本記事は、砂川盛作氏の著書『オーストラリアに学ぶ「ゴールドコースト流 ・不動産投資」 で長く儲ける、一生儲ける』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています
10年後の世界を見たとき、軍配はオーストラリアに上がる
ここでは、主に不動産投資の観点から「なぜ今、オーストラリアの不動産は世界から注目されているのか」について見ていきましょう。まずは、不動産の投資適格性から考える、オーストラリアの現状についてです。
不動産投資とは、投資用の不動産を購入し、保有・運用・売却などの過程を経て、 資産形成を図る手法です。そのため、あくまでも投資として考えると、投資対象となる不動産の価値が重要であるのは当然です。
不動産の価値、特に土地や建物の価格というのは、その国の経済事情や人口動態によって異なります。他の商品やサービスと同じように、不動産も需要が高まれば高まるほど価格が上昇していくのが基本となります。
つまり、需要を形成するベースが、その国の経済であり人口というわけです。経済が伸びていればいるほど不動産需要も高まりますし、人口が増加している国では不動産を求める人が増えるという構図になります。
では、オーストラリアの経済および人口はどのようになっているのでしょうか。
経済では、非常に好調な時期が続いています。資源ブームに支えられたこともあり、年度ベースでは一貫してプラス成長を維持。特にここ数年では、2~3%の実質GDP(国内総生産)成長率を記録しています。
図表1–1のデータよりさらに遡ってみても、2019年度末の段階で29年連続のプラス成長を記録しており、連続プラス成長はオランダを抜いて世界第1位となりました。このことからも、いかに内需が安定しているのかが分かるかと思います。
このような内需の伸びを支えているのが人口の増加です。オーストラリアの人口は約2567万人(2019年9月末時点)ですが、毎年約40万人、年平均1.5%の割合で増え続けています。自然増だけでなく、移住者数も多いのが特徴です。
図表1–2からも分かるように、人口増加の内訳は自然増が4~5割、移住者が5~6割となっています。国としても、出産環境の整備に意欲的で、2002年当時の財務大臣ピーター・コステロは「1人はお父さんのため、1人はお母さんのため、1人は国のために」として出産を奨励しています。
加えて、有給の産休制度(12週間の期間で、産休補助金約100万円)もあり、52週間の無給休暇も取れます。職場復帰は法律で保証されており、子どもの数を増やすことに対して、国は財政面と環境面から積極的に取り組んでいます。
ちなみにオーストラリア国内における人口の流出入に関しては、ゴールドコーストがあるクイーンズランド州への移住増加が目立ちます。事実、2018年12月~2019年12月までの1年間に州をまたぐ移住者数は2万2300人と、国内でも最も多くなっています。
海外からの移住先としてはオーストラリア最大の経済都市であるシドニー(ニューサウスウェールズ州)やメルボルン(ビクトリア州)が多く、その後に、ゴールドコーストやブリスベンに移住する人が多いのです(図表1–3)。ブリスベンはゴールドコーストから車で約1時間ほどで行ける州最大の経済都市です。
賃金も経済成長に応じて安定して上昇しており、全オーストラリアの最低賃金(時給)は19.84豪ドル(約1488円=20年8月時点)。そのことが内需の拡大を促し、不動産においては家賃・物件価格の上昇にも影響しています。
不動産投資においては、中長期的な視点で投資することが多く、10~15年と、未来を見据えた投資判断が欠かせません。その点において、オーストラリアおよびゴールドコーストは、諸外国を上回る強みが目立ちます。
加えて、女性の社会進出を支え、安心して働ける環境の整備が進んでいることもその一環で、出産奨励やアリーラーニングなど、今後の経済成長を支える人口の伸びを補完する制度も整っています。ちなみにクイーンズランド州の州議会は23の閣僚のうち13人が女性ですし、州首相も女性です。
10年後の未来を考えたとき、少子高齢化、人口減少、多様性への対応力、経済の停滞と縮小が進む日本市場と比較しても、オーストラリアの不動産に投資するという選択は、さまざまな点で評価できるといえるのです。
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