今朝の日経新聞の「銘柄診断」は内田洋行(8057)を取り上げていた。昨日、東証1部の上昇率4位となる大商いでストップ高。今期営業利益を前期比70%増に当たる65億円に3日に上方修正したのが好感されたが、今に始まったことではない。小学校でプログラミング教育が必修化されるなど情報教育に力が注がれることを背景に、教育ICT関連として物色されてきた。なんといっても、これから学校教育のIT化、オンライン化はますます整備拡充が必要だ。確信度の高いストーリーがある。

日経新聞が書いている通り、タブレットや電子黒板などのハード面に加え、教育ソフトも提供できるのが内田洋行の強み。企業向けでは在宅勤務の普及でクラウドサービスの受注が堅調とも伝わるが、同社の強みはそれだけでない。

同社は「Change Workingコンサルティングサービス」を提供している。そういうことをするにはまず自らが変革に成功しなければならない。そうでなければ他社にコンサルなどできないだろう。同社は自らの働き方改革「新川Change Workingプロジェクト」の成果を報告している。数値化に拘り、自身の働き方改革のためのKPIを設定して取り組んだ結果は素晴らしいものだ。

・固定席を廃止し、業務に最適な場所を選んで働くというスタイルの導入
・「Office365」の活用、iPadの配布による効率化
・スケジューラによる「仕事の見える化」と、「仕事を設計すること」の習慣化
・紙資料の電子化
・会議時間の削減

同社はいちはやく紙の資料を大幅に減らし電子化した。これから日本社会は脱紙文化、脱ハンコ文化をめざしていかねばならいことが今回のコロナでわかった。同社は日本の働き方改革を先導するにふさわしい企業だ。だからこそ、他社へのコンサルが可能になり、そこからビジネスチャンスも多く生まれるに違いない。

TOPIX500で年初来リターンを見るとトップはレーザーテック(6920)。レーザーテックは昨年1年の年間ランキングでもトップだった。

毎年、ヘッジファンドでファンドマネージャーをしている友人と赤坂の四川飯店で麻婆豆腐を食べるという年末の恒例行事がある。去年の年末に、2020年はどんな銘柄が買われるだろうかとその友人と話していて、レーザーテックは?と言ったら、今年こんなに買われたんだからさすがに2年続けてというのはないでしょう、と一笑に付されたがやっぱりストーリーは変わらないということだろう。コロナにかかわらず半導体需要はデジタル化の流れでますます増える。半導体メーカーは半導体生産の次世代技術「EUV(極端紫外線)」への投資を加速している。同社がつくるEUV向け検査装置の好調は続く。

年間ランキング
(画像=マネックス証券)

2位の神戸物産(3038)は昨年の5位。そのほか、年初来トップ20を見ると昨年の上位銘柄が散見される。これらはずっとあがってきたわけではない。エムスリー(2413)、オービック(4684)などは一回200日移動平均を下回るところまで調整した。押し目を買うチャンスはあったのだ。そこから切り返して、いまのランクまで上昇してきた。やはり強い銘柄は強い。

こういう銘柄の押したところはチャンスだというのが証明された。従前から言っているのは、ニトリHD(9843)だ。200日線を割ったところで仕込んでおけば、その後、報われると「広木隆のMarket Talk」で繰り返してきたが、今回も力強く反発し上場来高値をつけた。ニジプロを見るために今朝、日テレの「スッキリ」をつけたら、番組でニトリ好調の秘密なんて取り上げられていた。朝のワイドショーでも取り上げられるくらいになったので、そろそろ一旦、いいところかもしれない。

広木隆 広木 隆(ひろき・たかし)マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問。外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。長期かつ幅広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に強み。2010年より現職。著書『9割の負け組から脱出する投資の思考法』『ストラテジストにさよならを』『勝てるROE投資術

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