2019年、住宅ローンである「フラット35」の不正利用が発覚しました。フラット35を活用して投資用物件を購入した人が、一括返済を求められたのです。不動産投資を始めたいと考えている人は、今回の事件の概要を把握し、甘い話にのせられることがないよう十分注意しましょう。

フラット35とは?不正利用にいたった理由も解説

不動産投資
(画像=PIXTA)

フラット35は、住宅金融支援機構と民間が提携して実施している最長35年の住宅ローンです。

通常、返済期間中に金利が変動しない「固定金利」タイプを選択すると、金利が変動する「変動金利」と比べて、金利が高くなる傾向があります。しかし、フラット35では固定金利にもかかわらず、金利が低い水準に抑えられています。

また、固定金利なので毎月の返済額は変わりません。低い金利で安心して返済を続けられることから、利用者にとってメリットが大きい制度といえるでしょう。

住宅金融支援機構は、国土交通省と財務省が管轄する独立行政法人です。住まいは、国民の生活にとってなくてはならないものです。そのため、資金の融通を支援する目的で発足しました。つまりフラット35は自分が住むことを前提とした住宅ローンであり、人に貸すための投資用不動産を所有するためのローンで利用することはできません。

しかし、フラット35のメリットに目をつけた一部の不動産仲介会社が、投資用不動産でフラット35を利用するよう勧誘していたのです。不正利用を知った住宅金融支援機構が調査したところ、住宅価格の水増し等を含め、162件もの不正利用が発覚しました。

不正利用が発覚したら一括返済――無知では済まされない

不正利用のターゲットにされた人の特徴をみると、「20代から30代の単身者」が84%、「年収300万円~400万円台の会社員」が65%でした。

たとえ知らなかったとしても、不正利用をしていた場合、一括返済をしなければなりません。高い金利で別の金融機関から借り入れたり、親族にお金を借りたりと、苦しい選択を迫られます。

「物件を売却すればいい」と考える人もいるかもしれませんが、そう簡単ではありません。物件を競売にかけた場合、市場価格より安い価格でしか落札できず、残債が残るケースがほとんどです。そうすると、物件も失い、その後数年かけて生活費から残債を返済していかなければなりません。

最悪のケースでは、自己破産することも考えられます。また、住宅ローンを組む時になって、不正利用にまつわる延滞が過去の金融事故として扱われ、住宅ローンを組めなくなる可能性もあります。

「業者が言っているから、自分に責任はないだろう」と安易に考えてはいけません。不正のにおいを感じたら、すぐに手を引くことが自分の身を守ることにつながります。

不動産投資ローンを活用すれば問題はなかった

不動産投資は、正しく活用すればメリットの多い投資方法です。住宅ローンを利用したのが問題なのであって、不動産投資用のローンを選択すれば、何も問題はありません。

不動産投資は毎月家賃収入を受け取ることができます。返済は家賃収入の中から行うため、住宅ローンより金利が高くても生活費を圧迫する心配はそれほどありません。

不正な勧誘に注意しつつ、自分できちんと情報収集しながら、正しく不動産投資を行うようにしましょう。

(提供:マンション経営ラウンジ

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