経営者に「大成功する脳の使い方」を指南する能力開発の第一人者、サンリ代表取締役会長・西田文郎 氏。経営者だけを対象とした「経営脳力全開塾」では、爆発的に業績を伸ばす門下生が続出し、全国から問い合わせが殺到。2008年の北京五輪では、日本女子ソフトボールチームのメンタル指導を担当、チームは驚異的な組織力を発揮し、見事金メダルを獲得、あらゆる分野で圧倒的な実績を上げ、トップアスリートや経営者たちから強い支持を得ている。

強運の法則
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本記事は、一代で大事業を築いた名経営者に共通する【強運をつかむ8つの資質】を体系化し、これまで一部の限られた経営者だけに伝授してきた〈西田式経営脳力全開プログラム〉を初めて一般公開した著書『強運の法則』(税込16,500円、日本経営合理化協会出版局)の第3章、P113-120から一部を抜粋・編集して掲載しています。

目次

  1. 大成功する経営者の望みは一般人とは違う
  2. 【ポイント①】目標は「No1」を目指せ
  3. 世界一でなければ、日本一にはなれない
  4. 書籍詳細
    1. 強運の法則

大成功する経営者の望みは一般人とは違う

成功者,朝型
(画像=max shamota/Shutterstock.com)

それでは、プログラムの第一番目として、あなたの目指す成功を徹底的に具体化していただこう。つまり、目標を明確にしていくのだ。

ここで、あなたの目指すべきものを明確化する理由は、目標が潜在能力を引き出す最高の仕掛けとなるからである。たとえば棒高飛びの場合でも、頭上高くに目標となるバーがなければオリンピック選手でも高く飛ぶことはできないし、タイムという目標がなければ、10秒をきるスピードで100mを疾走するような、超人的スプリンターも現れなかったに違いない。

というのも、前章の脳のメカニズムで説明したとおり、人間の脳は「できる」とイメージしたことを必ず実現する。そして、その逆に「できない」と思ったこともまた、そのとおりの「できない」未来を実現する。

つまりは、人間の「能力」とは「できる」と思うことによって発揮されるものであり、かつ成功の大きさとは、いかに、大きく高い目標を「できる」と本気で信じきれるかの差なのである。

だから、経営者の目指す目標は一般の人とはまったく違う「強さ」と「質」をもった、いわば「野望」でなければならない。それでは、大成功を目指す経営者の野望とは何を思い、そしてどのようにイメージングすればよいのか。本章ではこれを第10表に示したとおり、次の6つのポイントに沿って説明していく。

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(画像=強運の法則)

【ポイント①】目標は「No1」を目指せ

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(画像=Jirsak / Shutterstock.com)

まず、あなたの目指す成功目標を改めて明確化し、そして文章にする。この、「書く」という行為は、大脳新皮質で考えているご自分の思いを、しっかりとIRA(本能反射領域)まで送り込むために非常に重要な作業であるから、何となく「ああしたい」「こうしたい」という願望だけがぼんやりとある方は、ここではっきりとその思いを言葉にしていただきたい。

そこで、巻末に添付してある能力開発シート1の一番上の項目に、目標を書き込んでみて欲しい。

さて、その際のポイントとして、大きく成功するために経営者は何を目指さなければならないかについてであるが、これは必ず最終的な到達目標を「No1」にすることが重要である。

つまり、経営者なら「業界日本一、世界一」の会社を、アマチュアのスポーツ選手ならば「オリンピックで金メダル」、プロ野球なら大リーグ、サッカーならセリエAなど「世界最高峰のプロリーグで優勝する」ことを目標としていただきたいのだ。というのも、私の指導方針は「No2ではなくNo1を目指せ」だからだ。今はまだ実力がなく、No2どころかNo100にもNo500にも入らない選手、チーム、企業の経営者に対しても、必ず同じ方針で臨む。これはもちろん、あなたの潜在能力を最大に発揮させるために他ならないからだ。

というのも、目標を最高のところに置く人間と、とりあえず「ぼちぼち」を目指す人間とでは発想も考え方もまるで違ってくるからだ。すると、自然と時間の使い方や、その密度が変わってくる。だからこそ、No1を目指すことが重要なのである。

何より、No1には心を躍らせるロマンがある。この「ロマンがある」とは合理的ではないということだ。100万人いれば、100万分の1しか確率がない。それを敢えて目指すのだから、合理的な選択とはとても言えない。

しかし不合理だからこそ、理屈の脳ではなくIRA(本能反射領域)に強く訴えかけ、そこから強力なエネルギーを引き出すのである。

だから、No1を目指す人間は燃えている。達成スピードも、とりあえず「ぼちぼち」を目指そうかという人間とは比べものにならないほど速い。すると、「ぼちぼち」にも早く到達できる。したがって、それだけ遠くまで行けるのである。

世界一でなければ、日本一にはなれない

世界貿易,リスク
(画像=PIXTA)

No1を目指すことで、成功のスピードがいかに加速するか。

『ホンダ伝』(井出耕也著)という本に、ホンダのふたりの名経営者、本田宗一郎氏と藤沢武夫氏が、No1を目指すことで創業当時の若いホンダを、驚異的なスピードで成長させていった模様が記されている。

