米国株へ投資する投資家が増えている。米国株を取り扱うネット証券が増え、手数料も安くなり、スマホからでも発注できるようになってきたというインフラが進歩したことが大きいが、なによりも米国株のパフォーマンスが日本株より優れていることに魅力があるからだろう。ここでは、今さら聞けない米国株の買い方を解説したい。

投資対象として魅力的な米国株

今さら聞けない米国株の買い方とは ?
(画像=tatomm / stock.adobe.com)

なぜ米国株へ投資する投資家が増えているかというと、日本株よりもキャピタルゲイン (売買益) もインカムゲイン (配当益) も狙いやすいからだ。過去5年のパフォーマンスを比較してみよう。

NYダウ ナスダック 日経平均
2016 +13.4 +7.5 +0.4
2017 +25.1 +28.2 +19.1
2018 -5.6 -3.9 -12.1
2019 +22.3 +35.2 +18.2
2020 (8/27時点) -0.7 +30.0 -1.7

年間のパフォーマンスは、過去5年においては全ての期間でNYダウの方が日経平均を上回っている。米国株でも過去4年はハイテク比率の高いナスダック総合指数がNYダウを上回っている。従って、株に投資するなら日本株よりも米国株、米国株でもナスダックに投資する方が効率のよい投資が可能だったのだ。

特にここ数年では、米国の大手IT株でGAFAM (Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftの総称) が米国株の上げを牽引している。時価総額で世界のトップ10企業の半分はこういった米国の企業で世界を牽引している魅力ある企業なのだ。

また、配当利回りに関しても、日経平均が予想配当利回りで1.96%、TOPIXが1.75%なのに対し、NYダウは2.27%〔7/26〕と米株の方が全体的に配当利回りも高い銘柄が多い。

キャピタルゲイン狙いでも、インカムゲイン狙いでも米国株を注目するべき理由はここにある。

ネット証券に総合口座があるなら米国株の口座開設は簡単

まずは米国株を取引できる証券会社に口座を作る必要がある。証券会社は最近、外国株に力を入れているので、口座開設は比較的簡単だ。ネット大手証券5社 (SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券) にすでに総合口座を開設しているのなら、外国株取引に関しても申請すればすぐに取引が開始できる。大手ネット証券であれば各社とお3,000銘柄前後の米国株が取引できるので、基本的にどこで口座を開設しても取扱銘柄についての問題はないだろう。

取引ができることを確認したら、あとは米国株を買うだけだ。日本株の買い方と同じように、パソコンやスマホで取引できる。スマホの場合、証券会社によっては日本株用のアプリで発注出来る場合と、外国株用のアプリが必要な場合があるので、あらかじめホームページ等で確認しておきたい。

投資資金については、米国株のドルベースでの買付代金に相応した円の残高があれば自動的にドルに振り替えて投資できる証券会社と、あらかじめ自分で円を買付代金に相応したドルに振り替えて置かなくてはならない証券会社がある。いずれの場合でも、為替では円ドルのスイッチのたびに25銭程度のスプレッドがかかる。頻繁にスイッチするとそのたびにコストがかかるので、米国株の投資枠としてある程度ドル資金の残高を口座に持っておいた方が有利だろう。

手数料は日本株ほど安くはないが、だいたい約定代金の0.45%程度 (最低額5ドル、最高額20ドル) が基準となっている。証券会社によって手数料や為替のスプレッドなどの費用は多少異なるので、トレード前にホームページなどで確認しておきたい。また米国株取引には、手数料の他売却時に現地取引費用 (SEC Fee) がかかることには留意しておこう。

取引方法での日本株との違いと注意

米国株取引は、日本株とはいくつか異なる点があり、注意が必要なこともある。ここでは3つの点について詳しくみていこう。

●1.取引時間が深夜になる

米国株の取引を行う上でネックとなるのが取引時間だ。ほとんどの銘柄はニューヨーク証券取引所で商いされており、取引時間はニューヨークの時間で9時半から16時である。日本時間では23時半から翌日6時 (夏時間の期間中はそれぞれ1時間早まる) となる。どうしてもリアルタイムで取引したいなら、日本の深夜帯になってしまう。

ただ、注文自体はニューヨーク市場の取引時間外でも発注できるので、短期のトレーディング志向でなければそれほど問題はないだろう。基本的には、どの証券会社も発注は24時間対応だ。どうしてもリアルタイムでトレードしたい場合は、証券会社にリアルタイムで株価をフィードするサービスを申し込む必要がある。リアルタイムの株価サービスは多くの場合有料であるが、条件次第では無料になることもあるので、事前にホームページ等で確認しておきたい。

●2.1株から取引可能

日本株では売買単位は100株単位が主流だが、米国株は、基本は1株単位から買付が可能だ。たとえば人気のAmazon株は3,400ドル程度 (2020年8月末時点) 、日本円に換算すると約36万円の値嵩株であるが、1株の買付であれば、約36万円程度で投資は可能だ。比較的少額の投資で世界的に有名な企業の株主になれるのは魅力だ。

●3.ストップ高・ストップ安がない

日本株と違って制限値幅 (ストップ高・ストップ安) がないのも大きな特徴だ。1日で数10%動くこともあるので、注文はきちんと指定する習慣をつけておき、吹き値を売る・押し目を買うチャンスを逃すことのないように気をつけたい。

米国株投資は資産形成で欠かせないアセットクラス

米国株は、時価総額も大きく、成長率も高く、パフォーマンスも日本株より優れている銘柄が多いため、長期の資産形成、長期の分散投資として欠かせない投資対象である。ネット証券で日本株投資をやったことがあるのなら、米国株投資のハードルは決して高くない。また、米国株をウオッチすることで、グローバルな経済の見方が出来るようになり、金融リテラシーが高まるメリットもある。是非デビューしてみよう。

(提供:大和ネクスト銀行


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