面したとしてもあまり気になりません。

むしろ株も為替も下がっており、安く買えてラッキーぐらいに考えることが大事です。

そういった心持ちでいることによって、「損したからもう売却しちゃおう……」などと思うことなく、さらなる長期投資が可能になるはずです。

積立投資の最大のメリットが、このドルコスト平均法というわけです。

積立投資ではタイミングを考えない!

積立投資を行う際には、絶対にタイミングを見てはいけません。

積立運用によってドルコスト平均法のメリットを得ることができます。長期運用と同様に、金融市場はプロマーケットですので短期的にタイミングを見ることは無意味です。

しかし、人間には欲と感情がありますので、上がったときは買ったほうがいいと思い、下がったときは売ったほうがいいと思うことがあります。この「儲けたい」 「損したくない」という感情や欲がある限り、AIやプロには勝てないのです。

ドルコスト平均法はこの感情や欲、恣意性の一切を排除し、徹底的に平均値を取ります。タイミングを見るのではなく、定期的に買い付けることで平均取得単価を平準化していきます。

とくに株式は値動きが大きく翻弄されやすいので、こうした積立運用がおすすめです。株式市場がリーマンショックのような経済危機で下落したときも、下落した価格で継続して買い付けを行うことができます。

私のお客様のなかにも、リーマンショック前に株式を買い、リーマンショックの下落で我慢できずに売ってしまう、という方がいました。今も保有していれば、買った株価を超えていたので、これが一番もったいないパターンなのです。

私も毎日、積立投資をしていますが毎日、いくらで買えたかや時価を確認したりせず、本当に半年や年に1回、確認するくらいです。

毎日、上がった下がったということを考えるのは面倒ですし、一時的に損していても別に構わないと思っているからです。

それくらいの心持ちで運用をしたほうが長期的には良い結果を生み出すと考えています。

個別銘柄には手を出さない!

「トヨタか日産かはどうでもいい」

私は、個別の株式について相談に来られたお客様に必ずこう伝えています。

株式投資=良い銘柄選びが重要というように考えている人が多く、「株は何の銘柄がいい?」といった議論をしたがる人はとても多い。

しかし、日産の会長(当時)が2018年の有価証券の虚偽記載容疑で逮捕された一件で、あれほどまでに株価が暴落するなんてことは誰にも予想できなかったはずです。つまり、個別銘柄でリスクを取るのは博打と同じだといっても過言ではありません

日産のような個別企業は明日、何が起こるかわかりません。だったら、最初から何百、何千の銘柄に分散されているようなパッケージ型のファンドに投資するほうが絶対におすすめです。銘柄が分散されているため、100円単位のような少額でも購入することができます。

日本の株であれば日経平均、アメリカの株であればS&Pとかダウなどに連動するパッケージ商品が存在します。

個別株式の何を買ったら良いという議論よりも「こういう経済状況なので、株式の割合を厚めにしましょう」とか、「退職されたので株式の配分を少なめにして、債券を増やしましょう」とか、資産配分全体の議論を行ったほうがよっぽど建設的です。

金融資産の株式や債券、実物資産の不動産の資産配分という各資産クラスの割合の議論は意味があるかもしれませんが、頭からどの銘柄を買ったほうがいいという話は不毛でしかありません。

また、たった数点の銘柄にオールベットするということもあり得ません。

あと個別銘柄への投資は先述の短期売買にもつながるのが良くありません。

どうしても個別の株式だと会社のニュース一本で価格が大きく動くので、大きく利益が出たり、損失が出たり、短期で売買したくなってしまいます。

その短期売買で得をするのは証券会社だけなので、やはり個別株はやめたほうがいいと思います。

個別銘柄に固執し、失敗した例

2019年も日本郵政やレオパレス、関西電力など上場会社の不祥事が相次ぎました。

個別株式への投資は集中リスクの最たるものです。

個別銘柄に偏っている方もいれば、日本株式だけやアメリカ株式だけなど、特定の資産クラスに集中しているという方も多い。

慣れているからか、得意と思っているからかわかりませんが、分散投資は資産運用の基本中の基本です。

私のお客様で日本株の信用取引という、お金を借りて株式に投資する手法を好み、特定の日本株数銘柄に集中的に投資しているお客様がいました。

2005年~2007年頃までは好調で、投資した資金は投資元本の3倍程度にまでふくらみましたが、2008年のリーマンショックで軒並み投資先の株式が暴落し、「追証」という追加で担保を入れなければならない現象が発生しました。

そのなかでもっとも投資金額が大きい銘柄で不祥事があったのが大きな原因となり、3倍になった投資資金は元本割れ。結果的に最初の投資金額の3分の1程度にまで資産を減らしてしまったのです。

このお客様も特定の銘柄ではなく、もっと投資先を分散し、資産クラスも分散していればこうはならなかったことでしょう。

「ドルコスト平均法」による積立投資で資産と気持ちの余裕を作る

社会人の常識: 仕事のハンドブック』
世古口 俊介
株式会社ウェルス・パートナー代表取締役。1982年三重県生まれ。大学卒業後、2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社。三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイス銀行(クレディ・スイス証券と兼職)のプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして最年少でヴァイス・プレジデントに昇格し、2016年5月に退職。2016年10月に独立系の資産運用コンサルティング会社、株式会社ウェルス・パートナーを創業し、代表取締役に就任。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)