本記事は、砂川盛作氏の著書『オーストラリアに学ぶ「ゴールドコースト流 ・不動産投資」 で長く儲ける、一生儲ける』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています

オーストラリアの空室率は驚異の1.8%

オーストラリア経済,見通し
(画像=PIXTA)

6つのポイントでも触れていますが、不動産投資先としてオーストラリアを見るときに重要なのは、「空室率」という指標です。空室率とは、賃貸に出している物件が空室になる割合を表すものです

この空室率は、不動産投資において非常に重要です。なぜなら、不動産投資の収益源である家賃収入は、入居者を安定的に獲得できて初めて得られるためです。入居者がいなければ、いくら賃貸に出しても収益は得られません。

その点において、オーストラリアは望ましい条件を備えています。なかでもゴールドコーストは、2018年6月には空室率2%という国内でも最低レベルを記録し、オーストラリアの平均2.5%(REIA:The Real Estate Institute of Australia より)を大きく下回っています。

また、人口が増加しているにもかかわらず、新規住宅の供給が限られていることもあり、特に2012年以降、空室率は市場平均を下回る傾向が続いています。2019年3月四半期の空室率は1.8%となり、国内最低水準です(REIQ:Real Estate Instituteof Queensland より)。

一方、日本の不動産は、「平成30年度住宅・土地統計調査」(総務省統計局)をもとに株式会社タスが発表している「タス空室インデックス(空室率TVI)」が試算したところによると、東京23区の賃貸住宅でも10%半ば、神奈川、千葉、埼玉を含む一都三県では20%前後となっています。加えて、相続税対策と銘打った賃貸住宅が需給関係をそっちのけに増え続けています。これではますます空室率は高くなるのではないでしょうか。

この数値からも、オーストラリア、特にゴールドコーストは、不動産投資先として適しているのが分かります。その背景にあるのは、前述した経済成長や人口の伸びであり、今後も似たような状況が続いていくと考えられます。

日本では、公団などをはじめ、国が住宅を供給することもあります。一方、オーストラリアでは、国が住宅を供給するということはなく、基本的にすべて民間企業に任されているのです。そのため、住宅の供給数にも限度があります。

人口増加にもかかわらず、住宅の供給数が限られていると、需要は当然逼ひっ迫ぱくします。その結果、空室率が低水準で推移し、かつ家賃も高くなる傾向が続くというわけです。その分、不動産投資家にとっては好条件なのです。

ちなみに、国が過剰に干渉するのではなく、市場原理のもと、民間主導で経済を回していくという発想は、税金使途について国民の目が厳しいといわれるオーストラリアの特徴です。そのようなところに税金を投入するのではなく、あくまでも民間で回していくという考え方が基軸となっているのです。

もちろん、オーストラリアにおいても、住宅の供給戸数がどのような推移をたどっているのかは注目されています。それが経済成長の指標であることも確かです。しかし、国が税金を投入しないというのが、日本との違いでしょう。

戦略的にどちらが優れているのかはともかく、不動産投資、特に空室率という観点から見ると、民間主導のオーストラリア市場が有望なのは明白です。悪くても5%。日本のような10~20%台の空室率は皆無です

今後の経済状況や人口動態を踏まえても、不動産需要は堅調に推移していくと予想されます。資産運用としての不動産投資の安定性について考えるとき、これだけ空室率が低水準であることは、投資判断の上でも重要な指標となるのではないでしょうか。不動産市場にはサイクルがあり、良い時も悪い時もありますが、いずれにしても賃貸需要が旺盛であることは大きなメリットといえます。

余談ですが、先ほど、オーストラリアは税金使途について国民の目が厳しいと言いましたが、オーストラリアでは選挙は国民の義務で、投票しないと罰金を課せられるという仕組みになっています。直近の国政選挙投票率が約92%で、現職の首相が落選するということもありました。いかに政府が国民に対して政治に責任を担ってほしいと考えているか、また国民が時の政策に対して関心を持っているか、ご理解いただけると思います。

オーストラリアに学ぶ「ゴールドコースト流 ・不動産投資」 で長く儲ける、一生儲ける
砂川盛作(すなかわ・せいさく)
株式会社ワイドエステート代表取締役社長。1965年、沖縄・宮古島に生まれる。1987年にワーキングホリデーを利用しオーストラリアへ。1989年より日系の豪州不動産コンサルティング会社で営業を経験。その後、日系の不動産投資・開発会社の現地取締役に就任。さらに、現地の不動産会社LJH社、JLL社、CBREにてコンサルティング業を続ける。1991~1993年のバブル崩壊を乗り切った経験を持つ。1997年、起業。1999年、株式会社ワイドエステートを設立。居住不動産、収益不動産、店舗・オフィスビル、開発用地の仲介・売買を行う。新規開発物件の日本市場への販売、住宅開発分譲事業、小規模M&A・コンサルティングも手がける他、アリーラーニング(保育幼稚園)事業買収コンサルティング等も展開。共同経営で保育幼稚園9園のオーナーでもある。オーストラリアにおける不動産ビジネス歴は約30 年。日本人としては、最も長く不動産業に関わっている。現在も、不動産物件の視察に膨大な時間をかけ、幼い息子を不動産視察に引っ張り回すことも多々ある。オーストラリア・ゴールドコースト在住。株式会社ワイドエステート(WIDE ESTATE PTY LTD) https://wide-estate.com.au

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