経営者に「大成功する脳の使い方」を指南する能力開発の第一人者、サンリ代表取締役会長・西田文郎 氏。経営者だけを対象とした「経営脳力全開塾」では、爆発的に業績を伸ばす門下生が続出し、全国から問い合わせが殺到。2008年の北京五輪では、日本女子ソフトボールチームのメンタル指導を担当、チームは驚異的な組織力を発揮し、見事金メダルを獲得、あらゆる分野で圧倒的な実績を上げ、トップアスリートや経営者たちから強い支持を得ている。

強運の法則
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本記事は、一代で大事業を築いた名経営者に共通する【強運をつかむ8つの資質】を体系化し、これまで一部の限られた経営者だけに伝授してきた〈西田式経営脳力全開プログラム〉を初めて一般公開した著書『強運の法則』(税込16,500円、日本経営合理化協会出版局)の第2章、P69-76から一部を抜粋・編集して掲載しています。

目次

  1. 強運は脳でつくられる
  2. 最強の成功脳・メンタルヴィゴラス状態
  3. ストレスに強い人の脳内麻薬効果
  4. 書籍詳細
    1. 強運の法則

強運は脳でつくられる

脳の特性を活用して成功する方法とは
(画像=ESB Professional/Shutterstock.com)

さて、これから、あなたを大成功に導く「強運を掴む脳」をつくっていこう。「運を強くする脳をつくる」などと言うと、とんでもなく難しいことのように感じられるかもしれないが、実は脳の機能を理解すれば、運のある脳をつくることはそう難しいことではない。ただ、どのように脳にアプローチすればよいかがわからないばかりに、世の中の多くの人は、前章で紹介したような大成功者の資質の重要性を知りつつも、それを身につけることができずに四苦八苦しているというわけだ。

そこでまずは、強運が脳でつくられる仕組みをご理解いただくところからスタートしようと思う。

ところで、皆さんは自宅の電話番号を覚えているだろうか。どの講演会に招かれても、私がまず一番に申し上げているのが、前章の冒頭でも少し触れた、「自宅の電話番号を記憶する脳があれば天才になれる」という持論である。

「そんな簡単なことは、誰でもできる」と拍子抜けされるかもしれないが、ちょっと考えてみて欲しい。電話番号というのは、たいてい十桁あるいは十一桁の数字だ。十桁の数字を記憶するなんて、すごいことではないか。

というのも、学生時代の歴史の試験勉強を思い出してみれば、多くの人が年号の四桁、あるいは三桁、ときに二桁の数字がなかなか覚えられなくて、「ナクヨウグイス平安京」とか「、イイクニつくろう鎌倉幕府」など語呂合わせをしながら、さんざん苦労した経験を持っているはずだ。しかも必死に覚えた年号も、テストが終わってしまうと跡形もなく記憶から消し去られていることが多い。

ところが自宅の電話番号となると、十桁もあるのに誰でも簡単に覚えてしまうし、いつまでも覚えていられる。だから、電話番号を覚えられる人というのは、ものすごく能力の高い人ということなのだ。

しかし、こんなに難しいことであるはずの電話番号はたいていの人が覚えている。社会的にものすごく成功している人もただの凡人も、私は未だかつて自宅の電話番号を覚えられない人に会ったことがない。

これは一体なぜかというと、年号を暗記するのと違って、自宅の電話番号を覚えるのを嫌だと思う人がいないからなのである。

つまり、みんな「なぜこんなものを覚えなければならないんだ」とか、「面倒くさいな」という否定的な感情やマイナス思考が働かない。それどころか「記憶できて当たり前」と思っているから、単なる数字の羅列でも簡単に頭に入るのだ。さらに、ことあるごとに聞かれるものだから、反復されて絶対に忘れられなくなるのである。

したがって、もし「電話番号を覚えるのは難しい」あるいは「覚える必要がない」と思っている人がいれば、その人は絶対に自宅の電話番号を暗記していないはずだ。

これは先にも述べたが、人間の脳は、10万台のコンピューターも及ばないほど優れた機能を持つと言われている。そして、その機能、すなわち脳の出来は、優秀な人もそうでない人も大差はないのだ。

