気にしたくはないけれど、されど気になる「会社からの評価」。しかし、そればかり意識すると結局「会社にとって便利な人」になってしまう恐れが……。1万人以上のビジネスパーソンへのインタビューから「40代を後悔しないための方法」を追求してきたコンサルタントの大塚寿氏によれば、「会社からの評価を得る」という意識を、40代になったら大きく転換する必要があるという。いったい、どういうことだろうか。
*本稿は、『できる40代は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)の内容を抜粋・編集したものです。
そもそも「正当な評価などあり得ない」と心得るべき
私はこれまで3万人以上のビジネスパートンと会い、そのうち1万人ものビジネスパーソンからは詳しく話を聞いてきました。そんな彼らの悩みのトップ3に入るのが、「会社に正当に評価されていない」というものです。若手はもちろんのこと、40代、50代になってもやはり、こうした悩みを持つ人は数多くいます。
こうした悩みに対して、よく「会社や上司が求めることは何かを知り、その期待に応え続けるべき」などというアドバイスを見かけますが、そんな単純な話ではありません。むしろ、40 代にもなって「会社や上司の期待に応える」意識でいると、自分だけが損をします。
そもそも、仕事の評価はすべてMeasurable(数値で測れるもの)ではありません。営業部門でさえ、担当エリアが大企業の多い都心部か、あるいは人口の少ない地方かで、営業効率は雲泥の差です。あるいは同じ5000万円の売上でも、大手企業1社を担当している人と、中小企業を数百社担当している人とでは、効率も難易度も大きく異なります。
私はむしろ、「会社があなたを正当に評価してくれることなどあり得ない」と考えるべきだと思います。
何しろ、評価をする側である人事担当者や管理職が常に「どうやったら正当な評価ができるのか」と悩んでいるのが現実です。目標管理制度(MBO)、成果主義、グレード制、エンゲージメント志向の評価制度などさまざまな人事評価システムが現れては消えるのは、正当な評価が難しいことの表れでもあります。
かつて、ある人事の専門家から、「最も優れた人事評価は全員が等しく、少しずつ不満を持つやり方だ」と言われたことがありますが、一面の真実に思えます。
人事が恐れる「ハロー効果」
つまり、40代になったら「会社にどう評価されるか」ではなく、「自分はどう評価されたいのか」に発想を逆転させる必要があるのです。言い換えれば、「自分はどの分野に強い人だと評価してもらいたいのか」というブランディングです。レッテルの貼り換えと言ってもいいでしょう。
例えば、「本部との調整だったらAさん」「英語での交渉ならBさん」「プレゼンならCさん」といったものです。
「ハロー(後光)効果」という言葉を聞いたことがあるでしょう。「何か優れた点が一つでもあると、それに影響されて他の項目まで高評価になってしまう」というもので、人事考課者研修ではこのハロー効果に注意を促すべきと必ず教えられます。逆に言えば、それだけハロー効果は強力だということ。特徴がない人ほど、特徴のある人のハロー効果の犠牲になってしまうのです。
それに対抗するには、あなたにもハロー効果を引き起こす「何かに強い」というカードが必要になるのです。