本記事は、川村和義氏の著書『ラーメンを気持ちよく食べていたらトップセールスになれた』(WAVE出版)の中から一部を抜粋・編集しています
初対面では15分と約束して雑談はしない
書店を覗くと「雑談の極意」のような本がたくさん並んでいます。雑談の目的としては、その場の雰囲気を和ませて発言しやすい空気を生み出したり、お互いを知ることでコミュニケーションの質を高めたりすることといわれています。
「雑談がうまくなれば人生は変わる」「雑談で人づきあいが楽しくなる」「雑談ができれば初対面でも信頼関係が築ける」など、キャッチフレーズも色とりどり。
でも、私自身は雑談があまり好きではありません。たまに私も経営者という立場で、新規の営業を受けることがあります。営業マンがやってきて、
「はじめまして、今日はいい天気ですね?」 「すてきなオフィスですね?」 「いいネクタイされてますね?」
とか言われると、内心かなりめんどくさい気がします。
「この辺だったらランチのおいしいとこ、いっぱいありそうですね」 「このへんは場所がら、すごくアカ抜けた人が多いですね」 「きれいな女性も多いですね」
などと雑談が続くとイライラしてきて、
「ところであなた、今日何しに来たの?」
と言いたくなってしまう。その状態で「今日の本題は」と切り出されても、もう商談のテーブルにつく気持ちは離れてしまっています。
私の流儀は、シンプルです。挨拶してから、紹介された経緯だけ簡単に話して、
「約束は15分ですので、さっそくいきますね」
と始める。そのほうがお客さまにも、
「あ、すぐ本題に入ってくれるんだ」 「ちょうど時間もなかったし助かった」 「時間にもちゃんとしてるし、信頼できそう」
と思ってもらえる。
もし雑談がどうしても必要なら、約束の15分が終わったあとですればいい。もちろん、お客さまが望むなら。そこが、信頼関係の第一歩ではないかということです。
では、なぜ15分なのか?そんな質問をすると、飽きない程度とか、短すぎず、長すぎない時間と答える人が多いのですが、じつは「アポイントがとりやすいベストな時間」なのです。
3分でもなく5分でもなく、30分でも1時間でもなくて、15分。15分あれば、必要最低限のことが話せる。これは販売心理学上も理にかなっていて、15分が一番アポイントがとりやすいといわれています。
お客さまに電話をして、
「〇〇大学の先輩のAさんのご紹介で、連絡しました。Aさんがご紹介してくださった理由を15分で話しますから」
「いやぁ、忙しいんだよ」となったときでも、
「そうですよね。でもご紹介いただいたAさんもお忙しい方ですが、昼休みに15分とっていただいただけで、とても喜んでくださった話なんです。Aさんと同じようにお昼休みに15分いただくのと、仕事が終わってから15分いただくのと、どちらがよろしいでしょうか?」
「だったら、Aさんと同じ昼休みでいいよ」
ということになります。となれば、雑談をしている暇はありません。
「では、さっそく15分でいきますね」
と始めて、きちんと15分で終わると、
「本当に15分ぴったりですね」
と感激してくださることも。さらに、先方から「もう少し聞きたい」と言われても、
「でも今日はお約束の15分しかいただいていませんので、その辺はこの次にしっかりお答えします」
と次回の商談に楽しみを残します。連ドラの「To be continued」と同じで、チラリズムも大事です。お昼休みでも、仕事終わりでも、雑談は必要なし。そのほうが商談がスピーディーに進んで成約率も高まります。15分は「魔法の時間」なのです。
保険営業のノウハウを伝えるオンライントレーニングサイト「イタダキ」の講師も務める。
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