不動産投資について情報収集していると、利回りや物件価格の他に、英語表記の見慣れない用語を見かけることがあります。今回は、不動産投資で参考にすべき指標として、ROI・NOI・LTVという3つの指標をピックアップし、計算式や意味をわかりやすく解説します。指標の意味を理解し、不動産の投資判断に役立てましょう。

ROIとは――自己資金に対する投資効率を表す指標

指標
(画像=PIXTA)

ROI(ロイ/アールオーアイ)とは「Return On Investment」の略で、日本語では投資利益率と呼ばれます。簡単にいうと、「投資によってどれだけ利益をあげたか」を表す指標です。通常の企業では、利益を投資額で割って計算しますが、不動産投資では下記の計算式でROIを求めます。

キャッシュフロー÷自己資金

ここでいうキャッシュフローとは、「1年間に残ったお金」のことです。具体的には、家賃収入から経費や不動産投資ローンの返済額を差し引き、お金の出ていかない経費である減価償却費を足します。

また、分母にあたる自己資金とは、物件購入にあたり自分自身が負担した金額のことです。ここでは、他人資本である金融機関からの借入を除くことがポイントです。

言い換えると、「負担した自己資金によって、毎年どのくらいのお金が残っているか?」を表す値といえます。

借入をはじめとした他人資本が増えるほど、自己資金は少なくなるため、ROIは大きくなります。言い換えれば、レバレッジをきかせてキャッシュフローを生み出せているということになります。ROIは投資効率を読み解く指標なのです。

NOIとは――不動産事業の実力を表す指標

NOI(ノイ/エヌオーアイ)とは「Net Operating Income」の略で、日本語では営業純利益と呼ばれます。簡単にいうと、「不動産事業でどのくらいの利益が出たか」を表す指標です。不動産投資では、下記の計算式でNOIを求めます。

賃料-運営費

賃料について、満室時の最大の賃料ではなく、空室も考慮した実際の賃料を用います。物件の購入前であれば、賃料として表示されているのが満室時の賃料なのか、実際の賃料なのか気を配らなければなりません。

また、NOIにおける運営費とは、不動産事業を行う上で直接かかった費用です。たとえば、不動産管理会社に支払う管理費、固定資産税などが該当します。

運営費には、減価償却費などのお金が出ていかない経費は含めません。また、不動産の価値を上げるような修繕費、支払利息、不動産投資ローンの返済額も除きます。

NOI利回りは、NOIを物件価格で割って求めます。つまりNOI利回りは、実質利回りと同じ意味になります。純利回り、ネット利回りといった表現をされることもあります。

NOIを知ることで、「物件が実際にどのくらいの利益を生み出せているか」を知ることができるでしょう。

LTVとは――不動産投資の安全性を表す指標

LTV(エルティヴィ)とは「Loan To Value Ratio」の略で、「物件価格に対する借入金の割合」を表す指標です。不動産投資の安全性を示す指標ともいえます。不動産投資では、下記の計算式でLTVを求めます。

借入金÷物件価格

ここでいう物件価格は、取得価格ではなく時価です。

LTVが小さいほど、借入額が小さく安全性が高いです。一方LTVが大きいほど、借入金の占める割合が高く、その分リスクもある状態だといえます。そのため、REITなど不動産投資ファンドが投資先の安全性を見極めるうえで活用されている指標でもあります。

ただし、LTVが大きいことが一概に悪いわけではありません。自己資金が少なくてすんでいることは、投資効率の観点からは、むしろプラスです。一方で、LTVが大きくなる要因として、物件価格の時価が下がっている可能性もあるため、LTVにはしっかり注目しておきましょう。高いか低いかに振り回されず、現状を理解する手掛かりとして指標を活用することが大切です。

こうした指標をしっかりと理解した上で、不動産投資に取り組むと良いでしょう。

(提供:マンション経営ラウンジ

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