しかも、10万台のコンピューターといえば、仮にパソコンが1台20万円くらいと計算すると、金額にして200億円以上のスーパーコンピューターである。

だから、よく「うちの子供は勉強が出来なくて、頭が悪い」というお父さんやお母さんがいらっしゃるが、どんなにテストで悪い点をとるお子さんでも、その脳は200億円以上のスーパーコンピューターに相当する、非常に優秀な脳であるということなのだ。

昔は「天才の脳にはたくさんシワがある」「脳細胞の数が多いと頭がいい」などと言われていたが、科学技術の進歩によって、ブラックボックスであった脳の仕組みが明らかになりつつあり、現在ではそれらの説は完全に否定されている。

ちなみに、動物の中で脳のシワが最も多いのは、人間ではなくイルカだ。確かにイルカは非常に頭のいい動物だが、人間より優秀な頭脳をもっているわけではない。また、大脳だけで140~150億個といわれている神経細胞も、人によって多い少ないの差があるわけではない。

つまり、これらの事実から見てもわかるように、大成功する人間とそうでない人間の差は、物質的な脳の構造や精度ではなく、もっと言えば人間は誰でも天才になりうる脳をもっているこというだ。

とすれば、問題は中身だ。高い能力を発揮する人と発揮できない人は、頭の中にある「思い」が違うだけなのだ。じつは、人間の脳は本気で「できる」と思ったことに対しては、それを実現すべく全力で動き出すようにできているのだ。

そして、脳が全力で動き出せば、目標を達成するためのアイデアがどんどん湧き出て、やる気がみなぎり、おまけに何をやってもうまくいってしまうようなすごいツキがどんどん舞い込んでくる。したがって、誰でも簡単に成功してしまうのである。

こう書くと、いいことずくめでウソのように聞こえるかも知れないが、「思い」を変えるだけで、普段は眠っている潜在能力を発揮させるべく、あなたの脳内では凄すごいことが起こるのだ。

最強の成功脳・メンタルヴィゴラス状態

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(画像=RomarioIen/Shutterstock.com)

結論を先に言おう。前章で述べたような大成功する経営者の脳とは、「思考」「イメージ」「感情」が全てプラスになった状態である。そして、この脳の状態を「メンタルヴィゴラス」という。

メンタルヴィゴラスの「ヴィゴラス(vigorous)」とは、「力強い」「元気・活気・迫力のある」「勢いのいい」「精力的な」という意味だ。成功の階段をどんどん上って行き、ついには大きな夢を叶えてしまう人間は皆、常にこの脳の状態にある。

この最強の成功脳になった人間は、恐ろしいくらいに前向きになり、どんなピンチもチャンスととらえ、精力的に目標に向かって突き進む。また、成功に必要な能力である創造力やイマジネーション力、その他、判断力や決断力や意志力、さらには意欲などがおもしろいように発揮される。

なぜなら、メンタルヴィゴラス状態の脳の中では、やる気を引き出し、能力を発揮させるβエンドルフィンやPEA(フェニール・エチル・アミン)、ドーパミンといったホルモンが盛んに分泌されているからだ。これらの物質が、脳内でどのような作用を及ぼすかを以下説明しよう。

ストレスに強い人の脳内麻薬効果

脳を騙す,合格
(画像=THE21オンラインより)

まず、ヴィゴラス状態の脳で豊富に分泌されているβエンドルフィンやPEA(フェニール・エチル・アミン)についてお話ししよう。

これらは「脳内モルヒネ」や「脳内麻薬」とも呼ばれるホルモンで、マリファナや覚せい剤に似た作用を持っている。そして、その名の通り、人間がストレスを感じた時にこの物質が分泌されるお陰で、脳はストレスに対する痛みを和らげ、快感や陶酔を引き起こしたり、想像力や思考力を高めたりすると考えられている。

世の中で活躍する人間は、共通して「ストレスに強い」という特徴があるが、彼らの脳内にはこれらの快感物質が盛んに分泌されているために、どんなに頑張っても疲労が蓄積しなくなっているというわけだ。

