中国株を始めるなら、中国の株価指数の基本を押さえておきたい。
中国株特有の株価指数からマーケット動向を読み取ることができれば、一歩リードした状態で中国株投資をスタートできるだろう。
本記事は、中国株投資を始める人に向けて、中国株の代表的な株価指数の特徴をわかりやすく解説する。

目次

  1. 中国株の優良銘柄を探すには?
  2. 中国株の基本――市場と株式の種類を知る
  3. 香港市場の代表的な株価指数は?特徴を解説
  4. 上海市場の代表的な株価指数は?特徴を解説
  5. 深セン市場の代表的な株価指数は?特徴を解説
  6. 上海市場・深セン市場をまたがる株価指数も
  7. 株価指数を中国株投資に活かす方法
  8. 株価指数を読めるようになれば、中国株投資家として一人前

中国株の優良銘柄を探すには?

中国株投資を始めようと思った時、どんな基準で投資先を選べばいいか迷う人も多いだろう。

聞き覚えのある中国の大企業に投資するのも1つだが、大切な資産の投資先を選ぶわけだから、知名度だけを理由にするのは心もとない。
そこで、まず注目したいのが株価指数だ。

株価指数は、取引所全体や特定銘柄の株価の値動きを表す。日本でいえば、日経平均株価や東証株価指数といった株価指数が有名だ。
算出方法はいくつかあり、単純に取引所の特定銘柄の株価を平均しているケースや、ある時点を基準日として増減を表しているケースなどがある。

株価指数は銘柄選びで役立つのはもちろんのこと、長期的な視点で市場の流れを分析・予想する上でも不可欠だ。市場全体として、上昇局面なのか下降局面なのかを把握しておくことで、当然、銘柄の選び方も変わってくるだろう。

特に中国株は、日本株より情報収集が難しいため、株価指数は重要な判断材料の1つだ。
中国の株価指数について知識をつけることで、判断基準が増え、納得感のある投資先選定ができるだろう。

中国株の基本――市場と株式の種類を知る

まず、中国株の基本をおさらいしておこう。

中国株には、香港市場・上海市場・深セン(しんせん)市場という3つの市場が存在する。このうち、上海市場と深セン市場は、まとめて本土市場と呼ばれることもある。

上海市場は金融・資本財セクターの企業が中心だが、深セン市場はニューエコノミー分野の企業が多いという特徴がある。
IT企業などに代表される新しいビジネスが成長の兆しを見せており、要注目の市場といえるだろう。

香港市場には、メインボードとGEMがある。
GEMは新興企業を対象として創設された経緯があり、メインボードより公開基準がゆるやかだ。
上場企業数や時価総額はメインボードの方がはるかに大きい。

香港市場の株式は、H株(えいちかぶ)・レッドチップ・香港株の3つに大別される。中国本土の企業が香港取引所にも上場したものを、H株と呼ぶ。

これに対して、中国本土に主な事業資産を有している海外登記の企業で、香港市場に上場しているものを、レッドチップと呼ぶ。
レッドチップには、中国政府資本が30%以上入っており、中国共産党のカラーである赤にちなみ、レッドチップと呼ばれている。
香港株とは、H株とレッドチップのどちらにも該当しないその他の株式を指す。
具体的には、中国本土以外の企業で、政府資本が30%に満たない株式などが該当する。

上海市場と深セン市場には、A株(えーかぶ)・B株(びーかぶ)という区分がある。
A株では、海外投資家の持ち株比率に制限があるのに対し、B株には制限が設けられていない。海外投資家に向けて、より開かれた状態にあるのはB株だ。

しかし近年、市場の活性化・国際化を促すため、中国政府は徐々に海外投資家へと市場を開放している。

上海市場のA株では、メインボードの他に「科創板(かそうばん)」がある。科創板は、半導体をはじめとしたハイテク関連企業のために創設された市場だ。

深セン市場のA株には、メインボードの他に「中小板」と「創業板」がある。その名の通り、中小板は中小企業向け、創業版は新興企業向けの市場だ。創業版は「中国版ナスダック」とも呼ばれている。

中国株投資をする時は、基本的な市場の種類や株式の種類を押さえた上で投資先を選ぶようにしたい。

香港市場の代表的な株価指数は?特徴を解説

続いて、香港市場の代表的な株価指数を4つ紹介する。株式の種類も踏まえた上で、4つの指標の特徴を理解するようにしたい。

香港ハンセン指数
香港ハンセン指数は、香港市場のメインボードに上場するH株・レッドチップなど約50銘柄によって構成されている。香港市場を代表する株価指数で、香港市場の市況を表す指数として世界的に注目度も高い。金融・公益・不動産・商工業の大手企業から構成される。 1964年を基準にハンセン銀行が開発した株価指数であり、ハンセン銀行傘下のハンセン・インデックス・サービス社が公表している。1964年7月末時点の時価総額合計を100として算出されている。銘柄の入れ替えも頻繁に実施されているため、株価指数を構成する銘柄にも注目して投資判断に活かしたい。

ハンセン中国企業指数
ハンセン中国企業指数は、H株・レッドチップなどを構成銘柄とする株価指数だ。ハンセン銀行傘下のハンセン・インデックス・サービス社が公表している。採用銘柄は、すべてメインボード上場企業だ。2000年1月3日の値を基準値(2000)として算出されている。

香港レッドチップ指数
香港レッドチップ指数は、その名の通り、レッドチップの中から選ばれた銘柄によって構成されている。レッドチップはもともと、政府資本が30%以上あり、優良銘柄といわれている。2000年1月3日の値を基準値(2000)として算出されている。

