国内外のさまざまな要因によって起きる株価の暴落は、投資をする以上、避けては通れない道です。投資家は、突然暴落が起きても困らないよう、適切な対処法を押さえておかなければなりません。今回は、株価の暴落が起きる要因や暴落時の対処法、暴落時に購入したい銘柄の特徴をまとめてご紹介します。

目次

  1. 株価の暴落はなぜ起きる?
  2. 暴落時にまずやるべきこと
  3. 下落時に購入する「押し目買い」とは?
  4. 株価暴落時に株は買うべき?
  5. 相場が暴落した時に買いたいのはどんな銘柄?
  6. 過去の株価暴落時を振り返る
  7. 暴落時は下落した要因の特定から始めよう

株価の暴落はなぜ起きる?

金融
(画像= yurich84/stock.adobe.com)

株価の暴落は、株式の売り注文の急激な増加によって起こります。売り手が増える、つまり株の人気が下がれば、株価も下がるという仕組みです。逆に、買い手が増えればそれだけ人気が高まっているということなので、株価は上昇します。

株式の売り注文が急激に増加する背景には、下記のようなさまざまな要因が考えられます。

株式の売り注文が急激に増加する背景
(画像=ZUU online)

株価の暴落には、大きく分けて4つのパターンがあります。

1つめは、「世界経済への不安」です。不安感が、世界経済の見通しを暗くし、警戒した投資家が株式を手放すパターンです。リーマンショックやコロナショックなどが該当します。この時、リーマンショックやコロナショックと直接関係のない企業の株式でも、市場全体の下落の動きにつられて売りに出されることがあります。

2つめは、「個別企業に起因するもの」です。影響力の強い巨大企業の不祥事などが明らかになり、個別株が急激に売られると、株価に深刻な影響を与えます。

3つめは、「為替レートの変動」です。輸出入に関わる事業を行っている企業では、為替レートの変動が株価に影響を与えることもあります。輸出企業にとって円安は株価上昇要因になり、輸入企業にとっては下落要因になります。逆に、円高は、輸出企業にとって株価下落要因になり、輸入企業には株価上昇要因になります。

4つめは、「自然災害や戦争」です。投資において、災害リスクや政治的なリスクも視野の外に置くことはできません。予期せぬ事態によって、株価の暴落が起きることもあるのです。

株価の暴落は、さまざまな要因が折り重なって突然起こります。株式投資をする以上、株価の暴落は避けては通れません。暴落に備えて適切な対処法を知っておきましょう。

暴落時にまずやるべきこと

続いて、株価が暴落した時にまずどうしたらいいかを解説します。

冷静になる(狼狽売りしない)

株価が暴落すると、多くの投資家は含み損を抱えることになります。大きく下落した評価額を見て、パニックに陥ってしまうこともあるでしょう。しかし、安易な売買で損失を確定してしまわないためにも、暴落が起きた時こそ冷静に状況を分析することが大切です。

要因を特定する

続いて、暴落の要因が上昇トレンドの中での調整であるのか、長期にわたって続く可能性があるのかを特定しましょう。上昇過程の中での一時的な値下がりであれば、次の章で解説する「押し目買い」のチャンスともいえます。

一方、要因を見誤って長期的な下落の途中で買い足してしまうと、さらに値下がりが続いて大きな損失を出してしまうリスクもあります。

下落時に購入する「押し目買い」とは?

続いて、株価が下落した際に検討したい「押し目買い」について解説します。

押し目買いとは?

「押し目買い」とは、株価が下落したタイミングを見計らい、安値で買い付ける投資手法です。「押す」とは株価の下落を表す表現で、「押し目」とは株価が下落したタイミングのことです。「押し目買い」を活用すれば、株価の下落をむしろ利益を出すチャンスとしてとらえられるでしょう。

ある銘柄が上昇トレンドにある時、これまで株式を保有していた人たちが、利益確定のために株式を売り始めます。この時、売り注文が増加し、一時的に株価が下落するタイミング(調整)があります。このように、株価が一時的に値下がりしたタイミングで、「押し目」を狙って株式を購入する投資方法があります。

上昇が続く銘柄を一時的に値下がりしたタイミングで買い付ければ、その後値上がりしたタイミングで、利益を狙える可能性が高まります。同じように「押し目買い」を狙っている投資家はたくさんいるので、投資家の行動が「押し目買い」後の値上がり要因になるともいえるでしょう。

押し目買いの投資のポイント

「押し目」のタイミングを見極めるのは簡単ではありません。狙っている銘柄になかなか「押し目」と思われるチャンスが来なかったり、「押し目」と思って購入したらそのまま株価が上がらなかったりといったケースも考えられます。

「押し目買い」は、利益につながりやすく多くのトレーダーが好んで用いる投資手法です。一方で、判断を誤ると大きな損失につながるリスクもあります。

「押し目買い」を狙うなら、「きっとこれから上がるだろう!」といった根拠のない予想に頼るのではなく、しっかりとチャート分析を行いましょう。

投資の世界には「二度に買うべし二度に売るべし」という格言があります。どれだけ分析をしても相場は必ず思い通りに動くわけではないので、何度かに分けて少しずつ売買をすべきという意味です。

「押し目買い」をする場合も、必ず自分の予想通りに株価が上昇を続けるとは限りません。そのため、すべての資金を一度に投入するのではなく、相場の動向を観察しながら小分けに購入するのもいいでしょう。

株価暴落時に株は買うべき?