一方、この特殊ホルモンが分泌されていない普通の状態の脳は、がむしゃらに頑張ることに対して、非常に強いストレスを感じる。

この「ストレス」は、生体にとって危険なものだ。たとえば、ネズミにストレスを与え続ける実験をすると、ネズミの体内ではホルモンを分泌する副腎が肥大し、免疫機能を維持している胸腺やリンパ節が萎縮して、胃には潰瘍や出血が見られるようになる。

もちろん人間の場合も同様のことが起こるため、ストレスを感じると血圧や血糖値が上昇するし免疫力も低下する。さらに悪くすると、胃潰瘍になって医者にもかからなければならない。

ところが、大成功者の名に値する人たちはどんなにハードな困難に遭遇しても、βエンドルフィンなどの快楽物質の作用で、練習や仕事のストレスがまったく苦にならず、ある意味、異常な脳になっている。

たとえば、想像を絶する苦痛に耐えながら、危険な雪山にチャレンジする登山家や、北極の雪原やアフリカの砂漠を喜んで横断してしまう冒険家の脳も皆、ストレスを快楽に変えてしまう脳内物質が分泌されているために喜びを感じてしまい、我々普通の脳の持ち主からすれば「よせばいいのに」と思うようなチャレンジにも果敢に挑んでしまい、見事これを成し遂げてしまうのだ。

じつは、ストレスには「受動的ストレス」と「能動的ストレス」という2種類のストレスがあり、嫌々ながら受動的に体験するストレスは、ストレスとしての弊害も大きくなる。しかし、脳内麻薬が分泌されたプラス思考で積極的に体験するストレス、つまり自己管理できる自発的ストレスの場合は、ストレスが危険なものではなくなり、集中力が極度に高まるのである。

たとえば、PEA(フェニール・エチル・アミン)は誰かを好きだと感じた瞬間に脳内で分泌され、人に快楽をもたらす〝強烈な愛の麻薬〟であるが、せっかくの美女を目の前にして「女性と話をするのが苦手だな」「どうせ自分なんか相手にされないだろうな」と思うと、これは嫌々ながら受ける受動的ストレスとなり、動悸が早くなったり、手に汗をかいたり、うまく言葉が出てこなかったりして、相手からも振られてしまうのだ。

しかし「、しめた!これは運命の出会いだ」などと能動的にこのストレスを受け入れると、PEAの作用で気分がハイになり、怖いものがなくなる。したがって、臆することなく自信満々で相手にアタックして、あなたの魅力が十分に発揮されることになるのである。

書籍詳細

強運の法則

強運の法則
西田 文郎(にしだ・ふみお)
株式会社サンリ代表取締役会長。西田塾塾長。西田会会長。1949年生まれ。
日本におけるイメージトレーニング研究・指導のパイオニア。1970年代から科学的なメンタルトレーニングの研究を始め、大脳生理学と心理学を利用して脳の機能にアプローチする画期的なノウハウ『スーパーブレイントレーニングシステム(S・B・T)』を構築。日本の経営者、ビジネスマンの能力開発指導に多数携わり、驚異的なトップビジネスマンを数多く育成している。
この『S・B・T』は、誰が行っても意欲的になってしまうとともに、指導を受けている組織や個人に大変革が起こって、生産性が飛躍的に向上するため、自身も『能力開発の魔術師』と言われている。
経営者の勉強会として開催している『西田塾』には全国各地の経営者が門下生として参加、毎回キャンセル待ちが出るほど入塾希望者が殺到している。2008年春には、「ブレイントレーニング」をより深く学び実践し、世の中の多くの方々を幸福に導くために、通信教育を基本とした『西田会』をスタートさせた。
また、ビジネス界だけでなく、スポーツの分野でも科学的なメンタルトレーニング指導を行い、多くのトップアスリートを成功に導いている。2008年の北京五輪で金メダルを獲得した女子ソフトボールチームの指導も行った。その実績は、まさに日本のメンタルトレーニング指導の国内第一人者に相応しいものである。

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