GEM指数
GEM指数は、GEMに上場する企業を中心に構成された株価指数だ。米格付機関スタンダード&プアーズと香港取引所が共同開発した株価指数だ。2003年2月28日を基準値(1000)として算出されている。

上海市場の代表的な株価指数は?特徴を解説

続いて、上海市場の代表的な株価指数について解説していく。

上海総合指数
上海総合指数は、上海取引所が公表する株価指数で、上海市場を代表する株価指数といわれている。上海市場に上場するすべてのA株・B株(上場1年未満の銘柄と上場廃止リスクの高いST特別処理銘柄を除く)の株価を時価総額で加重平均して算出されている。
基準日は1990年12月19日で、その日の値を100として算出される。

上海180A株指数
上海180A株指数は、上海市場のA株のうち、代表的な180銘柄で構成される株価指数。
毎年6月と12月に構成銘柄の見直しが実施される。2002年6月28日を基準日として算出されている。

上海A株指数
上海A株指数は、上海A株の全銘柄の時価総額を加重平均した株価指数だ。
1990年12月19日を基準値100として算出されている。A株は人民元建てで、もともと海外投資家の取引は制限されてきたが、近年市場を開放する動きがある。現在は、深セン証券取引所と香港証券取引所の相互取引によって、香港証券取引所経由で日本の投資家も深センA株の取引ができる。

上海B株指数
上海B株指数は、上海B株の全銘柄の時価総額を加重平均した株価指数だ。
1992年2月21日を基準値100として算出されている。B株は米ドル建てで、海外投資家も取引が可能だ。

深セン市場の代表的な株価指数は?特徴を解説

続いて、深セン市場の代表的な株価指数について解説していく。

深セン総合指数
深セン総合指数は、深セン取引所が公表する株価指数で、深セン市場を代表する株価指数といわれている。
深セン市場に上場するすべてのA株・B株の株価を時価総額で加重平均して算出されている。1991年4月3日を基準日とし、その日の指数値を100として算出されている。

深セン成分指数
深セン成分指数は、深セン市場に上場するA株のうち、時価総額と流動性において上位500銘柄で構成される株価指数。1994年7月20日を基準値(1000)として算出されている。

深センA株指数
深センA株指数は、深センA株の全銘柄の時価総額を加重平均した株価指数だ。1991年4月3日を基準日とし、その日の時価総額を100として算出される。

A株は人民元建てで、もともと海外投資家の取引は制限されてきたが、近年市場を開放する動きがある。現在は、深セン証券取引所と香港証券取引所の相互取引によって、香港証券取引所経由で日本の投資家も深センA株の取引ができる。

深センB株指数
深センB株指数は、深センB株の全銘柄の時価総額を加重平均した株価指数だ。1992年2月28日を基準日として、その日の時価総額を100として算出されている。B株は香港ドル建てで、海外投資家にも開放されている。

上海市場・深セン市場をまたがる株価指数も

上海市場・深セン市場をまたがる株価指数に、CSI300(しーえすあいさんびゃく)指数がある。上海市場と深セン市場に上場するA株のうち、上場期間・出来高・時価総額・経営内容・株価変動といった情報基づいて、厳選された300銘柄で構成されている。

中国本土市場全体の市況を表す株価指数として注目されている。指数算出会社である中証指数有限公司が公表している。2004年12月31日を基準値(1000)として算出される。

株価指数を中国株投資に活かす方法

ここまで、中国株の代表的な株価指数について解説してきた。続いて、中国株の株価指数を投資先の選定に活かす方法を紹介する。

まず、それぞれの株価指数の上位銘柄に投資するという方法がある。その指数の上位銘柄だけに、株価指数を追うことである程度の株価の傾向をつかめるだろう。

たとえば、香港ハンセン指数の現値をみると、中国版LINEといわれる「WeChat(微信)」を提供するIT企業テンセントや、中国版アマゾンといわれ信用スコア事業が注目を集めるアリババ集団、バイオ医薬品開発を行う薬明生物技術などが上位を占めている。

深センA株指数の現値をみると、五穀(コーリャン、米、うるち米、小麦、トウモロコシ)を原料とする「五糧液酒」の製造・販売を手がける食品会社の宜賓五糧液や、中国の大手家電メーカーである美的集団などが上位にランクインしている。

また、中国株初心者なら、中国株に投資できる投資信託を選ぶのも1つだ。投資信託を選ぶ時は、投資信託の投資先がどの市場かを押さえておき、代表的な株価指数をチェックしておくようにしたい。

たとえば、上海市場・深セン市場のA株を中心に投資する投資信託なら、上海A株指数や深センA株指数に注目しておくと、売り・買いのタイミングを判断する1つの指標にできるだろう。

株価指数を読めるようになれば、中国株投資家として一人前

中国株は仕組みが複雑で、投資初心者からすると「ハードルが高い」と敬遠されることも少なくない。しかし、アジア株の中では安定性がありつつも、先進国株と比べれば成長が期待できる中国株は、ポートフォリオにはぜひ加えておきたい魅力的な投資先だ。

中国株投資をスタートし、中国株の代表的な株価指数に注目することで、肌感覚として株価指数の読み方が身についていくだろう。

2020年のはじめは、コロナショックから中国市場は大荒れの様相を見せた。すでに株価は回復しつつあるとはいえ、今後も油断ならない状況が続くだろう。先の見えない時代だからこそ、攻めの姿勢を崩さずに投資と向き合いたい。

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