株価暴落時は、実は優良な銘柄を安く購入する絶好のチャンスでもあります。しかし、タイミングを誤れば損失につながるリスクもあるので、慎重に売買しましょう。

投資格言「落ちてくるナイフは掴むな」の意味

投資には「落ちてくるナイフは掴むな」という格言があります。これは、どんなに魅力的に見えても、値下がりを続けている銘柄を買ってはいけないという意味です。

ある銘柄が下降トレンドに入り、これ以上は下がらないと予想したとしても、さまざまな要因により予想外の値下がりが続くことがあります。そんな時、逆張りを狙って株式を購入していると、目論見が外れて大きな含み損を抱えることになります。

株価が完全に下げ止まったら購入すべき

底値に到達したと予想して買い注文を入れた後、予想が外れてさらに株価が下落すれば、大きな損失につながりかねません。そのため、狙っている銘柄が下降トレンドに入っても、値下がりが続いている間に購入するのはリスクが高いといえます。株価が完全に下げ止まり、上昇に転じたことを確認してから購入するほうが、リスクを抑えて投資ができます。

底値圏に達したと判断する指標は?

底値に達したかどうか見極めるのは意外と難しいものです。底値の判断にはテクニカル分析を用いましょう。テクニカル分析とは、過去の相場の値動きからトレンドやパターンを読み取り、値動きの予測に活かすための分析手法です。

底値の見極めに役立つ指標のひとつに「ダブル・ボトム」というチャートパターンがあります。チャートに2つの谷(安値)が現れ、チャートが「W」のような形になった状態を、ダブル・ボトムと呼びます。

2つめの谷が1つめの谷と同程度の株価まで下落し、反発してネックライン(2つの谷の間の高値)を上回ると、株価が上昇トレンドに転換するシグナルと考えられています。

テクニカル分析を用いた指標には、他にもいくつかの種類があります。テクニカル分析を過信しすぎるのもよくありませんが、相場を予想するうえで役立つことは間違いないでしょう。

相場が暴落した時に買いたいのはどんな銘柄?

相場が暴落した時は、相場に引きずられて優良な銘柄も値下がりすることがあります。また、ある銘柄の株価が暴落した時、同じ業種や関連する株価も引きずられて値下がりすることがあります。これを「連れ安」「追随安」といいます。

暴落時は、つられて値下がりした銘柄を安値で購入できるチャンスです。そのため、事前に「値下がった時に買う銘柄リスト」を作成し、暴落による連れ安のチャンスを逃さないことが大切です。

過去の株価暴落時を振り返る

最後に、過去の大規模な株価暴落時を振り返って、暴落の理由や影響を見ていきましょう。

過去の株価暴落
(画像=ZUU online)

<ITバブル崩壊(2000年)>

1999年から2000年代初頭にかけて、アメリカでインターネット関連企業の株が急騰し、ITバブルが起きました。しかし、2001年にはITバブルが崩壊し、1999年に一時2万円台を超えていた日経平均株価は、2003年に7,000円台に下落しました。

<リーマンショック(2008年)>

2007年からのサブプライムローン問題をきっかけに、アメリカのリーマン・ブラザーズが経営破綻。世界的に金融危機が発生し、日経平均株価は7,000円台となりバブル後の最安値を記録しました。

<ギリシャ危機(2009年)>

2009年に発覚したギリシャの財政赤字問題が飛び火し、ヨーロッパ経済を大きく動揺させる事態に発展しました。

<東日本大震災(2011年)>

2011年3月に起きた東日本大震災の影響を受けて株の売り注文が殺到し、日経平均株価は8,000円台まで下落しました。

<コロナショック(2020年)>

各都市のロックダウンや移動制限による経済への打撃をきっかけとして、世界的に株価が暴落しました。

2000年代から現在にかけての暴落時を振り返ると、バブルの崩壊や自然災害までさまざまな要因で暴落が起こっていることがわかります。

ここでは代表的な暴落について取り上げていますが、もっと小規模な暴落はより短いスパンで起こります。これから投資をするうえでも、暴落は避けては通れない道だと割り切り、暴落時にどうするかをあらかじめ想定しておくことが大切です。

暴落時は下落した要因の特定から始めよう

株価の暴落は、さまざまな要因によって起こります。暴落が起きたら、まずはあわてず冷静に要因を特定しましょう。上昇トレンドにおける調整が要因であれば、値下がりは「押し目買い」のチャンスでもあります。

ただし、長期で下落が続くと予想される場合、値下がりの途中で逆張りを狙って株を購入するのはおすすめできません。損失リスクを減らすには、しっかりと株価が下げ止まってから購入するのが安心です。また、連れ安になった優良銘柄を選べるよう、購入したい株式のリストを作っておきましょう。

文・緒川 棗

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