彼らはホンダの創立から4年目の1952年、資本金がわずか600万円の時に、海外から総額4億5000万円の工作機械を購入することを決めていたという。

当時、売上も従業員数も恐ろしい勢いで伸びており、前年1951年の売上が3億3000万円、従業員数150人だったのが、1年で24億3800万円に、従業員数は1337人となり、さらにその翌年1953年には77億3000万円、2185人へと拡大していた時期ではあるが、当時のホンダの体力を考えるなら4億5000万円もの巨額の設備投資は、一般の常識的判断をはるかに超える大冒険だ。

しかし、この大冒険もNo1をありありとイメージしている2人にとっては、その達成イメージを実現する単なる通過点にしか過ぎないのである。

というのも、当時のホンダは大半の部品を外部から購入していた。自前でつくっていたのはエンジン部品ぐらいのもので、部品の80%は協力業者などに頼っていた。これでは生産工場とは言えず、むしろ組み立て工場と言った方が正確である。

生命線を外部の手に握られているようなものだから、自分の足で立つにはホンダ自身の技術と生産力を確立しなければならず、設備の増力は避けて通れない決断だったのである。

そこで宗一郎氏が目をつけたのが、海外の進んだ工作機械の導入であった。これは、当時国産の工作機械でオートバイのギアをつくると10分程度の時間がかかったものが、同じ仕事をわずか10秒ですませてしまうものだった。能力差は実に60倍であるから、思い切ってその機械を導入すれば、工作精度と生産コストで他社に大きな差をつけることができるというわけだ。

この工作機械を購入すると決めた年の社内報に、宗一郎氏はこう書いている。「日本だけを相手とした日本一は、真の日本一ではありません。現在の日本は、世界産業機構の中の一環であって、一度、優秀な外国製品が輸入されるとき、日本だけの日本一はたちまち崩れ去ってしまいます。世界一であってはじめて日本一と成り得るのであります。我々日本人特有の優秀な技術によって、高性能高能率な外国の工作機械を利用してこそ、世界市場への進出は可能であります」。確かに、この後のホンダは何度かの経営危機に陥りながらも見事にそれを乗り切り、二輪のみならず念願だった4輪生産へと進出し、そして世界的モーターレースで優勝を飾り、ヨーロッパやアメリカで注目を集める「世界のホンダ」へと着実に飛躍していった。

この「世界一でなければ日本一にはなれない」は、まさしく「ぼちぼち」の成功で終わる人間と大成功する人間とのイメージ力の差である。

普通の発想なら、まず日本一になって、その次に目指すのが世界一のはずだ。しかし、大成功する人間の発想はその逆である。日本一になろうと思うなら、まず世界一にならなくてはいけないのである。

宗一郎氏はこれを社内報に書くだけでなく、入社式などの機会をつかまえては「世界一じゃなけりゃ、日本一じゃねえんだ!」と、顔を真っ赤に紅潮させ、つばを飛ばして語った。急成長を遂げているとはいえ、年商100億円にも満たない地方の中小企業の社長が、しかも演壇の代わりにみかん箱の上に乗ってである。

だから、これを初めて聞かされる社員はたいてい呆然としてしまう。しかも世界一の次に日本一が来るのだから、訳がわからなくなるのもムリはない。しかし、やがて宗一郎氏の話の勢いに引き込まれて、なんだかわからないが、とにかく凄い人であることは確かだ、この人の言ってることは本当かもしれないと、妙に納得してしまうのである。

そして、のちにホンダの社史で宗一郎氏と藤沢氏は、当時の心境をこう語っている。「企業をその時点だけのソロバンで判断するのであれば、あの設備投資は無謀であると非難されても当然であった。しかし、3年先、5年先、10年先を考えた時、どうしてもやらねばならないことであった。仮にホンダが倒産して私たちが去っても、従業員とその設備は、日本のために生き続けるのだからと、心を決めたのだ」

このように、No1を信じて疑わない脳にはありありと未来の成功イメージがあり、これが不安や迷いや恐れに打ち勝つ力を我々のうちに湧き立たせる。だから、あなたの目指す成功は、必ずNo1にして欲しいのだ。

書籍詳細

強運の法則

強運の法則
西田 文郎(にしだ・ふみお)
株式会社サンリ代表取締役会長。西田塾塾長。西田会会長。1949年生まれ。
日本におけるイメージトレーニング研究・指導のパイオニア。1970年代から科学的なメンタルトレーニングの研究を始め、大脳生理学と心理学を利用して脳の機能にアプローチする画期的なノウハウ『スーパーブレイントレーニングシステム(S・B・T)』を構築。日本の経営者、ビジネスマンの能力開発指導に多数携わり、驚異的なトップビジネスマンを数多く育成している。
この『S・B・T』は、誰が行っても意欲的になってしまうとともに、指導を受けている組織や個人に大変革が起こって、生産性が飛躍的に向上するため、自身も『能力開発の魔術師』と言われている。
経営者の勉強会として開催している『西田塾』には全国各地の経営者が門下生として参加、毎回キャンセル待ちが出るほど入塾希望者が殺到している。2008年春には、「ブレイントレーニング」をより深く学び実践し、世の中の多くの方々を幸福に導くために、通信教育を基本とした『西田会』をスタートさせた。
また、ビジネス界だけでなく、スポーツの分野でも科学的なメンタルトレーニング指導を行い、多くのトップアスリートを成功に導いている。2008年の北京五輪で金メダルを獲得した女子ソフトボールチームの指導も行った。その実績は、まさに日本のメンタルトレーニング指導の国内第一人者に相応しいものである。

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