(本記事は、世古口俊介氏の監修・編書「しっかり1億円貯める月1万円投資術」あさ出版の中から一部を抜粋・編集しています)
債券は基本、投資元本が返ってくる
債券とは、期待リターンは株式に劣りますが、株式よりも値下がりリスクが少なく安定した運用が期待できる金融資産です。
株式のような大きなキャピタルゲイン(値上がり益)は期待できませんが、価格の安定感があり、さらに安定的なインカムゲイン(定期収入)を得ることができます。
債券によっては年間4~6%程度の利回りを生み出すものもあります。それらが投資額に対して毎年ほぼ確実に入ってくるのです。
例えば利息5%の債券を1000万円分購入した場合は、毎年50万円の利息を受け取ることが可能です。個人で投資した場合、その50万円に対して税金が20%程度かかりますので正味40万円が手取りのキャッシュフローとなり、これを自身の支出などに使用することが可能です。
債券投資のリスクは、債券を発行したのが国であれば「国債」、会社であれば「社債」と呼ばれ、この国や会社が倒産(デフォルト)することが債券のいちばんリスクとなります。債券を発行している会社が倒産した場合、債券保有者は会社に残った財産の分配をされることになります。
債券を選ぶ際は、国や会社が倒産しないかどうかが基準となります。
ソフトバンクはWeWorkへの投資価値の下落により株価がピークから20%も下落しましたが、債券は数%程度の下落に留まっています。債券は会社が倒産しない限り基本的に投資元本は戻ってくるので、価格を決定する基準が株価のように「業績」ではなく「倒産確率」になるということがわかります。
国や会社が倒産しない限り安定した利益を生み出すのが債券
債券は大きく分けて2種類ある
では、債券にはどういった種類があるのでしょうか。
大きく2つに分類すると国債と社債です。
国債とは日本やアメリカその他の国が発行する債券のことで、社債とはトヨタやソフトバンクなど主に大手の企業が発行する債券のことです。
利回り(収益性)は一般的には国債より社債のほうが高くなっています。国の信頼性よりは企業の信用力のほうが低く、格付けが低いからです。
投資する通貨は発行された債券ごとに定められていますが、ご存知のように日本円は低金利すぎて債券の利回りも限りなく0に近い利回りとなっています。
具体的には、トヨタなどの大企業が発行している債券でも年利回り1%未満です。ソフトバンクなど格付けが低い企業の債券でも1%から2%程度でしょう。
一方で、アメリカは日本より金利が高い状況にあります。
ゆえに米ドル建ての債券は基本的には日本円建ての債券よりも利回りが高い状況にあります。
また米ドルは世界の基軸通貨です。日本円建ての債券よりも、米ドル建ての債券のほうが圧倒的に投資できる銘柄が多く、また流動性も高い(売却しやすい)です。私が外国債券をすすめる最大の理由は、ここにあります。
円と米ドル以外でもユーロやポンド、豪ドル、ニュージーランドドル、スイスフラン、その他の新興国だとメキシコペソやブラジルレアル、トルコリラなど、さまざまな通貨建ての債券があります。
ただ、あくまで外貨の中心は米ドルと考えていいでしょう。
保有資産が1億円以上ある人であれば、通貨分散の一環として米ドル以外のその他の先進国や新興国通貨へ分散するという感覚で考えていただければと思います。
現在の債券の利回りは、各国の低金利政策によって日本もアメリカもその他の国々もいまだかつてないほど低金利の状況になっています。
アメリカの10年国債の利回りは1.9%程度、日本の10年国債にいたってはマイナス0.01%というマイナス金利の状況です。
この未曾有(みぞう)の低金利時代を鑑みて、通貨は日本円ではなく外貨を選ぶ。具体的には米ドルを中心に据える。
そして、私は債券の種類は国債ではなく、多少企業のリスクは取るものの、国債より利回りが高い社債をオススメしています。
また、社債には「普通社債」と「劣後債」という種類があります。
劣後債とは何かというと、会社が倒産したときに、その企業の残余財産からまずは普通社債を保有している方に借入の返済を行います。その後、残った財産を劣後債の保有者に返済する、つまり倒産時の弁済順位が劣後するのです。しかし、その代わりに普通社債よりも利回りが高いというメリットがあります。
私は、劣後債でもこの企業は倒産しないだろうという会社の債券であれば、劣後債のほうが高い利回りを得ることができるのでオススメしています。
債券種類についての説明は以上です。
株式と異なり地味なので、あまり脚光を浴びない資産の債券ですが、実は富裕層の金融資産の中心は、この債券なのです。それは債券が株式と異なり、安定的かつ計画的に運用できる資産であるからに他なりません。
債券の通貨は「米ドル」、社債は「劣後債」がおすすめ!